新章でございます!
百ニ十八話 go to the outside world
響く騒音、行き交う人々、走る自動車…
俺は今外の世界に来ていた。こんなところにいるのは紫に適当な所に放り出されたからである。別に幻想郷から追い出されたわけではない。時は数日遡る。
いつものように仕事を探しつつ人里を歩いていたら紫から連絡が入った。俺が応答するとすぐにスキマが開き紫の家に到着。
そこには紫の他に霊夢もいて一体何事かと事情を聞いてみたところ、どうやら次期博麗の巫女探しをする必要があるらしい。
俺も早すぎるのではないかと思ったものだが、霊夢とて小さい頃から色々と教育を先代から受けていたところ先代が妖怪との戦闘における怪我で引退。急遽霊夢が引き継いだのだという。
今は永琳がいるから多少の病や怪我であれば簡単に対処できるが、弾幕ごっこが主流となった今でも凶暴な妖怪は多々おり、それとの戦闘で命を落とすことも考えられるという。なんならまだ少女である霊夢は大人よりも命を落とす可能性があるなんて紫は言っていた(霊夢はそんなこと無いと抗議していたが)
なので紫と霊夢が幻想郷内で候補を。俺が外の世界で候補を探すということになった。外の世界から連れてきてもいいのかと俺は言ったのだが、俺の時もそうだが幻想郷に入れば忘れ去られるため問題ないという。所謂神隠しで処理できるというのだから恐ろしい。やっていることは拉致そのものである。
まあそんなことがあって俺は幻想郷の外に来ていた。幻想郷から出ても突然皆の記憶やデータに復活するなんてことは無いが、俺の事を知っている人と接触するとその人の中においてのみ思い出されるという。幻想郷の結界はわけ分からないので理屈は知らない。
それで紫に外の世界に放り出されたのだが、実は付き添いが一人。
「そんで?定晴、どうするのよ」
「うーん…ルーミアは外の世界は初めてか?」
「現代の外の世界は初めてよ。幻想郷が出来る前の世界なら知ってるけどね」
ルーミアがいる。しかも身長が高い大人モード。
聞いたところによると俺が外の世界にいると繋がりが弱くなりルーミアの力が不安定になるかもしれないと言われて連れてきたのだ。
外の世界であれば妖怪の力は弱まるうえ俺が近くにいればまず問題はないだろうとは藍の言葉。
ルーミアには俺が式神との繋がりを利用した封印を込めたリボンを渡しているため外の世界でも問題は無いだろうが…
周囲の目線がルーミアに集まっている。まあ並の人間には彼女が妖怪であることにも気が付けないだろうが、注目されるのはあまりよろしくない。
だが仕方ないと言えば仕方ないのも事実。幻想郷の少女たちは皆、美少女、美女ばかりなのだ。外の世界ならモデルなどをしていてもおかしくない外見の人ばかりなので注目されるのも当然といえば当然だろう。
だがここにずっといてもしょうがないし、ルーミア狙いで変な勧誘があるかもしれない。俺は慣れているが、ルーミアは現代は初めてらしいので注意が必要だ。まあ弱められているとは言え式神の繋がりがあるルーミアを一般人がどうこうできるとは思えないがな。
そんなわけでルーミアと一緒に次期博麗の巫女探しだ。
紫が出した条件は主に三つ。
一つ目は未成年の少女で、親元がない人物。この時点で相当絞られるが、親元がいたり成人していると整合性が取りにくくなるからとのこと。捜索隊が組まれても幻想郷が見つかる心配はないが、面倒なことを態々する必要もない。15歳以下、つまり中学生以下がベストとのこと。なんでそこにこだわるのかと聞けば、それくらいの歳の子なら変に探られることもないからだと言う。
二つ目は特殊な能力は無い方がいいとのこと。博麗の巫女は存在が特別で、巫女になるとそれだけで色々と力を扱う必要が出るらしく能力があると力が不安定になることが多いらしい。
三つ目は虐待、いじめなど今までに辛い経験がある、若しくはされている人が良いとのこと。そういう人物の多くは消えたいと思っているため幻想郷に入っても影響が出にくいらしい。そういった人物は孤独でも生きられるような術を持つことが多いので妖怪と対峙しても問題ないという。
以上が条件だ。
普通に生活する人間からすればこんな子は現代にいないと思うかもしれない。しかし俺は知っている。職業の都合で色々な場所に出向き、そこで一人で生きている子供がいることを。
ここは俺が幻想郷に行く直前まで生活していた街…ここにもいるのは確実だ。発展していない街よりもここのように人通りが多く、一見豊かそうな街ほど貧富の差は激しく貧困状態の人は多い。
さて、捜すのはいいのだが…ルーミアはどうしようかな。ルーミアも現在は精神も見た目も大人なのであまり気にしなくてもいいとは思うが…外の世界に不慣れなので問題を起こさないかが心配だ。よくローファンタジー…いや、ファンタジーものではよくあることだが、知らないものにホイホイと触り問題を起こすという描写がある。
ルーミアは子供じゃないし、怪しいものにはそう簡単に触るとは思えないがもしもということもあるし…しばらくは俺と行動を一緒にしたほうがいいかな。
「ルーミア、しばらくは俺と一緒にいてくれ。外の世界に慣れたらルーミアにも探索を手伝ってもらうから」
「了解了解」
よし、それじゃあ取り敢えずはどうしようかな…早速捜し始めてもいいのだが…正直言って期限も特に決まってないし見つからなかったら紫を呼べばいつでも幻想郷に帰ることができる。まあ頼まれた以上は何でも屋として達成しないと気が済まないということもあるし諦めるわけにはいかないんだが…
先ずはルーミアにある程度慣れさせた方がいいかな。にとり達河童が機械を作ってるからそんな何でもかんでもに驚くということもないだろうしな。
「よし、ルーミア。少しここらへんを歩くぞ。外の世界に慣れるためだからな」
「ん?ええいいわよ。それって…デートのお誘いかしら?」
そう言ってほほ笑むルーミア。こんなところで冗談はやめてくれ。ルーミアにそんな気持ちはないだろうに。
まあ今はそういうことにしてももいい。近い身長の大人の男女二人が歩いていたら傍から見ればデートに見えるだろうしな。
「行くぞ」
「はいはーい」
そういうわけで俺らは外の世界の都会へとくりだした。