東方十能力   作:nite

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不定期とはいえ空き過ぎました。申し訳ありません


百三十四話 秘封倶楽部

黒い帽子の方は宇佐見蓮子。秘封倶楽部なるサークルの会長をしている。そして白い帽子がマエリベリー・ハーン。呼びにくいとのことで俺たちはメリーと呼んでいる。こちらも秘封倶楽部所属。

二人と出会ったのはほんの数年前。とある依頼にて妖怪退治のために山に行ったらこの二人がなぜか追われていた。そのおかげで俺は妖怪を不意打ちの形で倒すことは出来たが、なんでこんなところにいるのか問い質した。その後ナシ崩し的に話すようになったわけだ。その理由は能力によるものが大きい。

二人は特殊な能力を持っている。と言っても蓮子の方は才能というか天才の域に近いけど。

蓮子は月と星を見るとそれぞれ場所と時間が分かり、メリーには結界を見ることができる能力がある。メリーの能力はどうやら強くなっていってるらしく、聞いた話によると月まで行ったとかなんとか。アポロ11号もびっくりの瞬間移動だ。俺も人のこと言えないけど。

 

「こんなとこでなにしてるんだ?」

「最近ここらへんでよく物が突然消えるって噂を聞いて…」

「メリーと一緒に来たというわけ」

 

よく秘封倶楽部は怪奇現象が起きた場所に行っている。その時怪奇現象の情報を集めてくるのは蓮子、メリーはそれに連れ回されるというパターンが多い。今回も蓮子が前を進んでいたということはきっとそうなのだろう。

ふと気づいたらメリーが俺の持っている石を凝視していた。何か気になることでもあったのだろうか。

 

「ねえ蓮子、もしかしたら物が消えちゃう事件の謎分かったかも」

「本当!?」

「うん、まあ謎の手がかりって感じだけど。定晴さん、その石はどこで?」

 

やはり何か石に俺たちが分からないものがあったらしい。メリーが気づいたということは結界だろうか。いや、メリーはそういう類のもの以外もある程度認識できるとかなんとか蓮子が言っていたな。

それはともかく、この石を拾った場所を言うとメリーはそこに向かって歩き出した。俺達も気になったのでついていく。もしかしたら水那の姉に関する情報を得ることもできるかもしれない。

着いたのは先程の場所。メリーが周囲を見渡している。そしてとある一点、ビルの隙間にある一見するとただの壁にしか見えないところで動きが止まった。メリーがゆっくり近づいていく。

俺も近付いて壁を触るがなんともない。だが違和感がある。石を見つけた時と同じ変な感覚があった。

その壁を暫く触った後メリーが俺に話しかけてきた。

 

「この壁って前からありましたっけ」

「さあ、どうだかな。そもそも壁なんぞ注視しないからな」

 

というか最近は幻想郷でしか生活してないので壁がいつできたかなんぞ知らない。そのことを言うわけにはいかないけど。

 

「この壁、超えられますか?」

「任せてメリー!私が登るわ!」

「え、ちょっと待って蓮子!」

 

メリーの静止の声も聞かずに壁を登り始める蓮子。アグレッシブだなぁ…

しかしこの壁はコンクリート、結界や闇の壁ほどツルツルではないにせよ登ることはできない。蓮子も早々に諦めてしまった。

さて、この壁かぁ…道路沿いから少しだけ入ったところにあるにせよ比較的…先ほどまでいた路地裏よりかは…目立つので能力は使えない。というか派手な動きはできない。

人払いの結界は使い慣れているが、ルーミアのせいで現時点で若干注目されている。人払いといえど既に見られているのでは意味がない。人払いは見えなくなるわけでも意識が行かなくなるわけでもなく、無意識に避けるようになるだけだ。見られている状態とはわけが違う。

取り敢えず人払いは張るがやはり目線が気になる。

 

「ルーミア、なんとかできるか?」

「うーん、見ているのは私なんだっけ?じゃあこうしましょ」

 

そういうとルーミアは俺たちから離れて違う方向に歩き出した。

ルーミアには悪いが、ここは仕方がない。目線を感じなくなったので良しとしよう。

誰も見ていないうちに身体強化。脚力上昇。そしてジャンプ。

俺の背丈の三倍ほどあった壁を軽々超えて壁の上に着地する。壁の厚さは約一メートル。反対側には何もない。

 

「メリー、特に何もないぞー」

「そう…何かこの壁から変なのを感じるんだけど…いつもみたいにはっきりとした力じゃないのかいまいち分からないの…」

 

弱い力…増幅させることは出来ないのか。

壁から降りて石を壁に近付けてみるが特に反応は示さない。結界の能力で色々と試してみるが芳しくない。どうしたものか。

そうこうしているとルーミアが戻ってきた。視線は…ない。

 

「ルーミア、見ている人たち全員撒いてきたのか?」

「ええ、路地裏の闇に紛れて逃げて来たわ。一度注目が外れれば人払いの中なら大丈夫だと思って戻って来たわ」

「ああ、問題なさそうだ。それとルーミア、この壁に何かできないか?」

 

我ながらとてつもなくアバウトな問いだな。何かって何だよと心の中でセルフツッコミをしてしまう。

だがルーミアは俺の適当な問いに応えようとしてくれているのか妖力と共に壁に触れる。その瞬間…

 

「まぶし」

「キャッ!」

「ヒャア!」

 

壁が光り出した。いや、壁だけではない。俺達の周囲が光っている。あまりの光量に目も開けられない。そしてやっと収まったかと瞼の裏で確認したのち目を開ける。

するとそこは…

 

「どこだ…ここ」

 

全く知らない、荒廃した街の中だった。

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