しばらく飛んでいるとなんとも不思議な場所に出た。分かれ道が多くどれが正解の道かが分からない。別に分かれ道自体は不思議ではないのだが、不思議なのは八千慧の指示通りに来たにもかかわらずまっすぐ進めなくなったからだ。
「まっすぐってどっちよ」
「こっちじゃないか?」
「魔理沙、それ来た道から九十度曲がってるわよ」
全方向に道は伸びているものの八千慧によればまっすぐ進めばいいと言う。であれば来た道から見て正面にある二本の道、そのどちらかが八千慧が言うまっすぐなのだろう。
「こういう時は二手に別れよう」
「だな。霊夢と定晴は一緒でいいんだろ?だから私が先に選んで…左に行くぜ」
「いいわ、じゃあ定晴さん。私たちは右に行きましょ」
俺の提案で二手に別れて魔理沙とは別行動。魔理沙も異変解決は競争の一種と言っていたし別行動の方が二人共やりやすいのだろう。尚俺は霊夢のサポートとして来ているので霊夢についていく。
「ま、どっちが当たりでもいいけど」
「そう言うな。どっかで合流する可能性もあるしな」
「そうだったら私はここの設計をした人に文句を言うとするわ」
ここを設計した人って誰だろうか。閻魔か神か…はたまた鬼か…なんにせよ上位者に対して喧嘩を売りに行くと確実に面倒なことになるのでやめてもらいたい。ここは幻想郷の外だから普通に霊夢が罰せられる可能性も高い。
「にしてもこんなに広いなら水那も連れてくれば良かったわ」
「留守を任せているんだろ?」
「まあそうなんだけどね。日頃まともな用事で来る人なんていないからあうんだけでも全然構わないのも事実よ」
博麗神社がどういう状況なのかがよくわかる言葉に憐れみを覚える。霊夢と水那は確実にいるうえ時によって萃香やあうん、針妙丸もいるのだが、はたして博麗神社の貯蓄は大丈夫なのだろうか。多分それなりに紫から支援をしてもらっているだろうけど…もしかしたら経営状況は白玉楼といい勝負かもしれない。
「あら、これ…ハニワ?なんでこんなところに?」
しばらく飛び続けているとなぜかハニワが現れるようになった。しかもたくさん置かれている。しかも何故か知らないがたまに飛んでくるので撃ち落としておく。
ハニワ…埴輪とは古墳時代に作られた土器であり魔除けなどの意味を持つ人形みたいなものである。似たものに土偶というものがあるがそっちは縄文時代のものなので別のものだ。
にしても畜生界がどんなものかは知らないがハニワがポンポン置いてあるような場所ではないだろう。
「あら?見るからに怪しいわねあなた」
霊夢が見ている先に一人の女性が浮いていた。武士…いや、将軍みたいな服装だが、多分あれはハニワの衣装だろう。彼女を中心としてハニワが広がっているようなのでハニワを置いたのは彼女だろう。
さてと、いつも通り戦闘かな…ん?
彼女がいる方向とは別の場所から妙な気配を感じた。これは…神の力だろうか。幻想郷には普通に神がいるが、ここはそういう場所ではない。もちろんこの場所を統治している神かもしれないが、だとすればこんな奥にいるのも不思議だ。地獄から繫がるのであれば妖夢がいたあの場所にも誰かしら神がいなければ変である。
霊夢はこのまま戦闘になるようだが…うん、霊夢一人でも大丈夫だろう。ここらへんには動物霊もほとんどいないようなのでいい感じに倒してこっちに来るだろう。
俺は道を逸れて霊夢とは別行動をすることにした。単独行動の方が俺は向いているしな。
定晴さんが他の方向に飛んでいった。何かを見つけたのだろうが私に何も言わずに行くのはどうかと思う。まあ別にいいけど。依頼内容から逸脱した行動だったってことで報酬を減らせばいいだろう。定晴さん優しいから納得してくれるだろうし。
「さあ、弾幕勝負よ」
「生身の人間がこんなに強いなんてね。埴輪兵士はどうしたの」
「ん?もしかして適当に飛んできてたやつ?定晴さんが撃ち落としてたからわからないけど…あれ弱すぎるんじゃない?」
あれ攻撃だったのかと納得。ただ弱すぎるという意見は正直に言う。定晴さんそこまで集中してなかったというか片手間に撃ち落としてたみたいだしね。多分私も何発か御札を当てれば撃ち落とせる。
ただその意見に彼女…杖刀偶磨弓はひどく怒っている。さっき名前を聞いたけどここに来てからというもの妙な名前にしか会わないわね。
「埴輪兵士をばかにするなんて!」
激昂したらそのまま弾幕を撃ってきた。それなりに威力が乗っているので一発でも当たれば気絶しそうだ。仕方ないので結界を自分の身を護るように展開してから私も攻勢に出る。
磨弓が攻撃するのに合わせてハニワが飛んでくるのだけどやはり容易に撃ち落とせる。私は定晴さんみたいに飛んでくる弾をなんとかする技術はないけどハニワ程度ならなんとかなる。というかやっぱり弱すぎるでしょ。旧地獄にいる妖精の方がまだ強いわよ。
取り敢えずこっちはなんとかなりそうね。定晴さんが良いものを見つけてきてくれたら報酬の話はなんとかしてあげてもいいかもしれない。