東方十能力   作:nite

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二百ニ話 c…花畑、人里それぞれにて

竹林を出て、まず私たちは幽香のもとへ向かった。彼女には薬を渡して楽にしてあげたいという気持ちがあるし、冷静に薬を飲んでくれることだろうとご主人様は言っていた。

幻想郷に住む妖怪の大方はいまだに洗脳状態であるので空を飛んで移動することはできない。式神になる前の私であれば空を飛ぶことができない現状にもやもやしていたことだろう。今ではご主人様と一緒にいる中で歩くことにも慣れたので別に気にならないのだが。

 

「またメディスンがいるかな…?」

 

花畑についた私たちは周囲に気を付けながら進んだ。夏には背よりも高い向日葵によって視界が大幅に阻害されるのだが、春前の今ならそんなことはない。ただそれは相手からも丸見えということなので警戒は怠らない。

ありがたいことにあの毒妖怪はいないようなのでそのまま幽香の家まで向かう。ご主人様から薬を渡してもらい一人で扉の前に立った。さっき見た幽香の状態から考えるにご主人様は近づくことができない。例え攻撃されないとしても精神に深い傷を作る可能性があるからだ。そのためまだマシだろうということで私が薬を渡す役を引き受けた。

 

「幽香ー!いるんでしょー!開けるのだー!」

 

なんだかもう意味ない気がする幼い口調を使いつつ返事を待つ。しかしいくら待てども返事はない。

気になってドアノブに手をかけてみると鍵が開いている。幽香の家の中には外に植えられている花とは別に特別幽香が大切にしている植物があるのでいつもは鍵をかけているのだが…あの幽香に限ってうっかりということもあるまい。しかも今のこの状況、ただごとではない。

 

「ご主人様ー!」

「どうした」

「幽香、いない。鍵が開いてた…家の中に入ってみない?」

 

呼びかけたらすぐに来てくれたご主人様を連れて家の中に入る。

特に荒らされている気配はないし、変な力も感じない。ただし幽香の妖力も感じることができない。彼女の妖力は私の本気の状態に匹敵するので全く感じさせないということは難しい。それこそ私のように封印されない限りは。

 

「随分前から幽香はいないようだな。鍵をあけっぱにするなんてあいつらしくないが…」

 

ご主人様は家の中に入って私と同じ結論に至ったみたいである。

残念ではあるが幽香は後回しということだろう。家を出た私たちは次なる目的地について話し合った。その時、周囲から殺気…

 

「せいっ!」

 

全方位からのレーザー、それを防ぐため闇で壁を作る。だがどうも強度が足りなかったようで攻撃は貫通してきた。

ご主人様も結界を張るがそれすらも貫通して…

 


 

定晴さんと協力して敵を打倒。そのために天子の援護…をするまえに私は人里に来ていた。

実は遣いとして水那を人里へやったのだが戻ってきていないのだ。定晴さんが博麗神社に来たときにそのことを言おうか迷ったが、水那がすぐに戻ってくるか分からなかったため伏せていた。事情を聞いた今では水那がその洗脳とやらの被害を受けている可能性が考えられたので様子を見に来たのである。

なお私はずっと浄化の札を発動した状態だ。幻想郷にいると問答無用で洗脳される、というわけではないだらうがトリガーがわからない以上洗脳無効化は常に使わなければならない。霊力の消費が激しいが…最悪夢想転生でも使って周囲一帯から浮くとしよう。

 

「人里は…普通ね。ただ確かに目が淀んでいることもないかもしれないわね」

 

ただ博麗の勘がなんとなくここは危ないことを伝えてきた。こういうときの勘って当たるのよねぇ…まあ私の勘はそもそも的中率高いけど。博麗の勘っていうのは侮ってはいけないのだ。

 

「慧音ー」

「ん?霊夢じゃないか。どうした」

 

人里で起きた出来事ならばそのほとんどは把握しており、人里での些細な事件の解決にもあたる慧音。彼女であれば人里に来ている水那のことも分かると思ったのだが…

 

「水那?いや、今日は見ていないぞ」

 

もしかして人里に来ていない…?

博麗神社と人里の距離はそこまで離れてはいない。すぐ近くというわけではなく、定晴さんの家を建てるスペースなどはあるもののそれでも人里への移動にはそこまで時間はかからない。元より博麗神社は人寄りのものであるためそれも当然だろう。

だがその間で水那がやられたのだとしたら…いえ、決めつけるのは良くない。一度見てみるとしよう。

 

「水那ー!おーい!」

 

最悪の展開として、洗脳されてどっかに誘導された可能性がある。定晴さんや永琳の話から考えるに、この洗脳には完全な操りの効果はなく思考誘導程度しかできないものと思われる。

それでも浄化の札を使わなければ博麗の巫女の防御を貫通するくらいの威力はあるので油断ならないが、それでも危険性はそこまで高くない。

最悪の可能性を考慮しつつ妖怪の山へ向かいましょうかね。もしかしたらそっちの方に行ってる可能性もあるし…そもそも私は天子の援護のために来たのだ。拗ねてなければいいけど…

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