東方十能力   作:nite

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間違えて予約し忘れてそのまま投稿しちゃったので土日にもう一本上げます


百四十一話 現対次

まず霊夢が飛び上がった。その時も水那に対して弾幕を張るのを忘れない。

今回二人には俺たちのことは気にせず全力でやってくれと頼んでいる。俺とあうんの身は俺が結界を張ることで守っているし、弾幕ごっこ程度の威力では周囲にもそんなに影響はない。

霊夢は守る弾幕も使えたはずだが、今回は攻める弾幕を主力として周囲に細かい弾幕を張っている。攻められにくいが攻めやすい、いい陣形だな。水那相手には少々過剰な気がするが…

そんな俺の考えが顔に出ていたのかあうんが隣で補足説明をしてくれる。

 

「どうやら水那さんって霊夢さんタイプみたいで…」

「と言うと?」

「なんていうか…天才?というか弾幕ごっこっていう戦い方が合ってたみたいで…」

 

見ると水那も霊夢程安定した物は出せないようだが、霊力を飛ばして弾幕の代わりにしている。実体が朧げなので美しさは無いが、存在はしているので当たれば判定はあるのだろう。

だが弾幕ごっこは単に戦うだけではなく美しさも評価基準だ。純粋な力では妖怪には勝てないから…と弾幕ごっこを作った霊夢が言っていたが、それもそうだろう。

俺は結構な経験を詰んでいるのと能力の補助のおかげで紫のような大妖怪とも戦える。魔理沙も、霊夢も、小鈴のような子だって能力持ちは存在する。しかし実戦で戦えるかと言われると…そうではない。魔理沙も魔力ではパチュリーやアリスに劣る。霊夢は鬼と純粋な力比べでは足元にも及ばない。小鈴など言わずもがな戦闘すら向いてない。

そんな彼女たちが妖怪と戦う術が弾幕ごっこだ。経験ではなく力量と創造力。如何に美しく魅せるかを重視した決闘方法。相当稀有なパターンだな。

 

「ほらほら!水那!綺麗じゃないわよ!」

「まだ綺麗に霊力弾を出せないと言ったばかりじゃないですか〜!」

 

霊夢の攻撃に水那が紙一重で躱し続けている。

多分霊夢のある程度は加減しているのだろうけど…傍から見ていじめにしか見えない。

水那がスペルカードを手にとった。どこから出したと疑いたくなるが、どうやらあの巫女服は見た目より断然物が入るらしい。霊夢も懐から御札を出しているようだし、身体的差異によりサイズこそ小さくなっている水那も巫女服も容量や収納スペースはそこまで変わらないようだ。

尚俺はスペルカードは全部幻空から出しているので容量とかいう心配は今のところない。

 

「行きます!瞬光【サテラレーザー】!」

 

水那の周囲から白いレーザーが放たれる。スペルカードというのは事前に力をある程度溜めておいたカードを発動させることで決められた弾幕を貼れるというものだ。故に通常よりも奇怪かつ多彩な攻撃がスペルカードによって使用可能になるのだが…今回は水那の弾に色を付けるのが精一杯だったようで特殊さは無い。その代わりと言えばなんだが色が付いてはっきりと実体化したので多少の華やかさが出た。

 

「甘い!」

 

霊夢がその尽くを避ける。流石は異変解決のプロ、グレイズもしつつ見事な回避をやってのけた。

水那のスペルカードの効果が切れる。その瞬間を狙って霊夢がスペルカードを使用した。

 

「とりゃあ!霊符【夢想封印】!」

 

霊夢の十八番、夢想封印…ってこれホーミングじゃないっけ?確か俺みたいに斬ったり魔理沙のような手練じゃないと避けれないっていう…

 

「きゃー!」ピチューン

「「「あ」」」

 

俺とあうん、霊夢の声が重なる。

弾幕が晴れて落ちてくるのは気絶した水那。素早く下に移動して支える。

これは…クリーンヒットだな。諦めているような姿勢で落ちたところを見るに霊夢の夢想封印の効果を知っていて、水那は避ける術が無いので出来る限り威力だけでも落とそうとしたが間に合わなかった、といった感じ。

そもそも幻想郷に来て未だに一週間の水那が追尾系弾幕を避けられるはずがないのだ。浮遊するのだってある程度の高さと速度でないと無理だというのに…

 

「霊夢さん、やり過ぎだと思います」

「う、うっさいわねー!確かにちょっと力み過ぎたけど…」

「ちょっと?」

「……定晴さん、再生をかけておいてくれるかしら?」

 

なんともまあ傲慢というか…気絶させたのは霊夢なのに傍観者である俺の能力を使えと言う。

霊夢はこういった使えるものは使うの精神が根強い気がする。紫がいれば移動はスキマで〜と言うし、異変解決も誰かが勝手にやってくれたらそれはそれで楽〜という感じに他人に任せられる時は任せるのが霊夢だ。空を飛んだり家事のあれこれなどは比較的好きなようでそれは進んで…とは言わずとも文句は言わずにしている。

まあここで拒否する理由も無いし霊夢の言うとおり再生を掛けておく。無かったことになるのではなくあくまで癒えただけなので気絶などの類が直ぐに覚めるというわけではないが、暫くすれば自然と目が覚めるだろう。

 

「……まあこんな感じ。どうだった?」

「どうだったと言われてもなぁ…水那はそもそもの霊力量も少ないようだしそこは注意していかないといけないな。後は弾幕の実体化。この二つを重点的に教えていけばいいんじゃないか?」

「ふ〜ん、ま、いい意見にはなったわ。ありがとね」

 

そう言うと霊夢は俺から水那を受け取り母屋の裏手に運び込んだ。いつも霊夢たちが寝泊まりしている場所だ。こんな季節に外で寝かせておくと十中八九風邪を引くので建物の中で寝かせておこうということだろう。

水那を寝かせた霊夢が戻ってきた。霊夢にトテトテと近付いたあうんの頭を撫でている。こう見ると守り神と巫女というよりペットと飼い主だな。口には出さないけど。

 

「なんか失礼なこと考えなかった?」

「いや別に」

 

…博麗の勘恐るべし。

あうんが撫でられて満足したのか鳥居の方へ歩いていく。きっとそこが基本的な定位置なのだろう。狛犬って撫でたらご利益とかあったっけ。霊夢が狛犬を撫でて…いや、勘は運というより一つの才能だから違うか。

 

「それで、定晴さんはこれからどうするの?水那が起きたら水那と戦うのもいいけど」

「一度気絶してるのに起きたらすぐかよ…」

「あら、結構幻想郷だとよくある光景よ。特に氷妖精たちは」

 

まじかよ…怖いな幻想郷。気絶したんだからその日は休むべきだと思うんだがなぁ…

水那と戦うのも吝かではないが、今のところ弟子…と呼んでいいのかは分からないが…は妖夢だけで十分だし、水那がもっと慣れてから手合わせはしてもらうことにしよう。

そのことを霊夢に伝え、ついでに寺子屋に向かうことも伝える。何かあったら呼んでくれれば、行かないこともない。ただし依頼の形を取った紫以外からの初仕事なので変に印象を持たれるのもよくないし出来る限り対処はそちらでしてもらいたい。まあ俺を呼ぶようなことなど博麗神社には無さそうだが。

 

「じゃあ私は水那のとこに戻るからあんたも頑張ってきなさい。私から仕事を取りすぎるのは許さないけどね」

「へいへい…」

 

霊夢が背を向けると同じく俺もまた霊夢に背を向け鳥居を潜る。階段にあうんが座ってたので一声だけかけてから俺は博麗神社を後にした。

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