東方十能力   作:nite

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百五十二話 だからお風呂は一人だと言って…

食事も片付けも終えてまったりタイム。

幻想郷ではテレビもスマホも使えないので本を読むことが多いのだが…

 

「フランちゃん骨折で一回休み!」

「ひどい!」

 

この騒がしい二人もいるのでルーミアも入れて四人で人生ゲームをしていた。ボードゲームの定番ともいえるこれは幻想郷でも流れ着いていたらしい。しかもどこかの誰かさんが作ったこれは幻想郷版だと言う。しかも霊力や妖力などを操れる能力者向けだという。人里に住む普通の人間たちには相応の人間用があるらしい。

そう言われると確かに外の世界では見ないようなマスも見かける。妖怪に襲われて一回休みだとか博麗の巫女に脅されて十万失うだとか…妖怪目線なのか人間目線なのかよく分からないな。

また特殊なマスとして異変マスというのがあり、異変カードというものを引いて書いてある課題をこなすと成功になるらしい。失敗したときの代償もカードによって様々だ。

 

「はいこいしちゃん、異変カード引いてー」

「はーい」

 

っとそこでこいしが異変カードを引いた。

内容は、直径三ミリ以下の弾を生成すること。成功すれば五マス進めて、失敗ならば三マス戻る。制限時間は三十秒だ。

妖力だけでなく霊力や神力などは小さい弾を生成する方が難しいとされている。扱い方が下手な人は小さく作ろうとしても弾を破裂させてしまうのだ。イメージとしては…小さい箱にそれより若干大きい風船を詰める感じだろうか。

こいしは達成できず三マス戻った。

俺達が動かしている駒も普通の駒ではなく、魔法使いや博麗の巫女、翼が生えている吸血鬼のようなものなど幻想郷順守なものとなっている。あくまでそういう姿をしているというだけで顔などが書いているわけではないが、見た目の特徴からして魔理沙、霊夢、レミリアなど幻想郷でも有名な人物をモデルにしているのだろう。

そこで音が鳴った。

 

「風呂が溜まったな。遅くなるといけないから一旦中断するぞ」

「「「はーい」」」

 

意外と素直に聞いてくれた。こいしはともかくフランは変な事をするとすぐに帰されると思っているのだろうか。

 

「じゃあ俺が先に入ってくるからお前らは準備でもしておいてくれ」

 

女子は多分だけど色々と準備もあるだろう。俺はすぐに風呂に入れるが、三人は時間もかかるに違いない。そういう配慮で俺は先に風呂場へ向かった。

 


 

自分の部屋のタンスから寝間着を持ってきて脱衣所へ。

それにしても俺の家にルーミア以外に二人も女子が泊まることになろうとは思わなかった。別にここは宿でも何でも無いのだが…二人とも結構な身分、従者的に言うなれば『妹様』になるから俺の家みたいな一般的な家の方が二人は新鮮なのかもしれない。

こいしの時は色々と隠そうとして失敗した反省を踏まえたのかルーミアはフランに前もって居候であることを伝えたらしい。だがルーミア曰くその時のこいしの洞察力は凄かったらしいので前もってしていたら誤魔化せていたかは少々疑問だ。

 

「ま、そこらへんは自由にしてくれればいいか」

 

俺はそう決めつけて風呂に入る。

シャワーを使って体と髪を洗う。この家の浴槽はやたらと大きく、二人や三人くらいなら一緒に入ることができる。そのせいで銭湯のような感覚になり、桶で浴槽からお湯を掬って使うというのに慣れないからシャワーを使っている…が、俺は後に浴槽の中を見ておけばよかったと後悔する。

 

「ん?」

 

浴槽に足を入れてから、浴槽の中に何かあることに気付く。

金色の…ってこれは!?

 

「ざっばーん!お兄様!」

「フラン!?」

 

…圧倒的なデジャブ感。

どうしてどいつもこいつも浴槽の中に隠れているのだろうか。妖怪とは言え俺が身体を洗っている間息を止めておくのも大変だろうに。

 

「というかフラン、タオル巻けよ!」

「え〜、こいしちゃんも一緒に入ったんでしょう?なら私も良いわよね!なんて言ったって妹なんだから!」

 

その妹は血縁関係のあるものではない、というかフランが勝手に呼んでいるものだ。そう言っても聞かないだろうけど。

多分だけどフランはこいしが一緒に風呂に入ったことを聞いて自分もやってみようと思ったのだろう。なぜそういった部分の行動はやたらと早いのだろうか。少女の生態は謎が多い…

 

「どうしたの〜?」

 

そして前回の元凶こいしも現れた。

こいしの声に反応してフランが声を上げる。こいしもお燐たちに声を上げていたけど、どうして自ら事態を悪化させていくのだろうか。これレミリアとかだったら本当に心臓を五回ほどグングニルされているところだ。

 

「こいしちゃ〜ん」

「!!!…私も入る〜!」

 

そしてこいしが脱衣所でゴソゴソしたかと思ったら浴室に入ってきた。

 

「だからお前らタオルを巻けって!」

 

もう少し少女としての自覚をするべきだと俺は思う。

外の世界だと犯罪になりかねない今の状況は俺のせいではないし、どうこうするつもりではないけど俺が悪い人だったら二人とも性犯罪の的にされているところだ。そんなことはないと俺を信頼しているのかもしれないのだけれども。

