東方十能力   作:nite

237 / 503
二百三十四話 人間霊の神

ちょっと狭くなっている道を飛んでいく。ここらへんにもハニワがいて俺に向かって飛んでくるので撃ち落としておく。一応壊れないように加減はしているのだけどたまに崩壊させてしまう。安全のことを考えると全部壊してしまうのがいいのだろうけど多分さっき浮いていた少女のものだろうし少し躊躇われる。

俺の結界を破るほどの威力はないようなので進行の邪魔になる場所に飛んできたハニワ以外は無視。しばらく進めばハニワの姿はなくなり別の世界みたいな場所に到着した。ここが畜生界の中心だろうか。先ほどのところに比べて装飾もあるのできっとそうだろう。

 

「あれ、定晴さんじゃないですか」

「ん?妖夢?」

 

声がする方を振り返ってみるとなぜか妖夢が立っていた。妖夢は地上のところで話をしていたはずだが…何か進捗でもあったのだろうか。

 

「私はある程度話を聞いてみるとここに人間の霊がいっぱい集まっているって聞いたので来たんですが…霊夢はどこへ?」

「霊夢は途中にいたハニワ総大将みたいなやつと戦ってる。俺はちょっと怪しいなと思ってこっちに飛んできたんだ」

 

やはりここが目的地で間違っていないようだ。人間の霊もいるが動物霊もいるな。人間の霊が動物霊に攻撃されて一目散に同じ方向に逃げている。そっちの方向に何かあるのだろうか。

 

「折角ですし行動を共にしましょうか」

「だな。何が出るか分からないし警戒はしておけよ」

 

戦闘スタイルが剣術の俺と妖夢だが一応妖夢は剣撃みたいなの撃てるから遠距離も大丈夫だろう。妖夢自身は近距離が苦手で俺も剣術指南の時にそれは分かっているのでこういう場では近距離は俺が対応するとしよう。たまにあとは実践で試せと言う師匠が物語に登場したりするが、俺はそういうやり方は好まない。まだできることがあるのでそこを詰めないまま実践に駆り出されるというのも酷だしな。

 

「取り敢えず人魂たちのことを追ってみましょうか」

「道中飛んでる動物霊は基本的に成敗で」

 

俺たちは短く方針を話し合いまずは人間霊が集まっている場所に向かってみることにした。動物霊は俺たちのことも攻撃してくるが今の妖夢と俺がいれば何の問題もない。動物霊の弾はそこまで早くないので妖夢でも普通に捌けているので危なげなく進んでいく。

 

「そういえば妖夢はどこからここに来たんだ?」

「閻魔様に送ってもらいました。今から畜生界というとこに送りますって突然言われて飛ばされたんですけど…定晴さんがいて安心です」

 

映姫ぇ…説教は長いのに説明は短いとはこれ如何に。

ともかくだ。妖夢という戦力を手に入れたのはとても良いことではある。魂である狂気や魔女のサポートがあるとはいえ体は一つしかないのでどうしても死角が生まれてしまうのを妖夢で補うことができる。

 

「妖夢って異変解決に来るのは初めてか?」

「いえ、今までも何度か…ただ、定晴さんから剣を習ってからは初めてですね。そういう意味では定晴さんの前で無様な姿を見せないようにしたいと思います」

 

軽い発表会、みたいな…まああまり緊張しすぎるのも良くないのでほどよくな。

 

「動物霊への攻撃は大丈夫か?」

「私の剣は霊に対してはとても効果がありますからね。霊でも斬れる剣と霊を斬るための剣。この二振りがあればなんとかなると思います。それに冥界にはもっと沢山の霊魂が浮いてますし」

 

白玉楼における妖夢の仕事は聞いたことあるが、冥界における妖夢の仕事は聞いたことがないな。妖夢は一応庭師らしいが冥界にある植物なんて白玉楼の中かでっかい西行妖くらいなものだし妖夢の仕事はないように思える。

紫曰く冥界の仕事は主に幽々子が対応するらしいから妖夢はサポートかな?幽々子だけに任せておくのは些か不安だし。

 

「定晴さん、正面を見てください」

「お、誰かいるな」

 

しばらく飛んでいくと人間霊が集まっている中心地らしきところに到着した。そしてそこには緑色の服を着た女性が浮いている。この気配、神だな。

 

「ほうほう、こんなところに生きた人間が二人…いや、一人は半分は死んでるのかな」

 

こちらに気付きなにやら呟いている。俺も妖夢…半人半霊の生態はとても気になるところではあるが今はそれどころではない。

 

「私は埴安神袿姫。無断で神域に入ってきたことも含めて、何か用事?」

「ああ、まあお前が犯人ならいいんだが…」

 

俺は地上で起きていることと動物霊のことについて話した。

途中までは何とも無しに聞いていたようだが、八千慧の名前を出すと途端に表情を変えた。

 

「こっちの方に動物霊のボスがいるって聞いたの?」

「ああそうだが」

「私は人間霊を保護しているだけよ。動物霊は、まあ人間霊を尊重できるなら共存してもいいけど…無理でしょうね。ともかく、私はどちらかといえばあなたたちの味方なんだけど」

 

人間霊がそれなりに集まっているし、確かにここらへんには動物霊がいないので少なくとも人間霊を保護しているっていうのは本当のことらしい。

ただなんか人間霊のことを支配しているようにも見えるのだが…まあこの際良いだろう。どうやら人間霊が呼んだ神様らしいし。それで苦しんでいるのなら過去の過ちを悔いてくれって話だ。

 

「どうします定晴さん?」

「そうだなぁ…一回霊夢のところに戻ってもいいが…」

 

俺と妖夢が相談をしていたそのとき。

 

「ん?なに?」

「どうしたんだ袿姫」

「なんか揺れているような…」

 

袿姫の言葉で俺も周囲に意識を巡らせる。飛んでいるので気付かなかったがどうやら空間自体が揺れているようだ。

 

「妖夢、こういうところでも地震って起きるのか?」

「そんなはずありませんよ。これは…」

 

妖夢が言葉を言い終わる前に…

 

俺たちの真上の岩盤が降ってきた。




やっとオリジナルの展開に持っていけます。ここまでは前座です
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。