東方十能力   作:nite

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土日の間に筆が乗って何話か書けた場合は水曜日にも投稿します


百四十四話 居候

霊夢の補助の元さとりに連絡を出した。霊夢も巫女として式神の補助くらいならできるらしいが、俺も霊夢も未だに一人で式神を使役するのは無理そうである。いや、紙の式神程度ならば霊夢でも使えるだろうけど。

式神のプロである藍が言うにはルーミアを使役できるのだから紙など容易だろうとのこと。経験数が少ないかつルーミアのやつも例外に含まれるような事柄なので逆に紙だと感覚が掴みづらいのだ。

しばらくすればさとりから返事が返ってきた。今回の式神に与えた命令は[さとりの元まで行き連絡し、返事を書いてもらったら帰ってくる]というもの。こうすることでさとりに負担を掛けずに連絡を取り合うことが可能になるのだ。いくつかの命令を与えるというのはこちらの負担にもなるしな。多少複雑でも一つにまとめた方が上手くいくことは結構多い。

さとりからの返事は「仕方ないから一週間までは許す」というものだった。さとりも大体の場合はこいしは強く言っても話を聞いてくれないことを理解しているのだろう。さとりもさとりで苦労しているなと同情しつつ俺はこいしとお燐に返事を伝える。

 

「一週間までなら許すそうだ。その間は俺が様子を見るからな」

「はーい!」

「…じゃああたいは戻ってもいいのかな?」

「ああ、こいしの様子は俺が責任を持って見ておく。地底のようなことにはさせないよ」

 

地底のような、っていうのはこいしが誘拐されたやつだ。

あれは完全に俺の不注意で起きた事件だったので責任問題は俺にある。さとりは責めなかったが、自分自身あまりあのことは許せていない。

今回はルーミアがいるので俺が離れる必要があるときはルーミアに見てもらうことにする。幼女ルーミアも今ではある程度の力が出るし、本気を出せば大妖怪でもないと勝負にすらならないだろう。あの霊夢が敗北を喫したくらいだしな。

 

「あとお燐に伝言で、[帰ってくるときは明日の昼過ぎから]だそうだ。何があるのか知らんが、夜に移動するのはあまりよろしくないからとかそんな所だろう。妖怪とて女性が夜に一人で出歩くのは良くないからな」

「じゃあ今日はここで泊まらせてもらうことにするよ。寝る場所は気にしないで。動物状態になればソファの方が落ち着くから」

 

お燐がそう言うならソファで寝てもらおう。猫が寝る位置はベッドの掛布団の上か、ソファの上か、炬燵の下だと相場が決まっている。この家には床暖房もありはするので(霊力や妖力で動かせるように改造済み)夜の間はそれで温めておくとしよう。ソファと言えど冬の始めは寒いのだ。お燐のためにも少しでも温めおく必要があるだろう。地霊殿とここではそもそも平均気温が違うわけだし。

こいしに部屋を割り当ててついでに気になったことについても聞いておく。

 

「こいし、荷物何も持ってないけど大丈夫なのか?」

「へ?……そういえばそうだった!!」

 

まさかのノープランかつ手ぶら。一体何をしに来たのだろうか。

着替えとかもそうだし、女子なら必要なものが色々とあるだろうに何も持ってきていないというのも驚きである。泊めてと言ってきたのだから最初から泊めてもらいに来たのだろうけど、それにしても準備が無さ過ぎる。もう少し準備をしてから来ればよかったものの…いつもの突発行動なのだろう。

 

「うーん…お燐ー持ってきてー」

「えぇ…さとり様からも言われましたけど今日はもう帰れないんですよあたい。というかあたいも何も持ってきてないんですけど」

 

二人揃って頭を抱える。お燐もこういうところは少し抜けている部分があるな。こいしに何も説明されることなく連れてこられた可能性も捨てきれないが…というかそちらの方が可能性が高いけど。

 

「しょうがないから今日はあたいもこいし様も同じやつを着て寝ましょう。明日あたいが持ってきますから」

「りょうかーい」

 

なんとかまとまったようである。家にある女性服などルーミアの服しかない。こいしはまだしもお燐の体格ではルーミアの服は着れそうにない。大人ルーミアの服はあくまで幼女モードの時の服を妖力を込めて大きくしているだけらしい。

 

「よーし!話がまとまったから遊ぶぞー!今は…三時!おやつ食べるぞー!」

 

遊ぶとはなんだったのか。時間を見た瞬間に予定を変更した。臨機応変とは違う。子供特有のすぐに視線が目移りしてしまうあれだ。

というかおやつか。何の準備もしてないぞ。俺もルーミアもおやつを食べないし、食べるとしても人里で適当に買って食べている。やむをえない…

 

「こいし、おやつの準備をしてないから…」

 

そこまで言ってこいしの顔が悲しみに染まる。そこまで分かりやすく凹まれても困る。だがその表情は次の一言で喜びに変わった。

 

「…俺が今から作るがいいか?」

「いいよー!」

 

地霊殿にいる頃こいしにも料理を食べてもらったことがある。俺が料理下手じゃないのは分かっているだろう。

おやつ…多分三時に遊んでいたりしない限りはこいしは律儀におやつを食べようとするだろうから特殊なのは出来ない…あと今が丁度三時なので時間がかかるものも作れない…ドーナツでも作るか。

先日ドーナツを作った時の余りの材料があったはずだ。その時のドーナツは俺とルーミアが残さず食べてしまっていたので残っていないが、材料さえあればそこまで時間をかけずに作ることもできるだろう。

冷蔵庫や棚から必要なものを取り出し、ついでにチョコレートも取り出す。先日のドーナツはノーマルタイプだったので、ルーミアが飽きないように今日はチョコレートをかけることにしよう…っとその前に、

 

「二人とも、アレルギーはあるか?」

「無いよー」

「あたいも無いよ」

 

食べる側の食材的な問題を気にかけるのは料理人の務めだ。それを怠ってアレルギー反応が出てしまったら、確認不足のこちらのミスとなる。前もってメニューに書かれている場合はその限りでもないのだが。

こいしがソファに座ってルーミアとお燐と話している。こいしは紅魔館に行ったことがあるので霧の湖でチルノやルーミアとも会った事があったのだろう。チルノたちと身長はそこまで変わらないし、一緒に遊んだこともあったのかもしれない。

対する俺はドーナツを作り始めるとしよう。家にはなぜかドーナツを作れる機器も置いてあるので(過去にオークションで買ったのが放置されていた)こういった特殊なものも作ることができるのだ。

女性陣の会話をBGMに俺はドーナツを作り始めた。

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