こいしはささっと体を洗って浴槽に入ってきた。

 

「…」

「お兄様どうしたのー?」

「呆れているところだ」

 

よし、風呂から出よう。今この家には他にルーミアしかいないし、まさか天狗も風呂場を覗くなんてことはしないだろうから非ぬ誤解を受ける心配はないが、個人としてあまりこの場にいたくない。

 

「俺は出るからな」

「「えー」」

「入っていたいなら二人はまだ入っとけ。のぼせるなよ」

 

それだけ言い残し風呂場から出る。

水気を拭き取り霊力式ドライヤーで髪を乾かしたら服を着る。見ればフランの服は巧妙な場所に隠されており、こいしの服は脱ぎ散らかされている。多分こいしの時も隠してあったのだろう。あの時は態としてたわけじゃないだろうし(返事をしなかったのは態とだろうが)何か隠したいものでもあったのかもしれない。

いたたまれなくなって出たが、温まってはいるので良しとしよう。

リビングに向かったらルーミアが若干ニヤニヤしてこちらを見てきた。

 

「随分と騒がしい風呂だったようね?」

「知ってたな?」

「さぁね〜」

 

絶対知ってた。

どうもこいしともフランともそれなりに仲が良い様子のルーミア。あの二人関連のことでは隠していることがあるような素振りを見せるし、多分だが俺はルーミアに弄ばれている。

 

「まあまあ、はいホットコーヒー」

「…さんきゅ」

 

騒がしい二人が風呂に入っているであろう中、俺とルーミアはコーヒーを飲んで落ち着いていた。

 


 

風呂場に入ったらすぐに定晴は出て行っちゃった。

 

「むぅ〜」

「仕方ないよこいしちゃん。お兄様はあれでいて結構そういうところ気にしているみたいだし」

 

一度私と一緒に風呂に入ったんだし、今日は怒ってくるお空達もお姉ちゃんもいないのに…まあ異性の裸を見ることが気になるんだろうけど。

因みに私はルーミアちゃんに気持ちとか想いを教えてもらってから一緒に風呂に入った、ないし裸を見られたってことを考えてしまうと恥ずかしくなってしまうようになった。意識していない間は問題ないけど、一度意識してしまうともう恥ずかしくなってしまうのだ。少女のように振る舞いたいって気持ちと女性として見てもらいたいって気持ちが両方あるせいだと思うけど…

 

「それにしてもフランちゃんは思い切ったね」

 

これ以上考えると脳内で地雷踏みそうだったから思考を変える。フランちゃんが何でこんなことをしたのか…もしかして定晴に気が、なんて。少しだけ思ってたりもするけど。

 

「えへへ、裸見られるのは恥ずかしいけど一緒に入りたかったし」

「…定晴が兄だから?」

「まあそうかなぁ」

 

妹として兄とか姉とかと一緒にいたいという気持ちは分かる。フランちゃんにとって定晴は正直なところ他人ではあるけど、私にもフランちゃんにも血の繋がった姉がいる。分からない話ではない、と思う。

ついでに…でもこれ聞くのはなぁ…いやいや、折角二人っきりなんだしこの際だから!

 

「あのさ、フランちゃんは、その、定晴のこと好き?」

「ええ、好きよ。恩人だもの!」

「そ、それってさ、恋愛的な意味?」

 

そう聞くとフランちゃんが固まってこちらを見てきた。

いざ聞いてみると緊張して言葉が詰まっちゃうけど、ここはフランちゃんの返答を待たないければ。

 

「…どうなんだろう?私はまだお兄様に甘えてる立場だし、気持ちの部分はよく分からないの。でもお兄様は素敵な人で一緒にいると少しドキドキするってことはあるかな」

 

フランちゃんは凄い。気持ちがちゃんと分かってる。

私なんてルーミアちゃん相手にベタなボケをしてしまったわけだし、その時点で私とフランちゃんには壁がある。でもフランちゃんと違って私ははっきりと自覚した。ルーミアちゃんのおかげではあるけど。

 

「それを聞くってことは…こいしちゃん、お兄様に恋した?」

「ふみゃあ!?」

「やっぱりそうなんだ…」

 

吃驚して変な声が出ちゃった。

まさかフランちゃんがそこをストレートに聞いてくるとは思わなかったから驚いた。というか友達相手に直球で聞けるのがまず凄い。

 

「…うん、応援はしないよ。だって私のお兄様だもの…ああ、こういう独占欲みたいなのは私がお兄様を異性として見てるからなのかな。分かんないけど、私がお兄様のことをお兄様としてではなく定晴さんとして好きになったら。その時は恋バナに交ぜてね」

「う、うん」

 

そうして私達は風呂から出た。

全然気持ちは落ち着かなかったし定晴と一緒に入れたのは少しだけだし、フランちゃんに乗せられた感じもするし…やっぱフランちゃんは地下で本を読んだりなんだりの経験があるからか、私よりも数段上の女の子って感じがする。

それに対して私は定晴のことを余計な時に考えると落ち着かなくなってしまうわけだし…でもこの気持ちが好きってことだろうから嫌な気分ではなくて…なんか熱くなってきちゃった。

風呂とは違う時に熱くなってしまう私だった。ある意味ではのぼせているのかもしれない。

 

 

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