東方十能力   作:nite

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百五十四話 無意識の弾幕の遺伝子

こいしに連れられ外に出る。こいしは相当期待していたようだ。

俺の後ろからルーミアと日傘を持ったフランが出てきた。

フランとルーミアには家の前で待っていてもらって、俺とこいしは少し離れた場所へ。弾幕というのは基本的には全方位に拡散されるのである程度距離を取らなければ流れ弾があたってしまうのだ。元より非殺傷の弾を使うのがルールなので当たったところで気絶が限度ではあるが、痛いのは変わらない。

 

「よーし、いくよー!」

「へーい」

 

こいしは元気一杯で声を出す。そして飛び上がった。

実を言うと弾幕ごっこを空中で行わなければいけないルールはない。元より人間対妖怪という形式で作られたものだ。人間とて全員飛べるわけではないし、妖怪贔屓とならないためのルールだろう。

空中の方が有利だと一概に言えるわけでもない。なんせ空中だと上や下からくる弾も避けなければいけないからだ。回避できる方向が増えればその分弾が飛んでくる方向も増えるということである。

 

「スペルカードは三枚ね!」

「了解」

「それじゃあ…」

 

そう言ってこいしが力をためる。何とも分かりやすい予備動作である。

 

「とりゃあああ!」

 

開幕から濃密な弾幕。一応規則性があるから通常弾としては全然構わないのだが…こいし、テンション上がってるなこれ。

俺は輝剣を召喚し、いつものように弾を斬ったり弾いたりしながらこいしに近付く。俺のスペカはどうにも近距離向けなのである程度近付かなければいけない。いつものことだけど。

 

表象「夢枕にご先祖総立ち」

 

俺の左右にビームのような、ウェーブのような攻撃。

そしてこいしの後ろに行ったら次は俺に向かって飛んできた。先祖の霊…みたいなものだろうか。幻想郷では幽霊も比較的見る事ができる身近な存在なので特に不思議ではないけど、多分本物ではないだろう。

ただこの攻撃は輝剣では斬れないな。弾が大きすぎて被弾覚悟で行かなければ切れ込みをいれるだけにとどまってしまうだろう。

俺は小さい弾は斬り、大きい弾は回避するという方法でスペルカードを攻略していく。分かりやすいパターンなのでこれはスペルカードを使わずとも攻略できそうだ。一定時間が経ち俺はスペルカードを使うことなく攻略を達成した。こいしはまたもや通常弾へと切り替えるが、俺はそれより先にスペカを使用する。

 

結界【緩衝散破】

 

この結界は一つ一つが通常弾ほどくらいの大きさしかないので一見すればあまり変わってないようにもみえるが、これの肝はそこではない。

 

「あ!弾が!」

 

俺の結界によって作られた弾…結界弾とでも呼ぼうか…がこいしの弾に当たった瞬間こいしの弾をかき消したのだ。

そう、このスペルカードは弱い攻撃を沢山する相手にほどよく効く。勿論強い攻撃に当たれば逆にこちらの結界が破られ消えてしまう。普通の弾幕ごっこでは双方の弾幕は基本的に干渉し合わないのでこういった事は起きないのだが、このスペルカードを使用していると俺の弾よりも弱ければ消え強ければ俺の弾の方が消えるという現象が起きる。奇跡的に俺の結界と同等の強さの弾だった場合はどちらも消えて、いわゆる相殺というのが起きるわけだが。

こいしの通常弾ではどうしても威力が足りなかったのか二枚目のスペルカードを使用してきた。

 

本能「イドの解放」

 

こいしから放たれるのは…ハートか?

ハート型の弾幕のようだ。どうもそれなりに力が凝縮されているようで俺の結界はあっさりと砕けて俺のスペカが攻略された。

それにしてもハート型のせいか若干回避しずらい。普通の弾とは違って出っ張りや凹みがあるのが災いしていつもの回避では被弾しそうになってしまう。その分輝剣を使えば一部を切り取って消すことはできるみたいなのでそれを利用して回避する。

そしてなんとかスペルカードを攻略した。こいしは若干疲れているようだ。多分スペルカードの名前に解放とあったのでそれなりに疲れるのだろう。別にスペカ名がそのまま体を表すわけではないのだけど。

 

「むー…前に魔理沙に勝ったこともあるんだけど…」

「それは俺と魔理沙の戦い方の違いだな。魔理沙は持ち前の速度で回避するが俺は輝剣を使って切り伏せるタイプだからな。苦手なスペカなども色々と違う」

 

魔理沙は弾の火力や迫力は霊夢や俺よりもあるが、霊夢のようにホーミングしたり俺のように弾に干渉するタイプではないので大きく動く必要があるスペルカードには弱いのだろう。あと性格の面もあるだろうが多分細かい動きをする必要がある弾幕も苦手と見た。

だがそうだとしてもこいしは魔理沙に勝てるほどの実力があるということだ。魔理沙は俺よりも断然歴戦のプレイヤーだ。そうそう負けることなどないだろう。

 

「ぐぬぬ…」

「現在こいしが二枚、俺が一枚。こいしは若干被弾しているし、次俺がこいしのスペカを一枚以内で攻略できれば俺の勝ちってのでどうだ?」

「望むところ!」

 

こいしが最後のスペルカードを取り出し宣言した。

 

「サブタレイニアンローズ」

 

こいしから円状に弾幕が展開された。綺麗に円状に並んでいる弾に何かが重なっている…これは薔薇か。赤い薔薇と青い薔薇がそれぞれ違う方向で弾に沿って移動している。

小さい弾を斬っても薔薇が消えることはなく、薔薇自体は斬ることもできない。こいしの最後の攻撃といったところか。

時間が経つにつれて段々と薔薇と薔薇の間が狭くなっていき密度が増していく。このままではまずい…

小さい弾はある程度まっすぐ飛んできており人一人が回避できるだけの隙間しか空いていない。だがこの隙間があれば…

俺は左手にスペカを構えて宣言できる準備をする。このスペカに必要なのは速度と集中。ずっと動いていなければいけない弾幕ごっこの中では中々に発動条件が揃いにくいスペカなのだが…

使用するタイミングも重要で、このように横からも攻撃が来ている弾幕には実は言うと弱い。俺は弾を斬るのをやめて後ろに剣を下げ構える。

小さい弾幕と大きい薔薇。とても濃い密度。それでもその隙間からこいしの姿を確認すると同時にスペルカードを宣言する。

 

閃光【一】

 

俺の能力をフルに使用して加速。そのままこいしの背後まで一気に斬り抜ける。

途中で小さい弾に一発だけ当たってしまったがそれでも構わず突撃しこいしを切り伏せた。

 

「ふにゃぁ…」

 

こいしの弾幕が消えて落ちたので下に降りて支える。

 

「うーん…強いねー定晴」

 

何とか有言実行。俺はスペルカードを一枚だけ使いこいしの最後のスペカを攻略したのだった。

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