東方十能力   作:nite

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一つ質問がありましたのでここで答えておきます
時系列についてですが

定晴幻想入り…0年目春の終わり

霖之助や妖夢との出会い…0年目夏

惰眠異変…0年目冬の終わり

地底生活…1年目夏

外の世界…1年目夏の終わり

現在…1年目冬の始め

となっております。
軽く流していますが定晴は既に幻想郷で一年過ごしています。


百四十七話 四人の朝

次の日。いつも通り起きていつもより多く朝食を作る。

多く作るなら早めに起きればいいのではと思うかもしれないが、別にそれぞれバラバラに作ってるわけではないから一度に作る分には起きる時間は関係ない。多少手間が増えるだけだ。

次に二階から降りてきたのはお燐。この家では客人用の空き部屋は全て二階にあるので見ていなくとも足音や階段の音でも誰か判断することができる。

 

「うにゃぁ〜」

「お燐、おはよう」

「おはようお兄さ〜ん」

 

眠気眼を擦りながら椅子に座るお燐。朝には結構弱そうだ。それでもルーミアたちよりも早く起きてきたのはさとりの従者のしての生活によるものだろうか。

俺はそれを横目で見つつ料理を続ける。朝ご飯程度ならば多少目を離していても問題なく調理は出来るが、そんなところで手を抜くのは料理人として許されない。

 

「おはよ〜ご…定晴〜」

「おう、おはようルーミア」

 

次に降りてきたのはルーミア。元々ルーミアは俺に合わせるように最近は起きていたのでお燐との差はそこまでない。

昨日の夜にこいしには説明することになったものの、お燐はその事実を知らないわけだしルーミアもそれを思い出して言い直した。朝は危ないかもと思っていたが、俺の杞憂だったのかもしれない。昨日の出来事のせいで少々意識が強いのかもしれないけど。

ルーミアがいつもの席に座る。元々椅子は四つ出しているのでお燐がルーミアの所に座る可能性もあったのだが、お燐はその四分の一を引かなかったようだ。

ルーミアが降りてきてから数分後。料理が完成する間際でこいしが降りてきた。俺が地霊殿に居たときはそれこそ朝食の時間になって呼びに行くまで起きてこなかった日も多いので、こいしにしては随分と早めの起床だ。やはり慣れない環境での睡眠はぐっすりとは行かなかったのだろうか。

 

「おはよー定晴ー」

「おはよう、こいし」

 

こいしが席に着いたら朝食の準備は完了だ。

今日の朝食は洋食で、パンにオニオンスープ。ベーコンとスクランブルエッグだ。地霊殿では洋食も和食も、なんなら中華も出ていたので見慣れないものというわけではない。

 

「「「「頂きます」」」」

 

地上だろうが地底だろうが食事の挨拶は同じだ。

幻想郷が日本にある時点で幻想郷の地下の地底にも地上のマナーなどが入ってくるのは当然だったと言えよう。

いつもルーミアと二人で話す時もこの時間はその日の予定について話すことが多い。

 

「お燐は何時に戻るんだ?」

「長居するのもどうかと思うからあたいはこの後博麗神社に行って正午あたりに戻るとするよ。昼食はあたいでなんとかするからお兄さんは準備しなくて大丈夫だよ」

「了解」

 

お燐はたまーに博麗神社で日向ぼっこしている姿を目撃されてある。狛犬のあうんは猫であるお燐に威嚇したりすることは無いようである。

さとりには苦労をかけることになったな。今回は俺に一切非は無いけども。こいしが勝手に地上に飛び出てきただけで、被害が出ていないのはさとりにとっても朗報となるだろう。フランほどでは無いにせよこいしも暴れると困る相手だからな。

そんなこいしの予定も聞いておく。

 

「こいしは今日の予定は?」

「…」

「こいし?」

「……」

 

あれぇ…?返事がない。なんとなくボーっとしているようにも見えるし、もしかしたら無意識状態なのかもしれない。それにしては食事で動かす手には迷いが無いように思えるが。

こういう時は多少強引にでも戻してあげてと前にさとりから言われている。

 

「こいし!」

「ふひゃあぁ!?なに!」

「大丈夫か?返事が無かったが…」

「え?う、うん!凄い元気!」

 

空元気な感じが否めない。

見た感じ体調が悪いというようには見えないし、やはり能力による弊害なのだろう。

尚こいしは俺の対角線の位置にいる。そして俺の正面にはルーミアがいて、二人は隣り合うように座っているのだが俺に聞こえない声で何か話している。身体強化を使えば聞けないこともないが、態々それでプライバシーを侵害する理由はない。

 

「気にし過ぎよ」

「なんか自覚したら変に考えちゃって…」

「はぁ…先が思いやられるわね…」

 

