東方十能力   作:nite

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百五十三話 弾幕ごっこのお誘い

今日でこいしの泊まりも折り返しの四日目だ。

そして俺は毎日少女たちの行動によって疲弊してしまっている。俺も若い方だとは思うし、実際年齢的に言うならフランもこいしも俺よりも何百年も長く生きているはずなのだが、どうしてか俺は俺よりも小さい子供を連れているように振り回されっぱなしだ。

 

「おはよ〜お兄様〜」

 

いつもよりも間延びしている声と共に起きてきたのはフラン。

ルーミアは既に起きていてソファで本を読んでいる。こいしはまだ眠っている…フランは吸血鬼としての生活よりかは幻想郷一般の時間に合わせているようなので朝に起きるというのもおかしくはないのだが、夜の間が強いと思うし朝ももっと元気があるかと思っていた。

あれ、でも、フラン達吸血鬼からすれば俺達にとっての朝は吸血鬼にとっての夕方となるやけだし眠いのは当然なのか?分からなくなってきた。

 

「今日は簡単に作れたからもう出来てしまったな。ルーミア、こいし呼んでくれ」

「ラジャー」

 

ルーミアが廊下の奥に消えた。そして声を上げているようだ。

こいしの寝起きは衣服がよく乱れているので、多分深い眠りと激しい寝相なのだろう。無意識能力のこいしが一体どんな夢を見ているのか、気になるところではあるが他人の夢を見るなんて芸当は出来ないので想像するしかない。

ルーミアが三回ほど声をかけて戻ってきた。その数分後、こいしが下りてきた。やはりと言うか寝間着が乱れていて髪も荒れている。相当深い眠りだったのだろう、こちらからすればきちんと眠れているようです一安心といったところ。

 

「こいし、座れ」

「ん〜」

 

[う]と[ん]の間のような声で返事をするこいし。こいしは朝がやたらと弱い。

 

「「「いただきます」」」

「…いただきますー」

 

こいしが一拍遅れて食事の挨拶を行う。

まあ別に俺は一々マナーでとやかく言うようなことはしないし、そもそもマナーでしつこく言えるような生き方はしていないので大丈夫なのだが、さとりとかに注意はされないのだろうか。

今日の朝はパンだ。それに卵。他にも色々あるけど、どれもシンプルな朝食だ。フランは逆にこういったシンプルな朝食は食べないだろうという判断のもとこの献立になった。

いつもの通り朝食中にスケジュールを確認する。食べながら話しているわけではない。

 

「お前ら。今日はどうする?」

「お兄様と遊ぶ!」

「定晴と遊ぶ!」

「…じゃあ私もそれでー」

 

朝食の効果かこいしが元気に返事をする。

ルーミアは完全に場に流されているが、もとよりこいしとフランの二人が俺といるのならルーミアも一緒にいた方がいいだろう。自衛能力があるから一人でどこかに遊びに行っても心配ないのだけども。

 

「俺と遊ぶって…何するんだ?」

「「弾幕!」」

 

弾幕…弾幕ごっこの事だろう。

弾幕ごっこは元々霊夢が人と妖怪の間のしがらみを解決するために作ったものだが、こうして子供たちの遊び道具としても優秀だ。霧の湖ではよく妖精たちが遊んでいる姿を見る事ができるのもそれが原因の一つだろう。

人間とて誰でも弾幕を扱うことができるわけではないが、老若男女問わず楽しめるeスポーツ感覚で見ているだけでもそれなりに面白い。なにせ見た目の綺麗さも弾幕ごっこのルールの一つだからな。

閑話休題

 

「じゃあ後でやるか」

 

そういえばフランと弾幕ごっこをするのはそれなりに機会があるのだが、こいしと弾幕ごっこをするのは初めてだな。地底にいたときは地底探索の名目でこいしとぶらぶらすることもあったが、弾幕ごっこは案に上がらなかった。観光ではなく依頼として地底にいたのだし正しいと言えば正しいのだけど…

 

「…じゃあ私が片付けしておくから定晴は弾幕ごっこの準備をしておくのだー」

「ああ、助かるルーミア」

 

ルーミアはこういうときに率先して色々とやってくれるからありがたい。式神としての役割も板についてきたといった所だろうか。別に俺は今のところ強制的に何かさせたことはないのだけど。

 

「あ、でも…」

 

そこでフランが何か心配そうな顔で声を出す。何か問題があったのだろうか。

 

「この時間じゃ私日傘持ったままじゃないといけないや」

 

そういえばそうだった。フランは吸血鬼の特徴である日光に弱いという面がしっかりと出ている。

日傘などで防げば問題ないらしいが、それでは弾幕ごっこをやりにくいだろう。もし日傘が弾によって弾かれてフランが直射日光を浴びたりしたらレミリアに何て言われるか分かった物じゃない。それにある程度の傷ならば俺が再生を使えば治せるのだが、アニメで見るような当たった瞬間灰になるみたいなことになるとそれこそ取り返しがつかなくなる。

何とかして日を遮ることができればいいのだが…

 

「ルーミアちゃん、何とかできない?」

「私の闇は…」

 

今のルーミアなら屋根のように闇を展開することも可能だ。しかしそれは封印が外れているからこそ。

元々のルーミアは闇は自分の周囲にしか展開することができなかった。しかも展開しているルーミア自身周囲の様子が分からないという果たして意味があるのかという能力。こいしは教えたからいいが、フランは事情を知らないのでそういった特殊な能力を見せるのもあまり得策ではない。

ルーミアが言い淀んだのを見てこいしも何かを察したかそれ以上の追求をやめた。こいしは何かと察する能力が高いように見える。無意識を操るっていう能力も未だによく分からない部分があると言うしやはり何かしら影響があるのだろうか。

 

「うーん…」

「じゃあ取り敢えず私としよ!フランちゃんのは後で考えよう!」

 

こいしがそう提案する。

確かに俺とこいしがやっている間に二人に考えてもらっていた方がいいかもしれないな。

 

「じゃあ取り敢えずやるかこいし」

「やったー!」

 

こいしが外に駆け出す。

 

「…食休みしてからな?」

「…はーい」

 

俺も食べた後にすぐ動くのは気持ち悪くなるのだ。仕方がない。

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