東方十能力   作:nite

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十一章 二人の日常
百七十九話 式神として…


宴会から二日後。俺は家で本を読んでいた。パチュリーから借りた魔術についての本だ。

その隣でそわそわしているのは俺の式神のルーミアだった。

 

「どうしたんだルーミア」

「な、なんでも!ただ明日にはご主人様と本契約するって思うと…」

 

よく分からんが式神視点では緊張するものなのか。いや、本来であればこちらも緊張すべきなのかもしれないが、生憎と俺は特に緊張していない。

藍に軽くどういったことをするのか訊いてみたのだが、別の術を使うことで新しく契約し直すようだ。仮契約なのにキスまでしたので簡単なのだと前も言っていた。やはりキスは過剰だったか…恨むぞ外の世界の友人。

 


 

本契約…本契約!何をするかはある程度聞いてるし、またキスをするなんてことはないと思うけど…またキスすることになったら正気を保てそうにない。

未だに私はご主人様のことが好きなままだし、というか体内の力もとっくの昔に落ち着いたというのにずっと式神続けてるし、私は一体どうしてしまったのだろうか。これが恋の力?

 

「んじゃルーミア、俺は買い出し行ってくるから」

「え?ああ、いってらっしゃい」

 

そしてご主人様が外出した。

私も鍵を貰ってるので自由に外出はできる。本気を出せば鍵を強奪されることもないだろうというご主人様の判断だ。もし私から強奪できるほどの力があるならそもそも私を襲わずに家まで押しかけているだろう。

でも最近の私は結構な頻度で家にいる。なんというかここは居心地が良いし、本もそれなりに揃ってる。今まではここまで深く考えて行動することもなかったし、そもそも私は本を読まなかったからあれだっただけで…今は読書もするようになった。

ただ今日は少し本を読む気にはなれない。

そんな私は今日どうしようかと悩む。することないし、明日のこと考えると何も手につかなさそうというのが私の感想。うーん、知り合いに会ったら面倒そうだけど少し近場を歩こうかな。

 

「いってきまーす」

 

誰もいないけど挨拶。

鍵をかけて外に出る。幻想郷では空を飛べる者は空を飛んで移動するのが普通なのだが、ご主人様は出来る限り歩いて移動する。その影響で私も歩く事が多くなってしまった。なんだがご主人様に少しずつ毒されているような…嫌ってわけじゃ、ないけれど。

 

「ううっ…さむ…」

 

季節は冬の中ほど。もう少しで大掃除とかの季節にもなってくる頃合いだ。去年もご主人様は家の大掃除をしたらしいから今年は私も手伝うことにしよう。

 

「こんにちはルーミアさん」

 

取り敢えずいつもの博麗神社。今日はあうんがいるみたい。彼女は結構な確率で大切な時に不在である。彼女が言うには守矢神社とか命蓮寺とか色々行っているみたいだが、ホームはここの筈だしきちんと守ってほしいところ。

 

「あら、定晴さんは来てないわよ」

「それは知ってる。定晴は今買い物中だからー」

 

裏に回れば霊夢が縁側でお茶を飲んでいた。

その横には萃香が寝てて、その腹の上に針妙丸がこれもまた眠っている。よくこの寒い中で眠れると思う。

 

「あ、そうそうルーミア」

「んー?」

「あんたの封印リボン、あの時は私しかいなかったから出来なかったけど今は定晴さんのおかげであんたが落ち着いてるし水那もいるから早苗呼んで手伝って貰えれば作れるのよね」

 

つまり式神でなくても良くなるということだ…けどまあここまできてその選択肢は無い。私自身今後もご主人様のことを支えていくつもりだし。

断ろうとしたら先に霊夢に先を越された。

 

「まあ式神っていう立場も結構気に入ってるようだし今すぐ付けろとは言わないわ。ただ一応スペアとして持っておきなさい。定晴さんだって死ぬかもしれn…」

「死なない!死なせない!」

 

あ、つい叫んじゃった。

なんかこうご主人様って何しても死なないような気はするけど…そういう想像をすることすら嫌だ。とても不愉快な気分になる。

それに、胸のあたりが…切なくなる。

 

「分かってるわよ、彼自身凄く強いしあんたの本気も強いから並大抵のことじゃ死なないことは。でもそもそも妖怪と人間じゃ寿命が違うのよ。いつかは別れるものよ」

 

…霊夢は正しい。例え私が大妖怪だったとしても寿命を覆すことは出来ない。私の闇を操る程度の能力ではどうしようもない。

 

「ま、取り敢えず持っておきなさいってことよ。時間がある時に作るから定晴さんの家に持ってけばいいのかしら?」

 

いつもはめんどくさがりの霊夢がこうも働こうとするなんて珍しい。霊夢とて巫女の仕事などは積極的にするのだが、と私が疑問に思っていたのに勘付いたのか霊夢から訊いてないのに答えがきた。

 

「これも巫女の仕事の一つよ。危ない妖怪を放置は出来ないしずっと定晴さんを頼りきりなのはいけないもの」

 

霊夢はそれだけ言うとまたお茶を飲み始めた。

私が…ご主人様と離れる時…いつか来るのは知っているけど。

…私ってばいつの間にこんなに彼の事を想っていたのかしらね。彼のことを考えると前はドキドキの方が強かったけど今はなんというかポカポカする。ただキスという行為によって生まれた一時的なものではなく、私自身が彼のことを好きであると自覚ができる。

数ヶ月前の私にあなた本当に惚れるわよって言っても信じないだろう。前にご主人様に同行して付き合った妖夢の剣術修行、あの時の私はここまではっきりと、しっかりとした気持ちなんて無くていつかは消えるだろうと思っていた。

でも今は…彼を求めている。純粋に彼を、ご主人様を想っている。

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