東方十能力   作:nite

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百六十四話 何の成果も得られませんでした

妖怪の山で捜索するときに大切なのは天狗たちのテリトリーに入らないことだ。といっても妖怪の山の全域にかけて天狗は哨戒をしているから難しいところではあるのだが、守矢神社周辺など一部は問題ない場所もある。

というわけで守矢神社の参道沿いを進むことにした。ルーミアは外周を見てもらうことにした。ルーミアなら妖怪の山をふよふよ飛んでいても怪しまれないからだ。なんせ封印状態の彼女は闇を纏って適当にフラフラする妖怪なのだから。

 

「逆に俺はちゃんと目的があるように参道を歩かないといけないんだけどな」

 

苦笑しながら呟く。

参道の上を飛んで移動しようものなら天狗に見つかる。早苗や神奈子たちは飛んでいてもなんら不思議ではないだろうけど、俺は妖怪の山にとっては部外者だ。妖怪の山で神社をやっている彼女らとは大きく立場が異なる。俺が空を飛んでいても別に問題はないだろうけど変に警戒させるわけにもいかない。

せっかくだし早苗にも手伝ってもらおうかな。彼女も一応異変解決の経験はあるらしいし、風祝とはいえ巫女のようなものだし異変解決に動いてくれるだろう。霊夢が嫌がるような気もするけど。いや、絶対嫌がるけど。

霊夢は異変解決のことになれば途端にやる気になるという。普段ものぐさな性格の霊夢も博麗神社の、ついては博麗の巫女としての仕事だけはしっかりとしている。それを邪魔されたくはないのだろう。

俺が見てきた資料に書かれていた異変解決メンバーは霊夢、魔理沙、咲夜、妖夢、早苗の五人だ。妖精が大暴れしたときはあのチルノが色々とやったらしいが、魔理沙から聞いた話だから眉唾である。

彼女らが霊夢と協力もとい競争をして異変解決をしていたらしい。いつも五人が出たわけではなく時に応じてではあるが。因みに魔理沙と霊夢は紅霧異変から皆勤賞である。

 

「うおっと…」

 

突風。

この参道は時として崖近くを通ることもあるので突風には常に注意していなければならない。もし風で煽られて落ちてしまったりしたら…空を飛べなきゃ最低でも重傷だ。

ただ厄介なのはこの突風、発生源は上空を哨戒中の天狗だったりするのだ。哨戒天狗の全員がそんな突風を起こすわけではないが、それでも数が多い。自然に発生する風よりも強く、頻度が高い。妖怪の山には多くの木々が生い茂っているが、なんせ発生源が真上のため防風林としての役割は果たしてくれそうにない。

そういうわけで俺は身体強化を風が来ると同時に使うことでなんとか耐えているのであった。

そうして歩くこと数十分、やっと守矢神社に到着した。博麗神社と違い守矢神社は布教活動を人里で行っているので人間の信者もいるとは思うが、博麗神社同様参道までの道のりが険しいので結局神社には妖怪が多くいた。どういうわけか博麗神社然り守矢神社然り命蓮寺然り…宗教系の建物なのに人間より妖怪が多い。

 

「おや珍しい、こんなところに何の用だい」

 

鳥居を潜ってすこし進むと諏訪子が現れた。

そもそも何故俺が普通に守矢神社に来たのかと言うと情報収集のためだ。前に惰眠異変の節である程度の信頼を天狗の長である天魔から得たのだが、現在天狗たちは黒病対策として体制を整えている。無闇に侵入するべくではないという判断だ。

でも犯人がいる可能性があるため情報収集はしたいということで守矢神社にやってきたのだ。ここならある程度妖怪の山の情報も集まってくるだろうしな。

そういったことを諏訪子に話した。

 

「ふーん、私はなんも知らないけど早苗なら知ってるかもね。奥で掃き掃除してるよ」

 

そう俺に言うと山を降りていった。釣り竿を持っているので霧の湖かどこかで釣りをするのだろう。妖怪の山には川もあるので川釣りかもしれない。

そんなことを思いつつ諏訪子が話していた通りに奥へ進む。正面からは見えないが確かに早苗は掃き掃除をしていた。丁度一段落ついたところだったらしく早苗のすぐ脇に落ち葉が山を形成していた。

 

「よう、早苗」

「ん?…っふぁ!?あ、えっと…おはよう…ございます」

 

後ろから話しかけたからか驚かせてしまったようだ。

 

「え、えっと…何のよ…あ、いえ!守矢神社へいらっしゃいです!」

 

パニック状態であるのは目に見えて分かる。妖怪退治などには不意打ちもあるだろうに、こういったところは霊夢に比べて劣っていると言えるのかもしれない。

 

…勿論これは定晴が相手だったからこその現象であり、いつもはこんなことは起きない。それを定晴は察することもできないのだが…

 

早苗に取り敢えずの要件を伝える。そう言えばルーミアとの関係について早苗は知っているのだろうか。前にここで文に取材されたときに神々は勘付いているようだったが、早苗はその時俺と一緒にうどんを作っていたのでよく分からない。まあ気にしているならそれらしい動きを見せるだろう。

要件を伝えたら早苗が黙り込む。何か知っているのだろうか。

 

「うーん…私も知らないんですよね。ただ中々その黒病が治らないからって祈祷を一回しましたけど…なんせうちの神様は回復の権能があるわけではないので特に変化ありませんし…その人影?もいれば天狗の皆さんが気付くと思うんですよ」

 

まあ正直そうなのである。破裂する妖怪にせよその原因となっている奴にせよ妖怪の山で怪しいところにいたり怪しい行動をしていれば百パーセント見つかる。

それでも発見されていないなら妖怪の山でも怪しまれない動きをしているかそもそも妖怪の山にいないかのどちらかだ。

 

「まあ分かった。ありがとな」

「い、いえ!お役に立てなくてすみません…私も捜索の手伝いをしたいところですがまだ風祝の仕事が…」

「いや気にしないでくれ。仕事頑張れよ」

「は、はい!」

 

守矢神社はハズレ…ルーミアとの繋がりも特に変化がないからあっちも何の成果も得られないだろう。

霊夢たちが見つけられていればいいのだが…

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