「仲間を探しなさい。私の予想にはなりますが、天界の少女が手伝ってくれると思います」
そう映姫に言われた俺達は、その少女がよく現れるというポイントに来ていた。見た目の特徴として青くて長い髪、帽子を被った女性らしい。
俺は天界人には洗脳が効かないのかと尋ねると…
「天界はとても清い空間、精神干渉はおろか妖怪が容易に入ることもできません」
とのこと。
まあ映姫が言うのであれば間違いないだろうし、その少女と会って見ることにした。名を比那名居天子、とある特殊な理由で通常とは違う天界人になった少女らしい。まあ俺は普通の成り方も知らないがな。
ついでとばかりに映姫にはその理由も訊いてきた。襲われることはないにせよ会ったことの無い俺に協力などしてくれるとは思えないと。
「そうですね…彼女は過去に異変を起こした経歴がありますが、その動機は暇潰しという単純なもの。今回も暇潰しになるとチラつかせれば協力を得ることもできるでしょう」
ふーむ、天人とは結構適当だな。いや彼女が特殊なのかもしれないが。
「来たわよ」
他の関係ない妖怪に見つからないように茂みに隠れること十分、映姫に言われた通りの特徴を持った少女が現れた。
「ねえ衣玖ー、なんだかみんな今日おかしくない?」
「なんとなく空気がおかしい気はしますね」
御目付役…というよりなんとなく天子の暇潰しに付き合わせてるような女性もいる。幻想郷の女性の中では高身長、ヒラヒラした服を身に纏っている。
「よし、いくぞルーミア」
俺達は茂みを出て天子の前に立った。突然現れた俺達に対して二人は怪しげな顔をしている。
「あー…俺の名前は堀内定晴。比那名居天子、協力してほしいことがあるんだ」
単刀直入に話を進める。なんせ時間をかけているとどこからか妖怪が飛んできて攻撃される危険性があるからな。
「協力してほしいことねぇ…一応聞いてあげるわ」
「今幻想郷全体にとある洗脳が掛かっている。犯人は分かっているが、どこにいるのかが分からない。そいつを捜すのを手伝ってほしいんだ」
俺が要件を伝える。すると天子は少し考えたあとに返事をしてくれた。
「暇潰しになりそうだからいいわよ。それに幻想郷全体に洗脳をかけれるってことは相当な術者、強者ってことでしょ?暇潰しに丁度いいわ」
「いいのですか総領娘様?」
「いいのよ衣玖。貴女はどうする?別に無理に付き合わせるつもりはないわ」
どうやら天子の隣の女性の名は衣玖と言うらしい。立場的には天子よりも下、といったところか。ただ衣玖から感じるのは妖力で、どうも天子は天人だが衣玖は妖怪のようだ。まだ洗脳されていないだけ、なのか。それとも洗脳されない何かがあるのか。
「私は戻ります。総領娘様、災害のようなことは起こさないでくださいよ」
「分かってる分かってる。もう博麗神社倒壊させるようなことはしないって」
そう言えば映姫から天子が過去の異変で何をしたのか聞いていなかったな。博麗神社を倒壊させる…って本気でしたのだろうか。あの神社は幻想郷の要点で紫が大切にしてる場所だが…
「定晴って言ったっけ?詳細を教えなさい」
「犯人の名前は不動。黒髪で俺よりも少し身長が低いくらいの人間の男性だ。幻想郷で人里以外に人間がいることはほとんどないから見ればすぐに分かると思う」
不動、奴は今どこにいるのか。今も俺のことを嘲笑しているのか。絶対に倒してみせる。
「いいわ、それじゃ私は妖怪の山の方に行くから」
それだけ言って天子は飛んでいった。天子から霊力をあまり感じない…これは神通力か?なんだか天界という場所にも少し興味が湧いてきた。この異変が終わったら行ってみよう。妖怪には毒な空間らしいが、浄化の力を持つ俺にはなんら影響のない空間だろう。
「私達も行きましょ」
「ああそうだな。博麗神社に…行ってみるとするか」
もし霊夢が洗脳されていたら…とても厄介だ。永琳が作っているという薬を使うハメになるかもしれない。だがそれでも一度確認しておかなければならない。
俺達は博麗神社へと向かった。
「あっ…」
「どうしました姫様?」
「…まあ次ここに戻ってきたら確かめましょうか」