東方十能力   作:nite

209 / 503
予約投稿をミスったので火曜日に一本投稿しております


二百六話 多勢に無勢

妖怪の山に到着した。そこで気づいたことについて訊いてみる。

 

「天狗たちが全然いないがどこにいったか知ってるか?」

 

いつもなら妖怪の山の近くに少なくとも一人は飛んでいる哨戒天狗の姿を見つけることができない。既に範囲で言うならば妖怪の山の天狗の領域に入っている。いつもならここで「進入禁止だぞ」のようなことを言われて追い返されるのだが…天狗が近づく気配もない。

 

「さっき椛には会ったわよ。あとちょっとの天狗たち。それでもいつもより全然数が少ないのは私も感じたけど」

 

どうやらゼロではないらしい。だが今はまだ誰の姿を見つけることができないな。そういえば先ほども戦闘している間に天狗が近付いてくることはなかったな。もしかしたら霊夢が見たという天狗が最後の可能性があるな…

 

「どうする?頂点の方行ってみる?」

「何があるんだ?」

「妖怪の山のさらに上の有頂天のところに天界があるわよ」

 

何気なく言う天子。なるほど、天人というから空に住んでいるとは思っていたが…ここからは見えないくらい上に存在するのだろう。とても清い空間でルーミアは入れないと思っていたが博麗神社の一件でルーミアが浄化の力に対して大丈夫になっていることが確認できたからもしかしたら二人で見に行くこともできるかもな。

閑話休題

多分だが霊夢と天子の二人で妖怪の山の表面は大体回ったと思うんだよな。となれば表面ではなく…内側。

 

「定晴さん。もしかして地底のことを言ってる?」

「地底とまではいかなくともその道中にたくさんの横穴があるだろ?そこに隠れてるんじゃないかって思ってな」

 

俺たちの仮定が正しければ不動は陰陽師としての力を持っている。俺の外の世界の知り合いの一人に陰陽師がいるが、そいつは遠見の術というもので千里眼紛いのことをしていた。本当のことを言うと式神を通して外の様子を見るものなのだが、あそこまで式神の扱いに長けている不動がそれを使えないとは思えない。むしろ今現在も見られているかもな。

 

「でもそれこそたくさんあるのよ?時間がかかりすぎるわ」

「穴の入口からでかい弾でも撃ち込んでみればいいんじゃないか?あまり横穴は入り組んでいないし反応の有無は分かると思うんだが」

「貴方って意外にごり押しタイプなのね…」

 

天子に驚かれたけどまあこの際仕方ない。時間がかかるというのは本当のことだし如何に時間をかけずに行くかという話で言うならば多分これが一番早いと思います。若干脳筋戦法なのも是非もなしなのだ。

 

「まあすぐに別の方法も思いつかないからそれでいくわよ」

 

霊夢がそう決めたので俺たちは地底に続く大穴の入口へ移動する。

ゆっくりと降りながら横穴を見つけたら弾を撃ち込んでいく。俺はそこまでの広範囲攻撃をオリジナルで持っていないので模写の力でマスタースパークを撃ち込む。うーん、この技は使い勝手がいいなぁ…模写しているので若干霊力と魔力の消費が多いが、それを抜きにしてもやはり使い勝手がいい。そういえば魔理沙自身に俺がマスタースパークを模写したことを言っていないな。もし知ったら一体どんな顔をするだろうか。この技は魔理沙の十八番だし。

降りること数十メートル。未だに反応のある横穴を見つけることはできていない。まあいないという可能性もあるから落胆してもいられないのだが…と、体に痛み。運命分岐…?これは…下か!

 

「横穴に入れ!」

「な、なによ」

「いいから天子、入るわよ!」

 

なにか霊夢も感じたのか天子以外は文句も言わずに横穴に入る。その数秒後、縦穴の底からレーザーが放たれた。これは、どこかの世界線で幽香の家の近くにて俺とルーミアを焼いたやつだな。防御をして吹き飛ばされたという記憶をもとに回避したが間違っていなかったようだ。

 

「おやおや、急に外を見ることができなくなったと思えば、堀内じゃないか」

 

そして底の方から大きな妖怪に乗って現れたのは不動。どうやら横穴のどこかにいた中継用の妖怪を俺たちは知らないうちに倒していたようだ。もしかしたら妖怪ではなく紙とかで作った式神で、だからこそ気付かなかったという可能性もある。とにかく不動を見つけることに成功した。

 

「彼女は強いし操りやすかったんだけどねぇ…君はやはり妖怪に対して躊躇がないようだ」

 

後半の言葉の節々に怒りを感じる。不動が俺を憎む理由は過去の外の世界での依頼にまつわることであるのはほぼ確実なのだろうが…やはり分からない。

彼女、というのは永遠亭で保護をしている女性の妖怪のことだろう。やはり霊夢の言っていた通り不動が式神化させて操っていたようだ。もしかして藍や紫も同じことができるのだろうか…それはともかく。

 

「いい加減にしてもらうぞ不動」

「それはこちらのセリフだよ堀内。そこにいる協力者共々滅ぼしてあげよう!」

 

不動が乗っていた妖怪が弾幕を展開する。ここでは戦いづらいので上に向かって逃げつつ迎撃を行う。不動の下の妖怪も式神となっているのか不動が落ちてしまうことはない。というか不動は空を飛べないのか。

なんとか妖怪の山の穴から脱出。その後ろを不動が追いかけてくる。

 

「もう逃げ隠れしなくていいのか?!」

「準備は整ったからね。彼女がいないのは予想外だけど…まあこちらも手駒の用意はできている」

 

その不動の言葉と同じくして妖怪の山の森の中からたくさんの天狗が出てきた。もしやこれ全部が敵かよ。前回博麗神社で戦った時でももっと人数がいたのに、俺と霊夢とルーミアと天子の四人だけで勝てる気がしない。

それに戦力はそれだけではないようだ。

 

「っ…」

 

霊夢が悲しそうな顔をする。不動のさらに後ろから地底への穴を通って出てきたのは水那。なにやら変な髪飾りを付けているが、もしやあれが洗脳装置か?他の妖怪たちに付いているようには思えないので博麗の巫女にはあれほどしなければ洗脳できないということなのだろうか。

それに虚ろな目をした妖怪たちが妖怪の山とは違う方向から飛んできているのが見える。紅魔館のやつらも、野良妖怪も、いっぱいいるようだ。物量戦だろうか。フィクションでは大量の兵士が強大な兵器一つで吹き飛ばされることが多々あるが、実際のところ物量というのは戦略としてとても有効だ。

 

「どうするのよ。私負ける未来しか見えないわよ」

 

天子がそう呟く。俺も確かに負ける未来しか見えないし、なんなら別世界線でも数十秒耐えて終わりのようだ。リンチされるせいで能力の反動による痛みが凄まじい。あくまで幻肢痛のようなものなのでしばらくすれば痛みは消えるが…これはどうしたものか。

 

「ちょっとだけ待ってくれ」

 

四の五の言ってる暇はない。痛みを覚悟で能力を行使する。俺の能力はこういう場面こそ強く、確実に作用するはずなのだ。数多の痛みが体を通り声が漏れる。そして数秒、内臓を潰された痛み(どこかの世界線では潰されているので比喩とは言えない)に耐えながら声をかけた。

 

「全員、ここから東に逃げるぞ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。