話が一段落着いたのか正面に向き直った二人。

ルーミアはやれやれと言った風な表情をしているが、一体全体何を話していたのだろうか。気になるところではあるが、ルーミアが俺に聞こえないように話していた事だ。女子だけの秘密ってやつなのだろう。

 

「えっと…それで定晴、何?」

「ああ、今日の予定は何かあるか?」

「ううん。特に何も無いよ。定晴が出掛けるならそれに付いていこうかなーって」

 

ルーミアも予定がない時は俺の行く先にフラフラと付いてくることがある。共通点などないように見えて意外と気が合う二人なのかもしれない。そういえば昨日俺が寝ようと思って寝室に向かっていたらルーミアの部屋から二人の声がしていた。何を話していたのかは知らないが、何かしら盛り上がる共通の話題でもあったのだろう。

さて、となるとこいしの予定はイコールで俺の予定となるのか。今日はルーミアも俺に付いてくるというので実質お燐以外の予定は全て俺に収束する。

うーん…折角こいしがいるしフランも交えて遊ぶか。パチュリーによる魔術教練もしないといけないわけだし、行き先は紅魔館で良いかな。俺は紅魔館に一週間に一度行くか行かないかくらいの常連である。二週間あれば必ず一度は顔を出すくらいには頻度が高い。

 

「じゃあ紅魔館に…」

 

と俺が言おうとして玄関のドアが叩かれた。

こんな時間に来るとは相当急ぎの用なのだろうか。

俺は朝食を中断して玄関に向かう。ルーミアが同棲しているのは秘密なのでいつも玄関で出迎えるのは俺の役目だ。その間にルーミアは隠れられる所に隠れるというのがいつものパターン。今日はこいしもいるし、お燐は事情を知らないので隠れる逆に怪しまれるのだが。

ドアを開けるとそこにはいつぞやの黒い羽。

 

「あやや、やっと会えましたよー。定晴さんは新聞記事でもないのに朝早いんですね〜」

「文か、どうした?」

 

幻想郷最高峰、妖怪の山の支配者の天狗。その内の一人、烏天狗の射命丸文だ。自称幻想郷最速らしいが、本当のところは俺もよく知らない。

 

「実は面白い話を早苗さんから聞きましてね?それで早苗さんと一緒に外の世界について取材をさせてもらおうかなと思いまして…」

 

外の世界についての取材か。前に文の書く新聞記事はあまり信用ならないと教わったが、取材される分には全く問題がない。

しかしそれでは俺に付いてくるという二人の行動が…

とここでルーミアとこいしが近付いてきて耳打ちをしてきた。

 

「私達は気にしないで頂戴。私も外の世界については気になるわ」

「私も。だから気にしないで定晴」

 

ふむ、二人からそう言われては断ることも難しくなる。

俺は文に取材を受けることを告げて約束の時間を取り決めた。今日の昼前、十一時から守矢神社で行うらしい。前に妖怪の山に行ってから守矢神社には顔を出していない。ここからだと移動だけでもそれなりに時間が掛かってしまうから仕方ないといえば仕方ないのだが。

文に呼ばれて中断していた食事を再開し、完食。片付けは皆が手伝ってくれたおかげでいつもの何倍もの速度で終わらせることができた。

 

「じゃあお兄さん、こいし様のこと宜しく頼みますね」

「おう、任された」

 

お燐がすぐに家を後にした。博麗神社に向かったのだろう。

昨日の夜に随分と親しくなったようで、ルーミアとこいしは楽しそうに話している。秘密がバレてルーミアが演技をする必要がなくなったのはルーミアにとっても決して悪いことではないだろう。

 

「ルーミアちゃんは本当に口調だとか雰囲気を切り替えられるんだねー」

「まあ慣れてるもの。ご主人様がいるとちょっと気が抜けていつもより意識しないとなんだけど」

 

出発まではある程度の猶予がある。俺から外の世界についての話を聞くにせよ二人は精神的に疲れてしまうだろうから今は休ませておこう。

かく言う俺は新しく調理器具を取り出した。

 

「あれ、ご主人様何か作るの?」

「守矢神社にな。折角だし手土産の一つでも持っていこうかと」

 

そこまで守矢神社とは接点がない俺だが、だからといって蔑ろにする理由にはならない。俺は覚えていなかったが、早苗と俺は外の世界で会っていたらしいしな。全くの無関係というわけでもあるまい。

 

「ルーミアちゃんはその呼び方恥ずかしくないの?」

「まあ…こいしがいるから少し恥ずかしいけど…ご主人様と二人の時は慣れたかな」

 

ルーミアとこいしの会話から俺も知らない話が聞けるかもしれないと思い若干耳を傾ける。

その後クッキーやらなんやらを作っていたら時間になってしまった。俺はルーミアとこいしを連れて家を出るのであった。

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