「は?ちょ、は?」
突然のことで驚いた。
「えっと…冗d…」
「定晴はこういうとき冗談だろうって流す癖があるの分かってるんだから」
…何が急にどうしてこうなったか分からない。
「幽香、やっぱり酔ってるだろ」
「…ああもう!貴方の過去に何があったかなんて知らないけど、私は真面目よ!貴方のことが好きなの!何か文句がある!?」
今までは小さい声で話していたが、幽香が声を荒らげたせいで周囲にも聞こえたようだ。視線が一気に俺たちの方に向くが、幽香はお構いなしと続ける。
「まあ付き合う云々は別に今すぐ返事を頂戴とは言わないわ。どうやら他にも…いえ、それはともかく貴方にも考える時間が必要だもの」
そこまで言うと幽香は立ち上がった。どうやら帰るようである。
幽香はアリスと話していたメディスンに先に帰ることを告げてから俺の方に向き直った。
「それじゃ、またね定晴」
それだけ言って幽香は飛び去った。
その間俺は放心状態である。まったくもって意味が分からない。俺が…幽香に告白された?酒の勢いなのだろうか…いやしかし…
「「「ヒュ〜!!」」」
幽香の姿が見えなくなった途端に周囲の妖怪がうるさくなった。主に男の妖怪が騒がしい。冷やかすような奴や恨みがましい目で見てくる奴など色々いる。鬱陶しい。
近付いてくる妖怪たちの中を最速で飛んでくる影が一人。
「定晴さーん!」
「文は引っ込んどれ!」
文の周囲の風を乱して墜落させる。文は風を操り加速しているので俺が風を乱すとそのまま横の森の中に落ちていった。妖怪だし問題ないだろう。
しかし俺が文に構っているうちにもう一人に近付かれていた。
「いいねぇ〜!」
「魔理沙か…」
ガヤそのニ、霧雨魔理沙。
「酒の勢いで…ってのはあれだが、熱意ってのを感じたぜ。ああいうの、中々できないし…面白くなってきたぜ!」
「お前は面白がってるんじゃねえよ」
「ああでも、定晴はきちんと考えてやれよ?私は別に恋心だとかは分からんが告白ってのがとても勇気がいるもので大切なのはわなるからな」
一応ある程度の理解は示してくれている。だが…
「私達はそれを見て楽しむだけだから」
やはり幻想郷住民はあまりこういったことで信用することは出来そうにない。
魔理沙め…というか幻想郷住民は面白いことがあるとすぐ飛びついて楽しもうとするからな。
きっと明日には天狗の新聞に載ることだろう。幽香が赤面するのも時間の問題だろうな。なぜわざわざこのような如何にも見せつけているかのような場所で告白をしたのか。確実に明日には幻想郷中で噂になっていることだろう。
幽香は幻想郷では結構恐れられている存在なわけだし、そんな彼女が告白だなんてネタにされるに決まっている。
まあそれでも幽香は勇気を出したのだろう…けど…恋愛は、俺には出来ない。
告白した。とうとう告白してしまった。
酒の勢いではあったかもしれない。でもあれは私の本心だ。きっと明日には天狗にネタにされるだろうが…私にロマンチックな告白なんて出来そうになかったし、勇気も出ないだろうから酒の力を借りた。
見る感じ私が告白一番乗りといったところか。守矢の巫女や定晴の式神よりかは早い。こういうのは相手から…とか期待してたら終わっちゃうのが尽きなのだ。
先手必勝、先に告白した方が印象に残るし…
私、告白したのよね。告白しちゃったのよね…あ、ああ、ああああ恥ずかしくなってきた。というか顔が熱い。人間を好きになるとかそんなのはもう受け入れているからいいけど、直接言うのは…酔いが覚めてきたから羞恥心が、というかあんな大勢の前で…天狗がネタにするなんて当然じゃない!バカじゃないの!
私の目の前で風見幽香が告白した。
妖怪が人間に、告白した。私が色々悩んでいたことをそのままご主人様に尋ねてそのまま告白した。ご主人様が人間と妖怪の恋愛についてあまり問題視していないことが分かったのはいいけど…ムズムズする。
…ムズムズなのだろうか。これは、嫉妬?告白してない私が、告白しただけの幽香に対して嫉妬?何をバカな…
でもこれは…
っ…
まさか幽香さんに先を越されるなんて…でも諦めませんよ。まだね…
もうその後の宴会はずっと俺を冷やかすような奴ばかりにからかわれた。
俺に恋愛なんて出来ない。
俺は誰かと一緒にいると、ダメなのだ。
『誰だ、お前は』
『ふふ、もう少し待っててね』
『あ、おい!』