博麗神社に到着するといつもより威圧感が強いルーミア、気絶している文。そして困った顔で文を見る水那と考え顔の霊夢がいた。しかも紫も霊夢の近くにこれまた悩み顔で座っている。
「ルーミア、文は…」
「急に襲ってきたから返り討ちなのだー」
魔理沙がいるので幼少口調のルーミア。魔理沙に知られたら吹聴されそうだから仕方ないけど、でもそろそろ限界な気がしてならない。
「霊夢はそっちはどうだった?」
取り敢えず霊夢に尋ねる。とは言えこの状況では結果が芳しくないのは見て取れるわけだが。
やはり返答もだめだったの一言。人間たちに襲われる、なんて最悪な事態にはならなかったようだがそれにしても成果が無いのは辛い。
俺が紫にここに来た理由を聞こうとしたら先に紫が顔を上げた。
「定晴、この状況、どう思う?」
「どう、っていうのは?」
「妖怪たちへの集団催眠のようなものよ。藍もなんだか様子がおかしかったからスキマの中に隔離してるくらいだし、九尾の大妖怪にすらも効果がある謎の力は明らかに異常よ。幻想郷のパワーバランスを崩しかねない。とはいえ…狙いはどうもあなたのようだけど?」
紫の目が怪しく光る。
多分…俺が死ねば問題が解決する。勿論この全体催眠を使って幻想郷を支配、なんていうことも奴は出来るのかもしれないが取り敢えず俺だけにヘイトが向き俺と関わると危険が及ぶなんていう状況からは脱せられるはずだ。
「なに思いつめた顔してるのよ定晴。私があなたを敵に差し出すとでも?確かに幻想郷は大切だけど、貴方も大切なの。あんな奴らに幻想郷も貴方も渡さないわ」
そう意気込む紫。
流石にスキマを使って妖怪の山に強制送還とかされたら終わるので紫が敵対しないだけましだ。
それにしても戦力が足りない。紫は超広範囲の攻撃は苦手だし、魔理沙は直線、霊夢は攻撃が自動追尾なので集団戦はあまり得意ではないのだろう。俺も対軍の攻撃はないので妖怪の山の妖怪全員で、なんてされたら俺達はひとたまりもない。
「でもま、やることは一つね。どこに行ったのか知らないけど、犯人の男を倒せばそれでおしまい!」
「つっても霊夢、紫がここにいるってことはスキマでも見つからなかったってことだろ?私達が探して見つけられるものなのか?」
「そんなもん勘よ勘。なんなら出会う妖怪全員敵の可能性があるならもれなく倒せば問題ないでしょ。要はいつものよ、いつもの」
霊夢が人里の方を見る。きっと人里からは離れたのだろう。人間には効果が無かったと言うことに気が付いて。
俺は妖怪の山の方をふと見た。早苗たちは大丈夫なのだろうか…っと何かが飛んできているのに気が付いた。まさか妖怪の山を出ても追いかけて来たのかと輝剣を召喚した、がそれは必要ないことが分かる。飛んできていたのは早苗だったのだ。
「早苗!?」
「ふぅ、やっと追いつきました定晴さん!私も手伝いますよ!」
「いや、でも、諏訪子たちが…」
「あんな二柱は知りません!少なくとも今回の異変が終わるまでは反抗期です!」
どうも早苗はあの二柱に対して怒っているようだった。何が原因かは知らないけど、多分諏訪子達が俺と魔理沙に敵対したことを怒っているのだろう。その証拠に早苗は戦闘中一切攻撃をしてこなかった。
早苗は今回の異変中は俺達に協力してくれるようだ。諏訪子があれだけ嫌がっていたので少しあとが怖いが…まあその時はその時だ。
「霊夢、敵の勢力ってどれくらいだと思う?妖怪の山全部だと思うか?」
「…その可能性が高いわね。天魔とかがどう出るのかは知らないけど、定晴さんに対してしか影響が出ないとなると困るものじゃないし…正直言って全部、とは言わないけど殆どは敵でしょうね」
「そういえばあうんは?いないのか?」
いつもなら鳥居の近くで空を眺めてたり縁側で休んでいたりするのだが、どうも今日は姿が見えない。彼女は守護が目的なのでそう易々と消えられても困るのだが…
「あうんなら今命蓮寺にいるわよ。私がそっちに行けって言ったの。もし今ここが襲撃されることがあればあうんじゃ抑えられないからね」
一応霊夢なりの優しさらしい。戦力にもならないから邪魔だみたいな思考だったら悲しいけど。
それにしても敵はどれだけ増えるのだろうか。もし増え続けるのなら気絶だけではなくなるかもしれない。俺も別に無駄に殺生したいわけではないからできればそれは避けたいのだけども。
フランたちや幽香たちは大丈夫だろうか。今思えば地底のあれも奴の仕業だったのかもしれない。あの集団洗脳じみたものに似ている、とすれば地底の妖怪も無事なのかは分からない。
敵の勢力は定かではないが、もう限界が近い。こちらの戦力は事足りない状況で敵はどんどん増え続ける。ここもいつかは襲撃されるかもしれない。とはいえ先に攻撃されるとするなら俺の家が先なのだろうけど。
幻想郷には人間もいるが殆どの種族は妖怪だ。その全てが敵に回れば…個々が妖精並の力しかなくとも物量で押し切られる。物量というのは単純かつ凶悪なのである。
「っ!なにか来る!これは…妖怪………まずいわね」
霊夢が見上げた方向に俺も視線を向ける。沢山の天狗と妖怪の山にはいない種族の妖怪まで。
「おっと、臨戦態勢ってところだな」
「ほら魔理沙、無駄口叩いている場合じゃないわよ。妖怪と人間のパワーバランスを戻してやるわ」
二人の他もすぐさま攻撃態勢を取る。
七人対大量の戦闘が始まった。