東方十能力   作:nite

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百六十二話 破裂

俺とルーミアが並んで飛ぶ。周囲から見れば…というか最近俺とルーミアがよく一緒にいるところを見ているチルノたち妖精やフランが見れば俺とルーミアの関係性も気になるかもしれないが、今回は緊急なので諦める。

人里は博麗神社からも結構近いところにあるので、移動時間はそこまでかからない。博麗神社と人里の間には妖怪も多く住んでいる森があるが、空を飛んでいる俺達にとっては障害にすらならない。たまに森の中から妖怪が飛んでくることもあるのだが、今日はそういったこともなくスムーズに人里に到着することができた。

だが今回調査するのは人里の中ではなくその周辺だ。水那をあの状態にして尚且近くの人里にいた慧音に存在を気付かれないほどの妖怪。ただ純粋に妖力が多いとかそういう問題ではないだろう。

 

「ルーミア、左回りで見てくれ。俺は右回りで確認する」

「了解」

 

俺とルーミアは人里の入口で左右に別れる。

水那が発見された当時犯人の妖怪は近くにいなかったのだという。もしかしたら近くで隠れていたのかもしれないが、どのみち森の中で隠れていることだろう。

水那を倒したあとに人里に逃げ込んだ可能性もある。人里に妖怪…勿論人間に有効的な…が入ってもそれが堂々と妖怪であると分かるような状態でなければ問題にならない。要は変装もとい変化の術などで人間に化けている時は人里に逃げ込んだとしてもバレないのだ。

だが…妖力の強い妖怪が人に化けたところで内包する力の大きさを隠せるわけではない。水那を倒せる妖怪が変化して…なんてのは…

 

「おーい!定晴ー!」

「ん?」

 

横から俺を呼んだのはチルノだ。大妖精と一緒に、手にお菓子を持っているところから察するに人里で手に入れたものだろう。

 

「慧音先生から聞いたぞ!なんか探し物をしてるらしいじゃないか!仕方ないからあたいも手伝ってやる!」

 

そう意気込むのはチルノ。チルノはよくこんなふうに話すのだが、素直にいれてと言うのは恥ずかしいのであくまでチルノが仕方なくという体を取ろうという分かりやすい作戦だ。

だが生憎と今回ばかりは危険なので…

 

「悪いがダメだ」

「んな!あたいの誘いを断ろうっての!?いい度胸じゃない!ここでどちらが上かもう一度わからせる必要がふぎゃん!」

 

そこに弾が炸裂した。チルノの後頭部にクリーンヒットである。さすがに手加減はしていたようでそれで気絶することはない。

 

「もう!先生に邪魔しちゃだめって言われてたじゃん!すみません定晴さん」

「あー…気にしないのでくれ。ただ今回のは本当に危険だから知らないフリをしててくれないか?」

 

俺がそう言うと大妖精は頭を下げた後にチルノを連れて行った。チルノは抵抗していたが大妖精は意外と力があるようで、そのまま連れて行かれた。チルノは何だかんだいって優しいので大妖精相手に暴力ができなかったというのもあるだろう。

 

「チルノの乱入で何を考えていたのか忘れてしまった…」

 

だがまあ考え事は俺の癖なのでまた同じことを考えるときもあるだろう。緊急を要することは特になかったはずなので俺はそのまま人里周辺を飛ぶ。

そうしているとルーミアの方から妖力を感じた。微細かつ分かりにくいが、ルーミアの妖力だ。まるで何かに遮られているようにも感じるが、式神の繋がりがこうして役に立った。

俺は一直線にルーミアの方へと向かう。

 

「ルーミア!」

 

見るとルーミアの左手が負傷している。何者かによって負わされたのだろうか。

かく言うルーミアは何もない地面を見ながら呆然としている。俺が近付いたことにも気が付いていないようだ。俺は横に並んでから声をかけた。

 

「ルーミア、何があった」

「…妖怪が…破裂した…」

 

破裂しただと?しかし目の前には何も残っていない。

未だにルーミアは地面の一点を見つめているから破裂したという妖怪はそこにいたのだろう。

 

「人里近くを飛んでたら妖力を感じたの。弱い妖力だったから違うだろうと思ったけど一応近付いた。それは特に意志も持たない妖怪で…急に、それこそ体内の妖力が乱れるくらいの妖力になって…そして破裂した。外の世界にあった風船みたいに…」

 

ルーミアは外の世界で風船を見ている。ルーミアを一度外の世界に慣れさせるために遊園地に行ったからだ。とある子供がルーミアのすぐ近くで風船を破裂させてしまいそれにビックリしてたルーミアは可愛らしかったが…

 

「私、今は大丈夫だけど…その時は妖力が乱れて腕で体を庇うしかなくて、それで怪我したの。これくらいならすぐ治るから安心して」

 

ルーミアはそう言うが俺は再生能力をかけた。みるみる怪我が治っていく。浄化能力では妖怪相手だと危険が伴うが、再生では人間妖怪関係なく治すことができる。

 

「水那も同じようになったのか…?」

「それは聞かないと分からない。けど…いえ、まだ分からないわね。ご主人様、一度神社に戻ろ」

「…そうだな」

 

もしこれが、これまでの事件の原因がこれだとしたら…

妖力の乱れの原因は妖力の破裂、紫が犯人を見つけられなかったのは妖怪が破裂して消えたから。

だが謎が残る。黒病は目の下に隈ができる。だがこの発生方法では目の隈などできそうにない。それに妖怪が破裂して消えているのなら連続で起きる理由が分からない。そして何より、妖怪が破裂する意味がわからない。

俺は複数の謎を残したまま博麗神社へと帰還した。

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