東方十能力   作:nite

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十八話 魂の秘密

「何したのよ?」

 

暫く放心状態だったレミリアが口を開く。

 

「そ、そうですよ。何をしたんですか?」

 

それにつられて咲夜も口を開く。

俺には黒い影みたいなものも見えていたが、普通は見えない。そもそも黒い影も別に絶対悪というわけでもない。

 

「だからさっき言ったろ?フランの狂気を浄化したんだ」

「貴方みたいな奴に出来る訳が…」

 

信じられないと声を出す。

 

「出来たならもう良いだろ?」

「そうだけど…」

 

そもそもレミリア達がもう少しフランの為に尽力を注げば良かったのだ。レミリア達を悪く言うつもりは無いのだが、フラン自身で狂気をコントロール出来たらこんなことにはならなかったのだ。

とはいえレミリア達でも手につけれなかったのだろう。俺が浄化しなければずっとこのままだったかもしれない。レミリアの口ぶりからするにたまにしか発狂しなかったらしいが。

 

「お兄様ー」

「へ?なんて?」

 

ん?

 

「だからお兄様ーって」

「いやいや待て待て」

 

おかしい。会ったのも今日なのだ。流石に心を許し過ぎではないだろうか?

 

「私を助けてくれたならもうお兄様だよ?」

「いや、その理屈はおかしい」

「良いじゃん!」

 

なぜか怒られた。理不尽だ。

 

「ちょっ、貴女の上は私だけよ!」

「お姉様がいるならお兄様がいてもいいじゃない?」

 

なんだかんだフランに言われた結果、俺はフランの義兄になったようだ。見た目的にはそうかもしれないが、実際には何百才も違うだろうに。

 

「ねぇお兄様。一回妖力が異様に増えていたけど、何をしたの?」

「ああそれか、実はな…」

 

ではここで俺の話はしよう。

俺の体は少し異常なのである。

能力を持っていたからかは分からないが、俺の魂は介入が可能である。俺が昔発狂しそうになった時に生まれた魂がある。それがさっき表に出てきた〈狂気〉である。

普通なら自分が狂気に呑まれて暴走したりするのがアニメや漫画のテッパンなのであるのだが、特にそんな事はない。こればっかりは自分でも理由が分からない。

フランにも分かりやすいようにこれを説明する。

 

「へー。よくわかんない!」

「まあそうだろうな」

 

俺自身にもよくわかっていないのだ。俺にわからないことをそう簡単に分かられても困る。

 

「でも私に似ているんだね!」

「まあそうだな」

「ねえねえさっきのやつに会いたい!」

 

さっきの奴…とは狂気のことか。似た者として親近感でも湧いたのだろうか。

 

「んーちょっと今は無理かな」

「えー」

 

残念だが今は狂気が久し振りに目覚めたから魂が不安定なのだ。もう少し待って欲しいと思う。幻想郷にいるからもっと早く安定するだろう。

 

「定晴様?お身体は大丈夫ですか?」

「ん?余裕」

「それなら良いんですが…」

 

そう言うと咲夜は黙ってしまった。

 

「そういう咲夜は大丈夫なのか?少し無理に押してしまったと思うんだが」

「はい。私は特に」

「レミリアは?」

「別に私も大丈夫よ」

 

さっきから咲夜の顔が赤い気がする。

体調を崩してしまったのかもしれない。気を付けないといけないな。

 


 

 

私だって霊夢や魔理沙とあまり変わらない年齢なのだ。

だから目の前にちょっといい男性が現れたらちょっとときめいてしまうのは仕方の無い事で。

更にその人が私のことを護ってくれるともっとドキドキしたりするのは…

 

 

紅魔館メイド長十六夜咲夜、まだまだ年頃の女の子。

 

 


 

 

「ねえ定晴?御礼をしたいんだけど…」

「いや、いいよレミリア。別にそんな事のためにした訳じゃないし」

 

そもそも安全なためにやったことだ。今後副作用みたいなのが現れることもあるだろう。

 

「えー。お兄様もう帰っちゃうの?」

「んー。暫くは用がないからな。今日は挨拶しにきただけだしな」

 

まあここの地下にいるというレミリアの友人には会えていないが、今はまだ大丈夫だろう。

 

「別に貴方ならいつでも来ていいわよ。美鈴にも言っておくから」

「そりゃありがたい」

 

挨拶を終わらせてフランと戦い狂気を払って…

最終的にフランの兄となった。幻想郷とは中々に面白い体験ができるものだ。

 


 

「ねえレミィ?」

「何パチェ」

「さっき誰が来たの?霊夢や魔理沙じゃ無いみたいだったけど」

「そうね。幻想郷では珍しい男性だしね」

「ふーん。誰なの?」

「そうねぇ。彼は…フランのお兄様よ」

 


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