霊夢から貰った連絡用のお札に合図があった。どうやら何か見つけたらしい。
ルーミアに合図を出して博麗神社に戻る。犯人は水那のときから変わらず未だに人里神社近くに潜伏していたらしい。ということは次の狙いは人間ということなのだろうか。
未だに犯人の目的が分からないのが不気味である。妖怪側にここまでの被害を出しておきながらそれ以外の行動は見られない。何かしたの準備なのか、ただただ妖怪や人間たちを体調不良にすることが目的か…
どちらにせよ迷惑であるには変わりないので止めるけど。
「霊夢ー、と魔理沙?」
「おう定晴!元気そうだな!ルーミアもいるのか、お前も元気そうだな!」
「わはー」
ルーミアの幼少モードが発動した。
魔理沙が何でいるのかは分からない…けどまあ魔理沙のことだから霊夢が面白そうなことしてそうとかそんな感じの理由で適当についてきたのだろう。
「定晴さん、一応聞くけど妖怪の山は何かあった?」
「いや、特になにも見つける事ができなかった。状況が状況だから天狗たちがいつもよりピリピリしてるくらいだな」
「そ、ならいいわ」
どうやら霊夢たちは敵と戦ったようだった。
妖怪に術をかけていたらしい。きっとその男性が犯人なのだろう。強い意志を持たない弱い妖怪を使役して身を守ったというが…強い意志がないとは言え妖怪は妖怪。使役して操ることはそう簡単なことではない。暴走状態だったルーミアと契約するよりかは簡単ではあるけど。
それにしても男性、そして破裂か。今回もやはりルーミアの時のあいつが絡んでいるのだろうか。どうもあいつは俺にそれなりの怨念がありそうなので、今回の妖怪たちの体調不良も俺を倒すための策略なのだろうか。
「あら定晴さん、何か今の話で思い当たることでもあった?」
あまり顔に出したつもりではないのだが霊夢にバレた。
なので簡単にルーミア事件の時の話をする。あの時は砂埃によって姿を確認することができなかったので話だけでは分からないが、声は聴いているので俺かルーミアがそいつに接触することができれば同じ人物かは判断することができるだろう。
まだこれが奴にとって準備段階なら俺たちの前にそう姿を見せることはないだろうけど。逆に言うとなぜ霊夢たちに見つかったのだろうか。破裂を目撃されたし逃げたりなんだりというのは自分が犯人であると自供しているようなものだ。
「ま、何はともあれ撃退しないといけないことには変わらないってことだろ?次会ったら今度こそマスタースパークをお見舞いしてやるぜ!」
「あんたねぇ、それだからあんたは敵に逃げられるのよ。相手の手数とてあれで全部というわけではないでしょ。次は物量で飲み込まれるかもしれないわよ?」
同時に何体まで妖怪を使役することができるのかは不明だが、際限なくというわけでもなかろう。魔理沙の高火力なら物量くらいはどうにかしてしまいそうな気もするが。
「そうだ、魔理沙。破裂を近距離で受けたんだろ?大丈夫なのか?」
「何がだ?見ての通り私はピンピンしてるぜ」
うーむ、水那も特に影響を受けている様子はなかったしもしかしたら妖怪にしか効かない技なのだろうか。だとしたら人里近くで術を使う意味はないように思えるが…人里にいる妖怪など慧音など一部に限られる。妖怪の山で術を使った方が影響力はあると思う。
もしかしたらまだ効果が無いことに気が付いていないのかもしれないが。だとしたら好都合だ。少なくとも影響が出るまでは人里を狙うだろうし、効果が無いと気が付くまでの時間は待ち伏せをすることもできる。
「んじゃあまあ人里で待ち伏せを…」
俺が方針を言おうとしたら背後から妖力を感知した。凄い速さで近付いてくる。
「文!」
霊夢が声をあげる。俺と違って霊夢は俺の背後に視点が向いている。すぐに気が付くことができただろう。それにしても文がこんな時に博麗神社に来るなんて一体どういったのだろうと俺が振り返ると文は俺が思っていた以上に顔色が悪かった。
「文、お前それ黒病じゃ…」
「定晴さん、今はそれどころじゃありません!大変です、妖怪の山で、黒病にかかっていた、妖怪が、暴れ出して…」
文の息が切れているのはただ急いで来たからというだけではないだろう。黒病は妖怪たちの体内の妖力を乱すと言うある程度回復したということだろうが、それでもいつもより飛ぶのが大変であることには変わりないだろう。
文の息切れは中々回復せずずっと肩で息をしている。だが状況は分かった。
「霊夢、どうする」
「…これが奴の狙いなのかは分からないけど妖怪の山でも何か異変が起きているのは確かね。でも多分まだ奴は人里近くにいる…」
ここは二手に分かれるしかないだろう。
水那は怪我をしているので出来れば暴れた妖怪との戦闘は避けたい。となると水那は人里。残りのルーミア、俺、魔理沙、霊夢をどうするかを決める。
「…魔理沙、定晴さんと妖怪の山に行って。私と水那は人里でやつの捜索。水那離れないでよ」
「は、はい!」
霊夢が素早く役割を決める。
霊夢が飛び出しその後ろを水那が、そしてその後ろを魔理沙が追随する。
「ルーミア、文の対処を任せていいか。必要があったら式神として呼ぶから」
「ん、了解。行ってらっしゃい」
小声でルーミアに指示を伝えて俺と魔理沙は妖怪の山へ。
先程までは暴れている様子などなかったのに俺が博麗神社に来ている間に妖怪の山で何が起きたのか。それを調査する必要もあるだろう。
「行くぞ定晴!妖怪退治だ!」
「おう!」