東方十能力   作:nite

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二百四話 a4…式神の矜持

竹林を出て私たちは幽香のところへ行こうとした、が…

 

「…いや、幽香のところは後回しにしよう」

「なんで?」

「うーん、なんとなくとしか言えないが…まああそこに行っても収穫はない」

 

なんとなくで話している割には随分と言い切るのね。

きっと先ほど輝夜が言ってきたご主人様がまだ言っていない能力が関連しているのだろう。私はご主人様から『なんとなく良い方向に行くことができる能力』と聞いている。それがどういう原理でどういう作用があるのかまでは分からない。ただ先ほど輝夜が話していた並行世界の存在、そして能力の詳細を知っているのが共に空間系能力の賢者さんと時空神。つまりご主人様は並行世界に起こりうる事象を観測することができる?

 

「行くぞルーミア」

「え?あ、うん…」

 

何も聞いてなかった。

どうやらご主人様も妖怪の山へと向かうようだ。さっきまでは妖怪の山は天子と霊夢に任せるという話だったはずだけど…並行世界で妖怪の山に何かあったのだろうか。聞いても、いいのだろうか。

 

「あ、あの、ご主人様」

「ん?」

「えっと…」

 

ただの式神がその主の秘密に迫ってもいいのか。それが私の枷となって次の言葉をせき止める。そもそも何て聞けばいいのか。なんだか何も考えられなくなってきて全然考えがまとまらない。式神としての矜持とルーミアとしての好奇心がせめぎあって気持ち悪い。

 

「ご主人様の能力は、秘密なの?」

 

そして結局こんな質問しか出すことができない。私らしくもないけど…ご主人様に急に接近されたときもドキドキして何も考えられなくなるので案外私は土壇場での思考力はあまり無いのかもしれない。これはちょっと違うかな?

 

「そうだなぁ…できればあまり人に知られたくはないな。紫とミキに能力の詳細を話しているのはあいつらが信用できるっていう以上にあいつらの能力上隠すことができないからだしな」

 

やはり並行世界、時空とかそういう話なのだろう。きっと私には理解することもできないような力をご主人様は持っているのだろう。それでもしご主人様が苦しいのであれば、私はそれを支えてあげたい。そう思うのは私の我儘なのだろうか。

 

「ルーミア、隠れろ」

 

ご主人様に押されて茂みの中へ入る。

今の幻想郷では行動するときこんなことばかりだ。洗脳されているか分からないため誰かいたらすぐに隠れるという行動方式。幻想郷の人口密度は外の世界ほど高くないにせよ誰かと遭遇する確率は高い。毎回こうやって隠れていては時間がかかりすぎるが…霊夢たちと違って私たちは見られただけで攻撃されるので連戦を避けるためにこうするしかないのだ。

 

「よし、行くぞ」

 

そんな風に何度もやりすごしながらなんとか妖怪の山に到着した。

 

「それで、どこに行くの?」

「慎重にしても何度も死ねるとこだ」

 

…?

何を言っているのか分からないがご主人様には目的地がぼんやりとはいえわかっているようだ。何度も死ねる場所ってどういうことなのだろうか。その言葉通りとすればご主人様でも死ぬ確率が以上に高い場所ということになるが…妖怪の山でそんな場所あっただろうか?

そして飛ぶこと数分、なぜか誰にも会わないままとあるポイントでご主人様は静止した。

 

「ここ?」

「ああ、そうだ」

 

ご主人様は森の中を注視しながら誰かを待っているようだった。

そして数十秒、山頂の方から霊夢が飛んできた。

 

「あら、定晴さん?なんでここにいるのよ」

「次のステップに行くためだ」

 

ご主人様がそう言ったと同時に森の中から攻撃。ご主人様は焦ることなく結界を展開して攻撃を防いだ。まるでどこからどんな攻撃が来るかを知っていたかのように。

 

「よう、出たな妖怪」

 

森の中から出てきたのは女性の妖怪。天狗ではないようだけど…なんの妖怪かまでは分からない。

彼女はご主人様を強く睨みつけている。不動の仲間、なのだろうか。

 

「何度も何度も殺しやがって…霊夢、ルーミア二人とも手伝え。そろそろ面倒なこいつを処理する」

「おかしいですね、私は貴方と初対面のはずなのですが」

 

やはり別の世界での体験、だろうか。でもそんな能力があるならご主人様は絶対負けないはずだし何かしらデメリットか代償が必要となっているはずだ。それが何か、分からないけど…

 

「ふっ!」

 

女性の妖怪が攻撃を開始した。

それに伴いご主人様と霊夢も戦闘開始。私もそれに続いて攻撃をする。多分、何度目かの初めての戦闘を開始した。

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