東方十能力   作:nite

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百七十二話 七対軍

群れの戦闘の妖怪がレーザーを撃ってきた。

俺はそれを結界で弾いたらそれが開戦の合図になったか霊夢たちが飛び出した。俺も輝剣を召喚して幻空からも剣を取り出して装備。群れに突っ込む。

そもこういった場合の戦いというのは後退しながら数を減らして敵の数が減ったところを攻撃するというのが常套手段なのだが…

 

「おりゃああああああ!」

「たああああああああ!」

 

こいつらに言っても無理そうだ。そもそも突撃隊のような人々なのだ。今までもそれで異変を解決してきたわけだし、今更後退しながら…なんてのは出来そうにない。

それに俺達の後ろには博麗神社がある。奴らの狙いが俺だからと言って射線上に神社があればどうなるかは分かったものではない。不確定要素が多い今回の異変、迂闊に動けないのが歯がゆいところである。

 

「ふん!」

 

紫がスキマを開くと中からまさかの電車が出てきた。外の世界で線路を走る時くらいの速度で妖怪たちに突っ込んでいく。この形は…山手線とかそこらへんの車両のようだ。新幹線などとは違い正面が平坦で横から見ると比較的きれいな長方形である車両は妖怪たちからすれば壁のように見えるのだろう。進行方向上にいた妖怪たちは散り散りになりながら躱していく。間に合わなかった者はそのまま電車と共に遠くまで運ばれる。

流石に電車をそのまま地面に衝突させる…なんてことは幻想郷大好きの紫はしないと思うが、そもそも激突のエネルギーだけでも相当なものだ。車両に轢かれた妖怪たちは少なくともこの戦闘の間に復活することはないだろう。

 

「とりゃああああ!」

 

俺の隣ではルーミアが弾幕を展開している。弱そうに見えてその実威力が高く、妖怪たちはそう簡単に近付けない。あくまで妖怪たちの狙いは俺なので、俺を袋叩きにすることが出来ればあいつらの勝ちだ。そんな状況を作らないためにルーミアがいる。

俺に近付けずに攻めあぐねていると横から霊夢たちに攻撃されて気絶させられる。運良く弾幕を避けて俺に近付いたとて数体なら俺でも容易に対処可能である。

突撃隊のような形相でありながらもしっかりと戦略的に戦闘出来ているのは上々であろう。

 

「ルーミア、大丈夫か?」

「…当たり前じゃない。ご主人様を守るためだもの」

 

俺にしか聞こえない声量で呟くルーミア。ルーミアが暴走したあの時から何かルーミアの中で変化があったように思える。

式神だから、とルーミアはいつも言っているが、だとしても前までのルーミアはずっと俺といるなんてしなかったはずだ。勿論封印状態だったということもあるが、そも幻想郷のどこかをフラフラ飛ぶ妖怪のルーミアなので一点に留まることもなかったはずである。なんとなくルーミアにとって大切な何か、芯が生まれたように思う。

 

「霊夢!そこをどけええ!」

「ちょっ、きゃっ!」

 

霊夢がいたところを魔理沙の極太レーザーが通り過ぎる。霊夢の奥にいた妖怪を攻撃したかったのだろうが、少しでも遅れていたら霊夢もまとめて吹き飛んでいたところだ。

それでも彼女たち二人の連携というのは危うく見えてばっちりであり、腐れ縁と言っていた霊夢の言葉も分かると言うものだ。どこか二人は互いを信頼しているようにも思えて、特に心配するようなこともない。

 

「水那!そっち!」

「は、はい!」

 

普通ならこんな大軍に対して物おじするのも仕方ないと思えるのに怖がること無く霊夢の指示に合わせて攻撃する水那も中々だ。外の世界でずっと警察やらなんやらに追いかけれてきたのだろうその経験がこういった状況でも焦らず怖がらずの精神を作りだしたのだろう。

