東方十能力   作:nite

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百六十九話 裏切り

素早く一人を撃退する。魔理沙もいるし妖怪の山の連中もいるのだからこれなら場はすぐに収まりそうである。

だというのに違和感を覚える。俺がここまで早くやれたのだ。同胞とは言え見慣れている相手に対してここまで妖怪の山の連中が手間取るだろうか。

その答えは俺の方に飛んできた魔理沙の反応で返ってきた。

 

「定晴!逃げるぞ!」

「な、え?」

「ほら早く!」

 

魔理沙に腕を掴まれる。

バランスを崩して地上に落ちるわけにはいかないので体勢を立て直し魔理沙と同じ方向に飛ぶ。その最中での情報収集も忘れない。

 

「どういうことだ魔理沙!」

「守谷に行くぞ!」

 

質問をしても答えてはくれない。どうにも相当切羽詰まっているようだ。魔理沙がここまで慌てるなんて魔理沙に何があったのだろうか。

 

「どうしたんだよ魔理沙!何があった!」

「グルだ!妖怪の山の全妖怪が!」

 

更に追求を重ねようとしたが、その後俺たちを襲った弾幕によってその必要がなくなった。

 

「なっ!?」

「堀内いいい!」

 

よく知らない妖怪が俺の事を狙って襲いかかる。

しかも暴走個体ではない。先程まで暴走を抑えようとしていた者だ。それを皮切りに今まで暴走してた妖怪、抑えていた妖怪、傍観していた妖怪関係なく俺たちを襲った。

数体は俺の名前を呼びながら、大半は人間に対して憎悪を持ちながら襲いかかる。

これは…十中八九あの野郎のせいだ。洗脳、のようなものだろう。あいつの狂気を受けた奴が自分の憎悪としたのが人間に対して憎悪を持っている妖怪、狂気を素直に受けて深い洗脳状態なのが俺の名前を呼んでいる妖怪といったところか。

 

「それで何で守矢神社なんだ!」

 

もし妖怪の山全員がグルで俺達を…というより俺を襲っているというのなら妖怪の山の中にある、敵に囲まれる位置にある守矢神社こそ危険地帯であるのではないだろうか。

その俺の疑問には早口で焦りながら魔理沙が答えた。

 

「どう考えても原因はあの体調不良だろ!?ならその様子が見えなかったっていう早苗たちなら大丈夫だろ!それに見た感じ人間はあれが効いてない!なら問題ないだろ!私達だけじゃ戦力が足りない!」

 

魔理沙の後ろについていくように高速で守矢神社へと向かう。

その間も妖怪たちには襲われるが、まだ問題が置きそうな妖怪は相手に出てこない。輝剣で攻撃を捌きながら守矢神社へと向かう。

妖怪の山は幻想郷でも一番大きい山である。外周をぐるっと回るだけでもそれなりに時間がかかるのである。しかし魔理沙は霊夢よりも飛ぶのが早い。俺も付いていくのが大変だが風の力を全力で使って飛んでいるので結構すぐ守矢神社を視界に捉える事ができた。

 

「早苗ええええ!」

「魔理沙ちょっと待て!」

 

横から飛んできた妖怪を身体強化で固めた拳で吹き飛ばす。

 

「ひゃっ!何ですか魔理沙さん。それに定晴さんも」

「妖怪の山が今やばいんだ!可能性として早苗も狙われるかもしれない!」

「え?え?」

 

早苗が困惑している。

魔法使いだからか、俺に説明した時は高速の頭の回転によって分かりやすく説明してくれたが早苗への説明は雑である。

なので俺が掻い摘んで事情を説明した。と言ってもこちらも何か重要なことが分かっているというわけではないのだけど。

 

「…分かりました。じゃあ一度妖怪の山から離れて…」

「ちょっと待ちな」

 

横から横やりを入れてきたのは諏訪子。それにその後ろに神奈子も構えている。

 

「どうした?諏訪子、神奈子」

「諏訪子様、神奈子様、どうされたんですか?」

 

俺と魔理沙を若干険悪な雰囲気で睨んでいる二人、というか二柱。

諏訪子が覇気を出しながら口を開いた。

 

「それじゃあ早苗を連れて行くことはできないよ」

「…どういうことだ?」

 

諏訪子に対峙する俺。

俺の後ろでは魔理沙が早苗に対して更なる説明をしている。とはいえ先程俺がそれなりの説明はしていたのでそこまで新しい情報もないとは思うだろうけど。

 

「ここも危険性があるのは分かるだろ?」

「んにゃ、狙いは定晴。あんただろ?ならうちの子を巻き込ませるわけにはいかない」

 

…だが、戦力が欲しい。多分これは最悪妖怪の山の妖怪全員が俺を狙って襲ってくる可能性がある。俺、魔理沙、霊夢、水那、ルーミアだけでは数が足りない。早苗も異変解決の実績がある。ここはどうしてももっと戦力が欲しい。

 

「…ふん。早苗は連れて行かせないよ。見な、周囲を」

「見ずともわかるさ。大量の妖力だな」

 

囲まれている。俺たちが連れて来たのか元々進軍予定だったのか。

 

「私達はここでどうすべきかな…?」

「…」

 

周囲の妖怪の視線は明らかに俺へと向いている。敵はあくまで俺であるというのが妖怪達の認識であるのは明確である。

 

「妖怪を攻撃するのと定晴を攻撃するの。どちらが安全かなぁ?」

 

諏訪子の力を感じる。明らかな威圧。このままではまずい。

なんせ妖怪相手なら最後の手として浄化の力で範囲攻撃も可能なわけだが、神相手では浄化の力は使えない。諏訪子も神奈子も弾幕ごっこではない戦い方にも慣れていると見える。となれば今の状況は絶体絶命。それにこのまま早苗も相手に加わるのなら流石に…

 

「神奈子様諏訪子様わたs…」

 

早苗が何かを言おうするがその前に妖怪達が攻撃を開始した。

 

「くそが!」

 

浄化の力の使用、身体強化、結界を張り、輝剣を召喚。

フル装備で迎え撃つ。どうやら魔理沙も俺と一緒に戦ってくれるようだ。しかし…

 

「早苗!下がってな!今回は妖怪の手助けだ!」

「行くよ神奈子!」

 

神二柱は完全に妖怪側。

早苗は二人に何かを言おうとしているようだが戦闘の喧騒がそれを許さない。

俺と魔理沙の死に物狂いの戦いが始まった。負けたら…殺される。

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