「行くよー!」
「はいはい」
フランが笑顔でこちらに手を振っている。それに対して俺は適当に返す。さあ、戦闘開始だ。
「よーし!早速行くよー!禁忌【クランベリートラップ】!」
早速フランのスペカが宣言された。
そこまで高密度というわけではないので輝剣でいなしながら回避を続ける。
「ムムムー」
「禁忌【カゴメカゴ…「魔術【五つの属性】!」…ひどい!」
フランが新しいスペルを唱えようとしたので、俺が先にスペカ発動。勿論スペルを両方が同時に発動できないという制約は無いのだが、大声で叫ぶことによって相手をひるませて宣言の阻害をするということは可能である。
それに相手のスペルカードが出ている状態で自分もスペルカードを宣言できるほど俺の弾幕は甘く作っていない。
「あわわわっ」
フランが逃げ惑う。しかしそんなこともお構いなしに俺はどんどん追い打ちをかけていく。俺の戦闘スタイルは速攻、決めれるならば相手に隙を与えず一気に攻めたてる。
「結界【二層結界】!」
「ひゃ!何でこんなところに壁が…これ、結界!?」
このスペルは相手の左右に結界で壁を創るもので、フランは今上下にしか動けない。箱状にするアイデアもあったのだが、完全に相手を動けなくしてしまっては問題があるし、このような結界となった。
だが弾幕ごっこにおいて上下にしか動けないというのは中々に致命傷ではある。
「もう!禁忌【フォーオブアカインド】!」
「なに!?」
スペルを唱えたとたんフランが四人になった。
しかもその四人のフランはただの分身というわけではないようで、一斉にスペルカードを宣言した。
「禁忌【カゴメカゴメ】」
「禁忌【レーヴァテイン】」
「禁忌【恋の迷路】」
「禁忌【フォービドゥンフルーツ】」
これでは避けるなんて無理に等しい。僅かに隙間があるので、霊夢など弾幕ごっこに慣れた者達なら出来るかもしれないが、俺には無理である。
だから俺もスペルの同時使用を行う。ひたすら防御に徹することで時間を稼ぎスペルカードが終わるまで耐えるという戦法だ。早速俺の速攻というスタイルからは外れてしまったが、致し方ない。
結界【重盾】
【輝剣召喚】
このスペルは同時使用すると、端から見れば騎士のように見えるだろう。鎧は着てはいないが、この盾にはそれなりの防御力がある。そして何よりこの盾は俺の意思である程度自由に動かせる。
盾で弾幕を防ぎつつ、剣で少しずつフランに近付く。そして四体の内の一体を凪ぎ払う。どうせ偽物だ。全力で振っても構わないだろう。
ひゅん
予想通り綺麗に消えていった。
これを繰り返せば本体に当たるはずだ。どのみち弾幕の密度が低くなるので狙いは間違っていないだろう。
「あー、やったな!」
「これだとスリーオブアカインドだよー」
「頑張らないと!」
一人一人が話していく。正直聞きにくい。聖徳太子は本当に何人も同時に話を聞けていたのか甚だ疑問である。
そんな事を言っていたら、レーヴァテインを持っていたフランが突っ込んで来た。俺は輝剣で受ける。どうやらレーヴァテイン自体が熱を持っているらしく、輝剣を握っている方の腕が熱い。
元々レーヴァテイン及びレヴァティーンは北欧神話において神器や巨人の武器として出てくるものである。流石に本物ではないだろうが、もし普通の剣で受け止めていたらその剣が折られていたかもしれない。どのみち熱があるせいで鈍らでは溶かされてしまうかもしれない。
俺が一体を抑えていても、それに構わず周りの二体が弾幕を撃ってくる。
均衡していては埒が明かないので輝剣を大きく振ってレーヴァテインを弾き、その勢いで周囲を飛んでいるフラン(分身)の一人に狙いを定める。
「剣術【斬撃波】」
輝剣から衝撃波を飛ばして二体の内一体を消す。更に目の前のフランを素早く斬って残りは一体。頑張った方だが、未だに相手の数は最初のときと変わっていない。
しかし増えた三体とも消えたので若干の焦りが見えるのも確かだ。
「あわわ」
「さあフランこれで終わりだ」
「まだだよー!QED【495年の波紋】!」
一気に密度が濃くなる。フランの通常弾幕もなかなか避けにくいのだが、スペルはパターンが突然変わってしまってそれに拍車が掛かる。
だがフランの疲れている様子からしてきっとこれが最後のスペルだろう。これ以上は俺も体力が持ちそうにない。また筋トレをして体力を付ける必要があるかもしれないな。
「はあ、はあ…」
「疲れているようだし、これで終わりにしよう」
浄化【消毒霧】
「え、あ、あぁ…」
フランの弾幕が消えていく。これは紫に言われて出来るだけ出力を弱めたもので、魔力で創られている弾幕は浄化されてしまう。俺の能力を弱めて使うというのが中々なかったので苦労したが、紫からこれくらいの威力なら問題ないだろうと認可を貰えたスペルカードだ。
「う、」
フランが突然落ちていく。俺は下にまわって受け止める。
気絶しているというわけではなさそうだ。むしろ元気というか…とレミリアと咲夜が声を上げた。
「待って!定晴!」
「お待ち下さい!定晴様!」
「ん?何で…」
グシャ
俺が疑問に思い理由を聞こうとしたら俺の腕から変な音がした。いや、正確には変な音と共に腕は吹き飛んだ。
フランの目がいつの間にか開かれ、俺を見ている。そこに先程までの無邪気な雰囲気は少しも感じられなかった。俺はこの目を知っている。
…狂気だ。