東方十能力   作:nite

204 / 503
二百一話 a3…輝夜の気付き

霊夢と共に迷いの竹林へ入る。

するとすぐにどこからともなく因幡が現れて俺達を永遠亭に案内してくれた。因幡たちは竹林にいる普通のうさぎで、ぴょんぴょん跳ねて誘導してくれる姿がとても可愛らしい。てゐとは大違いだな。

しばらくすれば永遠亭が見えた。

 

「えーりーん!来たわよー!」

 

霊夢が大きな声でそう呼びかけると中から鈴仙が現れた。やはり出迎え役は鈴仙なのだろう。下っ端として苦労しているという話は本当だったか…

 

「霊夢は無事だったのね」

「私を舐めてもらったら困るわ鈴仙」

 

鈴仙についていく間に霊夢と鈴仙が話していた。

今回の洗脳が霊夢に効くのかは分からない。だがこうして無事だったわけだし、永琳があとは何とかしてくれるのではないだろうか。例の特効薬的なやつがどこまで効くのかはわからないが、永琳のものだし生半可な効果のものではないだろう。

鈴仙に連れられて到着した薬を色々と置いている部屋に永琳はいた。机の上には十本くらいの薬が置かれていた。もしやこれが…?

 

「分かったようね。そうよ。一応鈴仙を実験体にしながら作ったから妖怪には効くわ。人間相手はデータがないからわからないけど…」

「ふーん。これが定晴さんの言っていた薬とやらね」

 

さらっと言われた実験体の名前にご愁傷様という念を抱きつつ話を聞く。人間相手には効くかわからないのなら使うとしたら妖怪に限定にした方がよさそうだな。

霊夢もこれが何なのか一目でわかったらしい。博麗の勘、なのだろうか。

 

「ただこれ…いえ、憶測で話す必要はないわね。相手に飲ませればいいわ」

 

…この試験管に入っている薬を飲ませるって結構難易度高くないか?

幽香のようにある程度の理性を保っている妖怪相手ではないと隙を突くを必要があるが…果たしてそんなことが可能なのか。洗脳状態のやつはどうやら力のセーブも適当になっているのか致死性の攻撃を平気で放ってくる。今の幻想郷で死ぬことがあるような戦闘はご法度なのだがさっさと不動を倒してしまわない限り続くだろう。

 

「それじゃこの薬を持って行って…」

「ちょっとまってちょうだい永琳。いえ、定晴」

 

俺が薬を幻空の中に入れてもう一度不動探しに行こうかと思ったところ奥から一人の女性が現れた。長い髪と厚い着物…十二単なのだろうか…を羽織った輝夜だ。

なにやら永琳ではなく俺に用事があるようだがどうしたのだろうか。

 

「先に私の能力を言っておくと【永遠と須臾を操る程度の能力】というものなの。まあ言葉だけだとどんなものかはわからないだろうけど、簡単に言えば時間系の干渉知覚魔法を使えるとでも思ってくれればいいわ」

 

咲夜の劣化版…いや、逆だな。咲夜の上位互換といったところか。簡単に説明を聞くと老朽化しなくなったり永遠に生きることができるようになったりするらしい。うーん、魔法一つで不老長寿とは恐ろしいものだ。だがそれが今の状況に何の関係があるのだろうか。

 

「永遠の力の方はいいのよ。単純だし。今気になっているのは須臾の力の方よ。これを応用すると別の時間に存在を持てるの」

 

因みに須臾はしゅゆと読み、ほんの僅かで知覚すら難しい瞬間のことを指す。これを応用すると別時間に存在とは一体…前に咲夜に時止めの力について尋ねてみたが簡単に聞いただけで理解不能になったしこれも同じパターンだとして理屈は聞かないようにしておく。

 

「ねえ定晴、分からないならわからないでいいのだけど…他の世界線に存在していたりしないかしら?」

 

 

「まあ詳しくは聞かないけど…あなた、まだ皆に言っていない能力があるわね?」

「ま、全く誰にも言っていないってわけじゃない。紫には言ったし、お前らが会ったかは知らないがミキってやつにも言っている。まあその二人にこの能力を隠すのは不可能だしな」

 

あとついでに言うと全部ではないがルーミアにも少しだけ話した。もうルーミアも完全に信頼できる側の妖怪だしな。一応制約としてそれを他者に言えないようにはしているけど。

 

「ふーん。なら私の予想はそこまで外れてなさそうね…」

 

そう呟くと輝夜は体の向きをくるりと変えて、最後に一言。

 

「別の世界線は、確かに違う世界ではあるけど同じ幻想郷よ。それを分かっていてね」

「それは俺だってわかってるよ」

 


 

霊夢と共に永遠亭の外に出る。薬は俺と霊夢が五本ずつ持っている。

 

「それじゃ、私が妖怪の山に行けばいいのね?」

「ああそうだ。頼む」

「まさか天子が絡んでいるとは思わなかったけど…あいつ意外と不器用だしちょっとお助けしてくるわ」

 

そういうと霊夢は鈴仙に連れられて竹林の外に出て行った。もれなくてゐによる幸運バフ付きだ。確かにあの力をかけられると早く外に出られるのだが、あれ絶対幸運とかそういうものじゃないだろ。

俺たちは鈴仙が戻ってきてから別の方向から竹林を出る。それなりに竹林が大きいので無駄な回り道は危険なのである。

ルーミアが俺の手を引っ張った。

 

「ねえ、私もご主人様の能力のすべては知らないけど…大丈夫なのよね?」

「安心しろ。さっさとこんな状況打ち破ってやるから」

 

それでも未だに心配そうにこちらを見てくるルーミア。前はあまり他の人を気に掛けるようなことはしなかった気がするのだが、何か心変わりがあったのだろうか。

霊夢を案内し終えた鈴仙に連れられ俺たちも竹林を出た。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。