東方十能力   作:nite

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百七十三話 黒幕

「ご主人様!場所分かるの!?」

「ああ!狂気が察知してくれたみたいなんだ!」

 

森の中を飛ぶ。妖怪達にバレないように。

まだ妖怪達は俺が博麗神社にいると思っているのか全員博麗神社へ向かって飛んでいく。妖怪達は奴の洗脳を受けているようなものなので奴の命令が博麗神社へ行くことなのだろう。とすればまだ俺たちが向かっていることに気付いていない筈だ。

森の中を素早く駆け抜ける。たまたま出くわしてしまった妖怪は一撃で沈めて静かにしてもらう。もし報告、なんてことをするようであればこの奇襲作戦は水泡に帰すことになるからだ。

 

『もう少しだ!』

 

思いのほか近くにいたようである。遠くにいても援軍を送った時にすぐに到着しないからだろうか。それともここら辺の妖怪は霊夢を恐れないようなある程度の強さがある妖怪ばかりだからだろうか。どのみち面倒なわけだが…今はそれは考えない。

 

「ルーミア、止まれ」

 

ルーミアに指示して草むらに隠れる。視線の先には奴がいた。前回は姿が砂埃によって見えなかったが今回はそんなことはない。

黒い髪、身長は俺より少し低いくらいだろうか。特に武装している様子はないし、霊力もそこまで強いようには思えない。ただその周囲にはまるで奴を守るかのように妖怪が警戒している。いや、実際に守っているのだろう。俺たちが奇襲しようとしてもすぐにばれてしまう。

 

「どうするご主人様?」

「…」

 

もし奴と一対一になったときに俺は勝てるだろうか。見えるだけでならば、多分余裕で勝てる。なんせ奴が自分の身で戦っているところを見たことは無いが、いつも妖怪を何とかして雲隠れしている所を見るときっとひとりで戦えないのではなかろうか。

妖怪を使役できるだけの人間が相手ならば身体強化に輝剣を合わせて使えば十分である。そのはずなんだが…

 

「っ!」

 

目が合った。

こちらは草むらに隠れているし俺もルーミアも力を抑えている。あんなに周囲に妖怪がいる状況ならばこちらに気付きようがないのに。明らかにこちらを見ている。

 

「フフフ…来たんだね堀内。まさかあの巫女たちをおいて一人で…いや二人で来るなんてね。幻想郷に来てから何かあったのかな?それとも…それが君の素なのかな?あーあ、あっちに送った嫌がらせが無駄になっちゃった」

 

俺たちに向かって語りかける奴はルーミアの存在にも気づいているらしい。

なんとも恐ろしい話だ。俺でもあの状況で見つけられる気がしないというのに…霊力や妖力には敏感なのだろうか。

 

「出ておいでよ、さしでやろう。心配なら君の浄化で周囲の妖怪を吹き飛ばしてくれても構わない。どのみち無能の使えない奴らだからさ」

 

一対一?奴は一人でも戦えるのだろうか。それにこちらにはルーミアがいる。この際奴の要求を呑む必要はない。俺とルーミア二人で飛び出して囲む。周囲の妖怪もいるがあれくらいならば片手間でも対処が可能だ。妖怪の山で魔理沙と共に襲われたあの時の方が断然大変だったと言えよう。

 

「ルーミアはここで待っていてくれ」

「でもっ!」

「何かあったら援護を頼む」

 

草むらから出て奴と対峙する。

本当に周囲の妖怪には何もさせる気がないのか妖怪たちは離れた場所に移動してこちらを虚ろな目でじっと見つめている。強い妖力を持つ妖怪ではなかったのだろう。完全に洗脳状態である。

 

「うんうん、君なら出てくれると思ったよ」

「何が狙いだ?」

「そうだねぇ…」

 

その瞬間奴の周囲の温度が変わる。

大きすぎる殺気とそれに反応した周囲にいたまだ洗脳されていない妖怪が逃げていく音。

 

「恨みは果たさせてもらおう」

 

急激な体への負荷。

これはまずい。重力魔法とかそういうものではない、何か内側から迫ってくるような圧倒的な力。身体強化などでは防ぎようがない。

やむなく無効化を使う。動けなくなるが、ここで倒れるわけにもいかない。これを一度無効化すれば後は身体強化で攻撃を耐える。硬直時間が消えればすぐさま輝剣を使って奴を死なない程度に斬る。

 

「なるほどなるほど…僕もそこまで能力が強いわけじゃないからね…さあ耐久勝負と行こうじゃないか」

 

無効化をしたらまたもや同じ力が襲い掛かる。実のところこの硬直三秒=能力使用不可というわけではない。なんなら無効化も連発しようと思えば全然できる。紫との殺し合いの時もその力を使ってなんとか戦っていた。

しかしここで連発はしない。勘でこれ以上は危険だと思ったら無効化をする。一度解除されるとその力もゼロに戻るらしく、俺の無効化が使える限り問題はない。しかし今日は既に何度も戦闘をしている。霊力とてもうあまり残っていない。となればこちらが使える攻撃の手は…

 

「ルーミア!」

「せい!」

 

ルーミアの作った闇が鋭くなり奴の体を突き刺す。

致命傷かと思われたが闇はすぐに霧散してしまいそこまで深くは刺さらなかったようだ。だがそのお陰で俺の体を襲っていた謎の力が無くなった。

 

「ふーん?僕が君の封印を解いてあげたの忘れたわけじゃないよね?」

「あんたの事なんか忘れたわ。さっさと死になさい!」

 

妙にルーミアがイライラしている。

ルーミアの闇は一瞬は奴の体を飲み込むがすぐさま霧散。きっと能力によるものだろうが…今はまだ絡繰りがよく分からない。ルーミアの攻撃に合わせて俺も攻撃。

 

「おっとっと、君たちが一対一の構図を壊したんだ。僕も同じように壊させてもらうよ」

 

周囲で待機していた妖怪たちが俺たちを襲う。

 

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