東方十能力   作:nite

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百六十三話 跡形もなく…

博麗神社に戻るまでの間ルーミアと俺との会話は殆どゼロだった。ルーミアはどうか知らないが、俺にとっては情報を整理するためにもありがたかった。

多分だがルーミアの言う破裂した妖怪は直接的な犯人ではないだろう。他者によって強制的にされたのならむしろ被害者だろうが…そこはまだ分からない。

妖精でもないのに消えて跡形もなくなるなんてあるのだろうか。今までも破裂して妖力を撒き散らしていたと考えると色々と辻褄か合うのだ。紫が見つけられなかった理由、妖力による乱れの理由…引っかかるところも多々残っているが。

今は取り敢えず情報が必要だ。水那が起きていれば良いのだが…

 

「そういえばルーミア」

「…ん、何かしら」

「破裂して発生した妖力溜まりはどうした?あれって自然に出来たものとは違って近くの妖怪の妖力を回復することなく逆に乱すんだろ?」

 

自然にできたと言ってもそれも妖怪が多く残っていた名残ではあるのだが、そちらはある程度の加減はされていて妖力回復ポイントとなっている。

 

「それならすぐに闇で吹き飛ばしたわ。妖術って呼べるものは使えなかったからただ能力と妖力で相殺して飛ばしただけだけど」

 

それを聞いて俺はルーミアに対して頷いた。ただでさえ人里に近い場所だ。少々手荒だったとしてもルーミアの判断を間違っていると断言することは出来ない。

俺とルーミアがそんな会話をしていたら博麗神社に到着した。俺とルーミアの力を感じたのか霊夢が外に出ている。その隣には気絶状態から復活したのであろう水那が立っていた。

そして俺が地面に立つと同時に博麗神社から出てくるもう一つの影。

 

「今の所は大丈夫そうよ。何かあったら呼んで頂戴」

 

迷いの竹林の奥で病院をやっている不老不死、八意永琳だ。俺は永遠亭に行かないので…というか凄いギクシャクしてるので行きたくないので会話はない。出合い頭で剣を突き付けたしな。

永琳は俺に気が付くと軽く会釈をして帰っていった。一応こうやって出張することもあるんだなと思いつつ水那に向き直る。

 

「大丈夫か水那?」

「はい。霊夢さんが定晴さんが帰ってきてから話を聞くと言ったので待っていました。定晴さんこそ、何かありませんでしたか?」

「それは一緒に話すとしよう」

 

俺の言い回しで何かあったことに気付いたか霊夢が若干難しい顔をした。

霊夢の後ろに付いていく形で博麗神社の中に入る。その途中で水那がルーミアを見てから質問してきた。

 

「ルーミアさんも手伝ってたんですね」

「まあな。人手は多い方が良いだろと思って。実際それが成功だったわけだが…取り敢えず座ろうか」

 

水那は元々外の世界でルーミアと俺が一緒に行動しているところを見ているので霊夢と同様に関係性は知っている。天狗とかに何か言われると面倒だから口封じも添えて。

俺と水那、ルーミアの三人が座ったことを確認した後に霊夢が口を開いた。

 

「じゃあまずは水那。何があったの?」

 

対する水那の返答は俺とルーミアが経験したことと大差はなかった。ただ俺たちと違うのは、ルーミアは妖力に気が付いて自ら近付いたのに対して水那は気付けなかったためすぐ近くで妖怪が破裂したことに咄嗟に反応できず妖力爆発を至近距離で受けたようだ。

俺が補足は追加の質問を交えつつ話を進めたが、俺が知り得た情報とそこまで変わらない。どちらかと言えば気絶しなかったルーミアの方が得た情報は多かったほどだ。

やはり水那の方も妖怪が破裂したようである。何とも恐ろしい話である。言うならば自爆テロだ。その大きな妖力で周囲に影響を与えるとなると毒物の方が近いかもしれない。

 

「霊夢、取り敢えず紫に報告しよう」

「ええそうね。紫ー!!!!」

 

そんなに大声で呼ばなくとも紫は来るだろうに…

 

「はーい\(^o^)」

 

…なんか顔文字が幻視出来たような…いや気のせいだろう。

紫の後ろには藍も付いている。どうやらある程度は回復したようだ。いや、未だに足取りは覚束ない。

霊夢が紫に分かったことなどを報告した。紫は紫で色々と仕事をしているらしい。冬の間は寝たいのだそうが、今年の幻想郷はそれを許さないようだ。毎年冬になると紫は殆どの仕事を藍に任せて自分は寝るのでそのツケが回ってきたとでも思えばいいだろう。

 

「…なるほどね、まあそれなら退治目標は一つ。その妖怪を破裂させている奴よ。このままだと妖怪と人間のパワーバランスが崩れるわ。早急に」

 

そう言い残して藍を連れて帰っていった。紫は人間のことも妖怪のことも好きだし、幻想郷の存続のためにパワーバランスを特に気にしている。紫のストレスになるまえに片付けた方が良さそうだ。

 

「犯人か…また手当り次第にする?」

「…いや、人里及び妖怪の山周辺を捜そう。そいつの目的は分からないが、人間と妖怪の双方に被害を出すつもりなんだろう。それなら人間が集まっている人里と妖怪が集まっている妖怪の山の二点を狙うはずだ」

「分かったわ。水那、行ける?」

「はい。回復したので大丈夫です」

 

水那が素っ気なく答える。水那は以前の外の世界での生活の関係上感情の起伏があまり無い。素っ気なく感じても彼女にとってはそれが素なのだ。年齢不相応なのかもしれないけどな。

今度は人里を霊夢と水那が、妖怪の山を俺とルーミアが担当することになった。さっさと犯人を見つけてしまおう。

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