東方十能力   作:nite

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百五十九話 調査依頼

次の日。俺は霊夢に呼ばれて博麗神社に訪れていた。霊夢が俺を呼ぶなんて今までなかったことだし何か重要なことでも話すのだろうか。

 

「いらっしゃい定晴さん。取り敢えず中に入って」

 

霊夢に促されて裏手に回る。神社の正面は参拝などをする場所だが裏手は霊夢の生活スペースになっているのだった。そこには萃香、針妙丸、水那に加えていつもならこの季節は眠っているはずの紫がいた。

 

「紫?」

「久しぶりね定晴。なんて言っても数週間前に外の世界絡みで会ってはいるけど」

 

水那の記憶関係で紫と戦った時の事だろう。俺にとってもスキマというのは厄介なので本当にシコリを残すこと無く終わってよかったと思う。

それはそれとして俺の呼びつけた理由は何なのか。俺が机の周りに座るのを確認すると紫と霊夢は目配せをして話し始めた。

 

「定晴さん、黒病って知ってるかしら?」

 

つい昨日新聞で見た内容だ。まさかこんな所でその話を聞くとは思わなかったが…いや、だが妖怪と人間のバランスを崩す可能性があるものだし皆無ってわけでもないか。

 

「ああ、昨日新聞で読んだ。妖怪の山で流行っているらしいな」

「ええ、確かに感染者数が多いのは妖怪の山よ。でも感染者は幻想郷中にいるわ」

 

まああり得る話だろう。妖怪の山は完全に封鎖しているわけではない。外との出入りもあるだろう。そんな状況で感染が広がらないなんてことはないのだ。感染源が妖怪の山なのか別の場所から運ばれてきたのかは不明だが。

 

「この病気は実は人間にも感染するの。いえ、これは感染というより発症ね」

「というと?」

「これは別にウイルス云々の話ではないのよ。言うなれば急に流行り出した体調不良みたいなものね。どうもどこかに強い妖力を持つ妖怪がいてその妖力に当てられて体内の力が不安定になってるらしいのよ。まあ不安定になる原因は他にもあるから必ずしもそうとは言えないのだけど…」

 

なるほど…確かにそれは発症と言うべきだろう。

強いものに引っ張られて弱い方はバランスが悪くなるというのは実際結構よくあることだ。我らが地球の引力だって太陽や周囲の惑星の影響で歪んだ形をしているからな。

しかしそれでは問題がある。

 

「じゃあ目の下が黒になるのは何が原因なんだ?」

「そっちは分からないのよねぇ…」

 

そう小さく呟いたのは紫。さすもの紫とて医者ではない。というより幻想郷には超優秀な医者である永琳がいるのだ。紫とて話を聞きに行ったことだろう。それで分からないとなれば身体的なものではない可能性が高い。

それともう一つ…

 

「その強い妖怪をどうにかしてしまえばいいんだろう?そっちはどうなっているんだ?」

「それが不思議なんだけど、何故か妖怪の山の多くの妖怪を麻痺させるほどの妖力を持っているはずなのに全然見つからないのよ。妖力が漏れているからこそこんな風になっているはずなのに全然分からないのよね。どこかに隠れているのかそれとも狙って妖力を開放しているのか…そうだとしても解放した時に分かるはずなんだけど…」

 

紫も色々とやったうえで分からなかったようだ。紫の移動能力はすさまじいので幻想郷中を見て回ること簡単だろうに、それが分からないのだとしたら相手は相当のやり手の可能性がある。

 

「そういうわけで後はもう生身でひたすら探すしかないわけよ。ここまで言えばわかるわよね?」

「なるほど。それを俺に探せって言ってるわけか」

「そういうこと。今回は霊夢と水那にも参加してもらって三人でお願いするわ。霊夢と水那は博麗の巫女としての仕事だからあれだけど、定晴は依頼ということにするわ。いいかしら?」

「任せろ」

 

霊夢と水那と俺。三人もいれば幻想郷で強い妖力を持っている妖怪を探すことは結構容易に思える。実際紫が見つけきれなかったのだから簡単にはいかないだろうが。

 

「見つけた場合対話が可能なら連れてきてもらってもいいかしら。それが不可能なら退治をしてくれて構わないわ」

 

シンプルだ。説得ができるなら平和的に、無理なら暴力的に。幻想郷らしい分かりやすい内容で俺もありがたい。

 

「私は病気について他にも調べてみるわ…実はというとこれで藍が倒れたのよ…」

「藍が!?」

 

あの狐の中でも最高の九尾の妖怪である藍すらも不安定にさせるほどの妖力。そんなに影響力があるのに未だに見つかっていないというのはやはり何かあると考えて良さそうだ。

多分紫も藍が倒れて仕事に影響が出てしまったから解決しようとしているのだろう。藍は紫の式神だ。なので幻想郷管理の仕事の一部も担っているというその藍が倒れた時の影響は思っているよりも大きいだろう。

 

「それじゃあ頼んだわよ」

 

そういうと紫はスキマで帰っていった。

俺たち三人は立ち上がって伸びをする。いや、水那はどうも緊張しているようだ。

 

「ほら、しっかりしなさい水那。初の博麗の巫女の仕事よ」

「だから緊張してるんですよ!うう、私がその妖怪に会ったとして私でどうにかできるんでしょうか…」

 

そうか。水那にとっては初仕事になるのか。それは確かに緊張するかもしれないな。

霊夢は針妙丸と萃香に留守番を頼んで外に出た。それに俺達も付いていく。

 

「じゃあ早速始めるわよ。私は妖怪の山付近を探すわ。そこが一番可能性が高いから。水那は人里近くを頼むわ。人里には友好的な妖怪がそれなりにいるから何かあっても大丈夫でしょ。定晴さんはそれ以外の場所を全面的にお願いするわ。霧の湖は私が見るから…三途の川方面を頼むわ」

 

こうして俺たちの方針が決まった。

俺だけやたらと範囲が広いような気がするが、多分霊夢は唯一報酬を貰うんだからそれ相応の仕事量をしてもらおうってところだろう。

霊夢と水那が飛び立った。俺は少し待ってから階段を下りて繋がりに妖力を込めた。仮契約の状態は継続中、だが本契約と同じ効力を持つのなら…

 

「はいはい。お呼びかしらご主人様?」

 

式神召喚。こんな感じなのか。

ルーミアに簡単な概要を説明し俺とは違う方向を見てもらうように頼む。ルーミアは頷いた後に飛び立った。

俺も行動開始だ。

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