風の能力で飛んで博麗神社に帰還する。
この能力。実は結構厄介なことがあって、嵐のように風が強い日は空を飛ぶことができないのだ。なにせこの飛行方法は風を纏っているだけであって、霊力や妖力で浮いているのとはわけが違うのだ。風だけで何で浮けるのかと言うと俺にも分からないのだけど。
それはともかく、こうして博麗神社に戻った俺はその後に戻ってきた霊夢と共に情報交換をすべく水那を待っていた。人里の近くだしそこまで時間はかからないと思ったが、どうにもそういう訳にはいかなかったようで二十分も待つことになった。
そして帰ってきた水那は…かつてルーミアに敗れてボロボロになった霊夢と同じような状態で気絶していた。
「人里の近くの森の中で倒れていたんだ」
そう話すのは慧音。実際に発見したのは森の中を巡回していた人間だったらしいが、水那の姿を見て只事ではないと分かり慧音が連れてきてくれたようだ。博麗の巫女は人間側。水那は知らぬ間に人里との交流をしていたようである。
「妖力とか感じなかったのか?」
「いや…申し訳ないが気付かなかった。見習いとはいえ博麗の巫女である水那がここまでやられる戦闘であれば気が付くと思うのだが…」
水那はまだまだ修行をサボっている霊夢にも届かないほど未熟だ。そも記憶改竄をしないまま外の世界から連れてきたから馴染みにくいのだと紫がたまに愚痴るのだが(少なくとも俺の目が届く時にそんなことはさせないし弾幕ごっこではない戦いで一応の決着もついてるので呟く程度)それでも水那はよくやっている。それをここまでするとは何者なのだろうか。
だが…
「目覚めてから何があったか聞けばいいでしょ」
霊夢の言う通り水那が目覚めてから聞けば良いのだ。意思が無いのか将又ミスか、水那は重傷を負っていながらも生きている。何が起きたのかを聞くくらいならば容易だろう。
俺と霊夢は慧音にお礼を言い慧音は人里へと戻った。慧音が人里から離れるのも少々問題なのだが、博麗神社までの道を陸路で進むとなるとそれこそ大変なので慧音に頼るしかなかったのだろう。本当に感謝だ。
「そうだ。霊夢、一応ルーミアにも捜索を頼んでいる。危ない時は封印解除しても良いと言っているんだが…」
「それ、また暴走しないでしょうね?」
「大丈夫だ。そもあれは俺が常に意識を向けている必要をなくすためのものだし、何かあればすぐに分かる」
現在のルーミアがつけているリボンは単なる封印の術がかけられているのではなく俺の式神の主としての力を込めている。なんならポケットにでも入れておけばある程度の効果は発揮する。本人はリボンがないと落ち着かないらしく専ら頭につけてはいるが。
そもそも前回霊夢が反撃された時のあれはルーミアとどこぞの野郎の約束によるものだ。また、ルーミアが暴走したのもそいつが何らかの力によってルーミアを暴走状態にしたまでに過ぎない。実際のところ封印が無くともルーミアが暴走することはないはずなのだ。
「…普通式神とは遠く離れてても連絡ができるんだけどそれは?」
「そうなのか?俺はできないが」
…そろそろ式神の契約をしっかりとするべきだろうということは分かっている。だが妙に忘れてしまって俺もルーミアも家にいるときその話題が生まれないのだ。
「ごしゅ…定晴ー」
「別に私はあんたと定晴さんの関係は知ってるから気にしなくていいわよ」
「私が気になるの」
それでも素の口調で話すルーミア。流石に俺のことをご主人様と呼ぶのは恥ずかしかったのだろう。藍は紫の事を紫様と呼んでいるわけだし、橙とて同様。藍が仮契約での不安定さ故とも言っていたしルーミアと契約をきちんとしなおせばある程度は直せることだろう。
「ルーミア、何かあったか?」
「こっちは何も。そこで水那が倒れてるってことは人里近くが当たりだったってことじゃないの」
「まあ別の妖怪にやられたって可能性もないこともないけどな」
だがその場合慧音が気づかないのはやはり謎だし、そもそも水那をあそこまで出来る妖怪が人里近くにいる場合誰かしら先に気付いている。
水那がいつ起きるのか分からないけど、このまま放置しておくのも行けない気がする。
「霊夢、霊夢は水那の様子を見ておいて俺とルーミアが人里近くを見に行くのはどうだ?」
「そうねぇ…そっちの方が効率がいいか。私は水那のことを見ておくだけでいいしそれで行きましょ」
霊夢の認証も得たので俺とルーミアは人里に向かって飛び出した。
水那をここまでする妖怪がどういう姿なのか、目的は何か、能力は何か。一つでも情報を多く得ることが最重要として俺とルーミアは気持ちを入れなおした。
キリがいいので短いですがここで切ります