東方十能力   作:nite

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二百四十一話 突破口

現在の状況を整理するとこうだ。

・畜生界の入口は結界で閉ざされ外部と連絡することはできない

・磨弓は行方不明。ルーミアが磨弓の力を持っている動物霊を倒しに行っている

・原因不明の地響きは継続中。畜生界全体が揺れていると思われる

 

うーん…情報が少なすぎるな。作戦を立てる上で最も重要になるのは情報である。現代の争いと言うと情報戦が先行し、また情報戦での優劣がそのまま結果に繋がることも多い。

 

「じゃあどうする?敵の親玉をぶっとばせば勝ちでしょ?」

「それはそうだ。だが相手の目的が分からない。動物霊を使った幻想郷侵攻は目的の一つだろうが…俺たちをここに封じ込めておく理由が分からない」

 

幻想郷での争いごとをなんとかするのは博麗の巫女というのは幻想郷を知るものであれば比較的常識である。しかしながら霊夢を抑えることができれば幻想郷で覇権を握れるのかと言われるとそうではない。そもそも霊夢は人間の中で最強格というだけであって、幻想郷に生きる者という括りで見ればもっと強い人などたくさんいる。

 

「もし俺たちを倒したいというのであれば本人やら部下やらがここまで直接来てくれるだろうが、もし閉じ込めること自体が目的ならば親玉はひたすら逃げ続けるだけで目的は達成される」

「つまり、相手の出方によっては脱出できないと?」

「そういうことだ」

 

妖夢の質問を肯定する。

それに倒したいという場合でも、本当に殺したいというのであれば出てこなくても俺たちはいつかここで餓死することになるだろう。元より霊魂たちが住んでいる場所だ。人間のための食糧などたかが知れているだろう。

 

「じゃあどうするのよ」

「どうするかなぁ…」

 

もちろんこれで相手が出て来てくれればいいのだが、今のところその様子はない。俺たちが単独行動しているときに各個撃破すればバレずに倒せそうなものだからタイミングとしてはそこくらいだったのだが誰もそのような人物とは遭遇していないと言う。

 

『定晴、動物霊を除去しといたー』

『ああ、ありがとうルーミア』

 

ルーミアが動物霊を倒したらしい。やはり抵抗らしい抵抗も見せずにルーミアの闇に貫かれて消えていったらしい。勝手に霊を消し去ると映姫とかに怒られそうだが…まあ仕方ない。たまには説教されてみてもいいかもしれない。

ルーミアの方でも誰かが妨害してきたとかそういったことはなかったらしい。となればやはり問題は相手の目的だな。俺たちを閉じ込めておくことが目的だったとして、それで完結する話ではないだろう。だからと言って先ほど言った通り俺たちが閉じ込められているからと言って幻想郷を征服できるわけでもあるまい。

 

「なあ定晴」

「なんだ魔理沙?」

「こういうときにあのスキマを呼べないのか?あいつが超えれない境界なんてないんだろ?」

 

ふーむ、紫か。寝てないかなぁ…

 

「紫ー!おーい!」

 

 

「ああ、紫にとてもとても会いたいなー!」

 

 

「…だめみたいだな」

「使えないなぁ…いや、この場合使えないのはスキマ妖怪の方か」

 

幻想郷の中、紫が起きているときであれば会いたいと言えば基本的にすぐに来てくれる。なんでそんなにすぐ反応できるのかは全くの謎ではあるが、役に立つこともしばしばだ。しかし今はその反応がない。分厚い結界と言えども紫が超えられないはずがないから多分寝てるのだろう。まだ二月は紫的には冬眠の範疇らしい。バレンタインの時とかはきっちり起きるというのに…

 

「じゃああの時空神とかいうあいつは?」

「ミキこそ俺は呼べないぞ。まあたまたま俺のところに遊びに来ることを願うしかないな」

 

あいつの行動はいつも思い付きばかりなので、俺と遊びたいと思えば世界を隔てても遊びに来る。はた迷惑なやつだが今来てくれると好都合だ。

 

「じゃあどうすればいいのよ!こんなところで足止めなんて面倒でしかないのよ!本当なら今頃さくっと解決して帰ってたのに!」

「そんなに怒らないでよ霊夢」

「そうだぜ。怒っても何も変わらないだろ?」

 

霊夢の癇癪を妖夢と魔理沙が宥める。しかしそれで収まるわけもなく、袿姫のことを吹っ飛ばそうとか言って袿姫が怯えてしまっている。このままだとわけもなく袿姫が霊夢によって撃破されてしまいそうなので急いで案を考える。

取り敢えずここから出てしまうのが手っ取り早い解決方法だろう。となればこの分厚い結界をどうにかしないといけないわけだけど…

 

「実は言うと結界を消し飛ばす方法はあるんだ。俺がちょっとしたことをすればそれだけで結界は消え去る」

 

単純に無効化の力を使えば結界はその形を維持することができずに消滅してしまうだろう。ではなぜそうしないかと言うと、本来の解除方法ではないのでどんな悪影響があるかが未知数という問題があるからである。

 

「なあ霊夢、この結界を問答無用で消し去った場合はどうなる?」

「それって定晴さんのよくわからない力を使うってことでいいわね?そうねぇ…この結界がこの畜生界を全部覆っていた場合は一気にこの世界が吹き飛ぶくらいはあるかもしれないけど…まあ問題はないわ」

「問題大ありじゃないか!そんなの私たちがこの世界諸共消し飛ぶじゃないか!だめだだめだ、定晴。何をするつもりなのかは知らないけど却下だ!」

 

霊夢は何をもって問題ないと言ったのだろう。

俺の無効化の力は一部分にだけ作用させるとかそういった汎用性の高い、使いやすい能力ではないので結界の一部、入口部分だけを無効化するといった技ができないので仕方ない。

 

「ただいまー」

「おかえりルーミア。早かったな」

 

そうこうしている内にルーミアが任務から戻ってきた。残念ながらルーミアが行って帰ってくるまでの間に進展はなかったぞ。

 

「袿姫!あんた神様なんだからなんとかしなさいよ!」

「できるならしてるわよ!神だからってなんでもできるわけじゃないのよ!」

 

神奈子や諏訪子だって神だからといってなんでもできるわけではない。神とは万能でも全知でもないのである。まあミキは極めて全能に近いけどな。

 

「うーん…」

「うーん…?」

 

だめだ。何の案も出やしない。八方ふさがりである。

紫になんとかしてもらうしかないのだろうか…と、そんな希望的観測を考えていたら大きく世界が揺れた。

 

「なに!?」

 

俺たちは今なお浮かんでいる状態なので問題はないが、明らかに大きく一回揺れた。断続的に続いている揺れが大きくなったわけではなく、爆発が起きたかのように大きく揺れたのである。内部では何も変化を感じることはできないので外部…この結界の外側で何かが起きたと考えるべきだろう。

 

「何か来るかもしれない!構えろ!」

 

敵か味方か、はたまた大きな天変地異か。一応結界を全員の正面に展開して衝撃に備える。

その後も何度か爆発するような揺れが発生し、そしてそもそも揺れ自体が止まった。永遠に続くかと思われた地響きがぴったりと、何事もなかったかのように止まったのだ。

 

「なんだ…?」

 

もしかして紫、もしくは藍がなんとかしてくれたのかと身構えて…入口が開いた。そこから出てきたのは…

 

「やれやれ、こんなところに捕まってるなんて情けないねぇ」

「なっ…不動!?」

 

これを敵とみなすか味方とみなすかは大きく判断が分かれるところだろう。

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