彼女もこの場において一つの戦力として機能している。妖怪たちも脅威の一つとして捉えたのだろう。一部は水那への攻撃もある。それを冷静に対処して反撃すらもしている水那を育成している霊夢も相当であろう。

 

「とりゃああ!うりゃああ!せやあああ!」

 

奇声とも呼べる声を上げながら妖怪へと攻撃している早苗。今思えば早苗が戦闘しているところを見るのはこれが初めてである。

霊夢の仕事敵をしているだけあって対処は一流。今までの異変解決の経験もあるというし、霊夢同様特に心配することなく任せる事ができる。

それにしても俺と関わったのなんて外の世界で一回、幻想郷でも数回というのに何故早苗はこうも手伝ってくれるのだろうか。諏訪子たちに対して怒ったようだがそれも怒るほどのことだっただろうか。諏訪子たちに敵対されたのは悲しいことであるが、あれは神社と早苗を守るための選択だったはずでそれを早苗が怒る理由も分からない。

 

「どこかへ行きなさい!」

 

紫は電車攻撃を止めてスキマに直接妖怪を入れてどこかへ送っている。

幻想郷の外に送るのは紫もしないので多分幻想郷の辺境だろう。三途の川の近くとか幻想郷の大結界の近くとかそんな辺りだと予想できる。空を飛べるとは言えそんなところまで飛ばされてしまえば戻ってくるまで相当な時間がかかる。

紫のスキマがどこに開くもかもわからないため妖怪達も容易に近づけず軽く要塞のような状態になっている。どう考えてもこの場において最強は紫だ。紫を倒すことができる妖怪など相手の中にいないだろう。

 

「ふっ!」

 

輝剣で一閃、目の前の妖怪が墜落。

やはりというべきか俺への攻撃が一番激しい。結界、身体強化、輝剣に風、それに…

 

『右!』

 

狂気も手伝ってくれる。俺の負の感情を受け止めていると言う狂気は実際のところ俺の周囲がどうなっているのかどう把握しているのか俺も分からない。ただどうも俺の見えていないところも見ているような節があるのがなんとも…

 

『こいつら全員、野郎の狂気に影響されてんだ。感じれるのは当たり前だろ?』

 

ふむ。納得だ。

狂気の援護すらも受けつつひたすら攻撃を加えていく。

なんとか数も減ってきただろうと思ったところで…

 

「まっず、あんたたち!増えるわよ!」

 

霊夢が叫ぶ。俺がそちらの方向を見れば妖怪の山以外の方向からも援軍が飛んできていた。

そういえば奴はこの時間も常に仲間を増やし続けることができるようで…まずいな。このままではじり貧だ。相手はひたすら交代して攻撃してきている。いつかはこちらが先に尽きることになるだろう。

 

「やべっ!」

「魔理沙!」

 

魔理沙に攻撃が当たり仰け反ったところにレーザーが向かう。

霊夢の結界も間に合いそうにない。かく言う俺も結界の展開も風での援護も間に合わない。紫は違う方向を向いていて気付いている様子は無いし早苗やルーミアも援護に入れない。

 

「魔理沙ああああ!」

 

霊夢が必死に飛ぶが間に合わない。そしてレーザーが魔理沙に当たりそうというところで…

 

「っ!?」

 

レーザーが別の方向から飛んできてそのレーザーを相殺した。いや、そのまま押し返してレーザーを発射した妖怪を飲み込み吹き飛ばした。

 

「なんだ?」

 

俺がそちらを向けば空から日傘を差した一人の妖怪が降りてきた。

 

「雑魚の分際で定晴に手を出そうなんて…!」

 

フラワーマスター、幽香だ。ど怒りである。

 

「幽香!」

「大丈夫、定晴?また何かに巻き込まれたんだろうと思ってメディスンを置いて飛んできたのよ。そしたらやっぱり何かに巻き込まれているみたいだし…紫?最近定晴への扱いがひどくないかしら?」

