東方十能力   作:nite

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二百二十話 博麗の家

最近の水那はよく頑張っていると私は思う。そもそもまだ水那からしても先代が私になるのだからそこまでやる気も出ないだろう。自身の正確な年齢は正直分からないけど水那とあまり年の差はないと思うし、そんなほとんど自分と同じ年齢の子が先代だなんて紫は何を考えているのかしら。

 

「ふぅ…」

「お疲れ水那。お茶をいれてあるわよ」

 

今日の特訓を終えた水那を縁側で出迎える。

先日の不動の異変から水那はさらに強くなろうと心掛けているように思える。まあ理由は私も分かるけど。水那は不動の操られて私たちに牙を剥いた。あの時は妖怪のほとんどが洗脳されていたし正気を保っていたのも身内に近い人たちしかいない。天子はあまり興味がないみたいだったし水那を責める人物は一人もいなかった。

それでもやはり水那からすれば耐え難い事実だったようである。

 

「もっと…強く…」

「…」

 

私は自分が天才であることを理解している。まあ天才とまではいかなくとも、人よりも少ない練習量で他の人よりも高い結果量が出ることを知っている。私がこの年で博麗の巫女という大役を担えているのはそれが起因していたりもする。

だから私は水那にかける言葉が見つからない。私から何を言おうとも水那にとってはプレッシャーにしかならないだろう。なんせ私は実際に水那の苦労があまり分からないからだ。スペルカードルールを幻想郷に浸透させたとき以上の苦労はしていないし、それも結局紫の力によるものが大きい。まだ私は努力しないと越えられない壁ということにぶち当たったことがないのである。

 

「ふぅ…あれ、お茶変えました?」

「華扇のやつが持ってきたのよ。甘いものにあうって言うんだけど、ここにそんな贅沢品があると思ってるのかしら」

 

そう言いながらいつもながらの煎餅を頬張る。段々湿気てきたわねこの煎餅…

水那はさっさと煎餅を食べ終わって神社を飛び出していった。私と違って人間や妖怪を大切にしようとしている水那は度々幻想郷を飛び回って依頼をこなしているらしい。所謂相談屋のようなものだ。私は向こうから関わってこない限りは不干渉でいたいので私からすれば水那は苦労人としか思えない。その苦労も自分自身で生み出しているのだから私には関係ないのだけど。

 

「お、霊夢。やっぱりだらけていたな」

「なによ魔理沙」

 

私は寝転がっていたら気が付いたら傍に魔理沙がいた。私の顔を見てにやにやしているが、随分と失礼な奴だ。

 

「水那が飛び出て行ったのが見えてな。あいつは努力しているのに霊夢と言ったら…と思って」

「お節介よ。水那はちゃんとお礼の品も貰って帰って来るから実は前よりもそれなりに生活が安定しているのよ。だから私はここで寝転がってるってわけ」

「はぁ、水那がかわいそうだぜ。こんなのが先代だなんてな」

 

こんなので悪かったわね。

まあ水那は依頼をするのと同時に練習をしているわけだし私が口を出す理由はない。色んな人から色んな依頼を受けるから特殊な状況での練習になると前に水那が言っていたが私にはよく分からない。

 

「それで?魔理沙は何しに来たのよ」

「私がここに来る理由なんて一つしかないだろ?お茶しにきただけだぜ」

「あのねぇ、ここは茶屋じゃないのよ。お茶しか出さないからね」

 

それで十分だぜと箒を置いてどかりと座り込む魔理沙。そして勝手に机の上に置いてあった煎餅を食べだす。お茶しか出さないって言ってるのに…まあその煎餅は湿気ているから別にいいんだけどね。後で私はもっとパリパリで美味しい煎餅を食べるだけだ。

 

「ん?ていうか今お前だけか?」

「ええ。あうんは裏手の山でわさわさしてるの見たけど他の奴らはいないわ」

 

あうんが守護を放棄して茂みでわさわさしていたのは何とも言えないが、彼女の存在に気付いたのも数年前だ。別に自由に行動していてもいいだろう。実際守矢神社に行っていたり白玉楼に行っていたりするらしいし。

 

「そういうあんたも今日はアリスと一緒じゃないのね」

「私がアリスと一緒にいるのは正直なところあまりないんだぜ。パチュリーといいアリスといい私に恨みがあるみたいだからな」

 

それは勝手に物を盗っていったり壊したりするからじゃないかしら。

今では神社から最寄りの家となった定晴さんのとこも今日は来ないし、久しぶりに魔理沙と二人っきりね。そういえば最近二人っきりになるのなかったような…

 

「二人っきりなのは久しぶりだな」

「あ、やっぱり?私もそう感じてたのよ」

 

魔理沙もそう感じているのならやはり久しぶりなのだろう。魔理沙は霧雨魔法店があるはずなのに働いているところはあまり見ないし、私も私で最近の異変だと役立たずになっているので暇なら結構あったはずなのだけど…

 

「ま、たまにはいいか。煎餅おかわり」

「もうないわよ」

 

私の言葉に不満そうにする魔理沙。勝手に食べたのはそっちだろう。むしろそっちが何か出しなさいよ。アリスと違って魔理沙が持ってきたものはいまいち信頼できないから食べるつもりはないけど。

 

「久しぶりに二人で弾幕ごっこでもするか?定晴が来てから[ごっこ]の弾幕をあまりしてないからな。私は準備ばっちりだぜ」

「そうね、久しぶりに魔理沙をボコボコにするのもいいわね」

「おい!」

 

特に最近の異変はどうも攻撃的すぎた。あんなのはただの殺し合いで、今の幻想郷には合わない。

魔理沙に続いて私は飛び立った。日頃の鬱憤を晴らすために。

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