東方十能力   作:nite

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百九十五話 触診

永琳の案内により無事永遠亭に到着した。道中でリグルに襲われたのだが、ルーミアが叩いてどっかに吹き飛ばした。あれでは本当にただの昆虫のような…いやいや、そんなことより。

 

「師匠、おかえりなさい!」

「ただいま。応接室を使うから準備しておいてくれる?」

「了解です!」

 

鈴仙はこちらに一礼したあとにパタパタと廊下を小走りで行ってしまった。鈴仙が向こうへ行ったということは応接室はこの廊下を直進なのだろうが、永琳は右に曲がって俺達についてくるように言った。応接室に行くのはまだのようである。

連れてこられたのは…手術室?

 

「さてと、定晴は上半身を脱ぎなさい」

「えっ」

「貴方の霊力を起点として人々を操ってる可能性もあるのよ。取り敢えず貴方の霊力情報とか身体情報だけ取らせてちょうだい」

 

永琳にそう言われ俺は上を脱いだ。患者に優しい設計となっているのか、この季節でも寒くはない。むしろ暖かいくらいだ。暖房器具の類は見当たらないのだが、果たしてどんな原理で暖まっているのやら。

聴診器などのよくあるものから、霊力測定器なる俺も知らないようなものまで、色んな器具で体を精査された。その全てが終わった時、永琳は何やら難しそうな顔をしていた。

 

「…貴方って本当に…いえ、今はいいわ。貴方の霊力に異常はないし体の方にもなんら影響はないわ。健康体そのものよ」

 

まあ浄化の力でウイルス由来の風邪などはひかないし、体とて丈夫だからな。

すると次はルーミアの方を向いて…

 

「貴女もよ。式神なんだし、変な反応が起きててもおかしくはないもの」

「分かったのだ」

「ほらほら、女子が服脱ぐから定晴は応接室で待ってなさい」

 

言われなくてもそうする。

ルーミアは封印が解けている状態なのだが、永琳はそれに特に言及しなかった。ルーミアであることは認識しているようだし気にならないのだろうか。

俺が手術室から出ると鈴仙が既にスタンバイしており、俺の事を案内してくれた。

応接室とは前に豊姫と依姫がいた部屋のようである。広さがあり家具も高級そうな部屋で、幻想郷の建物も大概こんな感じだなと再確認。

 

「師匠が来るまでここで待っててください」

 

鈴仙はそう言って部屋を後にした。

そういえば俺に対する話し方が普通だったな。確か鈴仙の様子が変だったから永琳が気づけたんだよなあ…

俺が頭を捻っていると俺の視線に気が付いて鈴仙は軽く説明してくれた。掻い摘んで言うと、永琳が特殊な手術を施すことによって洗脳状態が解けたらしい。医学ってすげぇ…

 

「はい、こっちも特に変わりないわよ」

 

永琳がルーミアを連れてきた。俺が手術室を出たときは大人モードのルーミアだったが、今は頭にリボンを付けているいつもの状態である。たしかこっちの方が妖力の消費が少ないなんて言っていたな。

 

「さて、これからどうするのかしら?私が直接処置すれば治せるけど、洗脳状態を解除する薬を作るのは時間がかかるわ」

 

それでも作れるのか。これはやはり月の技術云々ではなく永琳の技量が凄いのだろう。

 

「それでも正直言ってその薬もあまり良い案とは言えないわ。だって今の幻想郷では殆どの人妖が貴方の敵となっている。それだけの数を製薬するのは流石に不可能よ。主要な人物や強い妖怪たちを仲間にするのはできるけど、それまで。元を絶たなければいけないわ」

 

幻想郷から逃げるという選択肢を存在しない。なぜなら奴は…不動は多分だが幻想郷大結界を越えることができる。俺は幻想郷に一度も来たことがないのに、あいつが幻想郷内にいたことが理由だ。

となればやはり不動は倒してしまわなければいけない。未だになぜ俺があいつから憎まれ攻撃されているのかは不明だが、まあ多分どっか外の世界での仕事絡みだろうし。

 

「ただ不動は今もどこかに隠れているんだろう。どこにいるのか…」

 

俺の予想だが、奴は先程までは霧の湖、乃至紅魔館の近くにいたはずだ。フランの突然の発狂、あれはルーミアが見せた暴走の仕方と酷似していた。どういう方法なのかが分からないので対策できていないが、あれもなんとかせねばなるまい。

 

「人目がつかない場所にいるんじゃない?例えば…三途の川の近くとか」

 

永琳がそう提案してきた。

なるほど…確かにあそこは人通りはないし、あったとしても不動に危害を加えるようなやつではないだろう。

 

「ルーミア、行ってみるか」

「…ええ」

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