「う、うるさいわね!私とて頼みたくはないんだけど私が全面信頼できるのは霊夢とか定晴とか少ししかいないのよ!隠岐奈が動いてくれるなら私だって苦労しないわ!」

 

隠岐奈とは誰のことだろう。

それはともかくこちらにも援軍だ。嬉しい限りである。

 

「あ、そうそう定晴」

「なんだ幽香?」

「折角だからもう少し援軍を呼んできてあげたわよ。あとでいっぱい感謝して…ついでに…まあその…私t「定晴ー!」…妖精…!」

 

チルノが飛んできた。その後ろに大妖精とかミスティアもいる。

 

「あたい達が助けに来てやったぞ!」

「定晴さん、微力ながら手伝いますね」

「あとでヤツメウナギ買ってね!」

 

三人が攻撃を開始。遅れて飛んできたリグルも攻撃に参加した。

更に…

 

「定晴さん!」

「あらあら、紫に呼ばれて来てみれば…」

 

妖夢に幽々子だ。

妖夢との戦闘訓練は今も継続中であり、最近の妖夢は最初の頃より断然強くなった。何より前よりも断然早くなり、数発ならば飛んできた弾を斬ることもできるようになった。

幽々子が戦闘しているところは見たことが無いが、どうも幽々子も戦闘に参加してくれるようである。

 

「呼んだ…って私がスキマで連絡しても来てくれなかったじゃないの!」

「まあそうねぇ…そこのフラワーマスターさんが来て思い出したのよ。行こうとは思ってたのよ?本当に」

 

スキマは連絡にも使えるのか。もしかしたら俺たちが妖怪の山や人里に行っている間に紫は幽々子のところなどに行っていたのかもしれない。

 

「定晴様」

「うおっ、吃驚した」

 

後ろにいつの間にか咲夜が立っていた。

 

「お嬢様たちに行けと言われまして…妹様が行こうとしていましたが昼間ですので私だけです。微力ながら私もお手伝いさせていただきます」

 

咲夜の投げナイフが宙を舞う。まるで舞踏を見ているかのような動きと演舞を見ているようなナイフの技。咲夜も異変解決に一役買ったというし戦力として十分だ。

 

「ふふ、まあこの短時間だったからこれくらいが限界なんだけど…」

「いや、本当に助かったよ幽香。ありがとう」

「!!…ええ、どういたしまして」

 

これでこちらの人数は十五人。

これならば…

 

「ねえ定晴?」

「なんだ幽香?」

「今回もいるんでしょ?敵が、倒すべき奴が」

 

幽香はいつになく険しい顔で話す。俺が頷くと幽香が俺に提案をした。いや、言い方や状況を考えれば命令とも取れるかもしれない。

 

「行きなさい、定晴。私達は大丈夫よ」

「なっ」

 

ここは皆に任せろと言うのか。完全に俺が巻き込んだ形だというのに…

 

「でも場所が…」

『実はな定晴、分かるぞ。今なら。あの野郎仲間を増やすために術を使っているみたいだがそのお陰で狂気の場所がはっきりとわかる。あれほどの負の感情だ、分からない筈がない』

 

狂気がそんなことを言う。

それに…

 

「私達は大丈夫よ!」

「あとは頼んだぜ!」

「任せてください!」

 

霊夢、魔理沙、早苗すらそんなことを言う。それに紫たちもこちらを見て頷く。

ああ、いい仲間に恵まれたものだ。

 

「…ご主人様」

「…ああ、行くぞルーミア!」

「っ!…ええ!」

 

ルーミアを連れて狂気が言う方向に飛ぶ。

俺の後ろを妖怪達が追ってこようとするが…

 

「ここは行かせませんよ!」

「定晴さんへ、いつも師事してもらっているお礼を!」

「最強のあたいたちを無視しようなんて百万年早いのよ!」

 

皆が足止めしてくれる。

俺はそのまま森の中へ。皆の助けを受けながら、奴との決戦へ…

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