東方十能力   作:nite

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二百四十二話 概念への作用

俺たちを見て呆れる不動のその後ろからチヌとして映姫が現れた。

 

「こりゃどういう組み合わせだ?」

「私が呼んだのです。彼らは先の異変で色々と問題を起こしていますからね。その挽回のための機会を与えたのです」

 

俺の質問に映姫が答える。

どうやら不動たちが起こした事件の償いをさせているようである。映姫は生きている者が地獄に行くことがないようにしていると聞いたことがある。説教しているのもそのままでは地獄に行ってしまうからだと聞いたが…はてさてどこまでが本当のことだろうか。

 

「堀内。僕は君の能力のことも調べたから知ってるけど、ここから脱出するのだって容易だろう?なぜこんなところで足踏みしてるんだい」

「不確定なことが多すぎる中思い付きで動きたくないからだよ」

 

皮肉にも聞こえる不動の意見に反論しつつ不動が開けたと思われる穴から畜生界を脱出する。袿姫はついて来ないらしい。元々ここで暮らしていたから当然か。畜生界の中で未だに行方不明となっているハニワ少女を探すらしい。無事に見つかってくれればいいのだけど…

 

「ほれ、はよ行くぞ」

「僕は正直言って単独での戦闘能力は低いからね。チヌにここまで連れて来てもらったんだ」

 

そう言って笑う不動。でも例の体内の色々を開放させる技を使えば大体なんとかなるんじゃないのか?霊相手だと…魂の開放って考え方をすればそのまま消し去れそう。

結界を通るときにふと気になったことを訊ねた。

 

「なんで結界を通る時だけ穴が開くんだ?」

 

畜生界を覆っていると思われる大結界。俺が無効化するとすべてを一気に消し去ることになって危険だから正しい手順で解除しないといけないのだと思っていたのだが…

取り敢えず地上に出るために移動している途中で不動が答えてくれた。

 

「僕の能力は結構概念的でね。実のところ能力は結界には使っていない。君たちに対して閉鎖空間からの開放をしただけだから結界には影響がない」

 

なんだその屁理屈。そういう使い方ができる能力は羨ましい。俺の無効化、どんな力でも消せるけど全部まとめて消し飛ばしてしまうからなぁ…汎用性のある能力、いいなぁ…

 

「あなたの能力だって汎用性の塊じゃない」

「霊夢、心を読む能力があるのか?」

「さとりじゃないんだからあるわけないでしょ。勘よ、勘」

 

博麗の勘により心の内を読まれて若干恥ずかしくなる。勘って便利な言葉だな。まあ霊夢は本当にただの直感で俺の心を読んだのだろうけど。

 

「さてと、雑談はこれくらいにしましょ。あんたたち、地上は今どうなってるのかしら?」

 

霊夢が真面目な表情になって映姫たち三人に訊ねた。畜生界をそのまま覆うことができるほどの力を持った敵だ。さぞかし動物霊の侵攻も激しくなっているのだろう。

そう思ったのだけど…

 

「特になんともないよ」

「そうなぁ…ちょっと動物霊が増えたかもしれんな」

「死者の量が増えたなどといったことはありません。幻想郷は平和な状態です」

 

どうやら俺たちがこっちに来た時とあまり変わっていないらしい。わざわざ畜生界に俺たちを閉じ込めたのだからその間に行動を開始したのかと思っていたのだけど…もしかしたらまだ準備期間であり、俺たちが出てくるのが相手の想像以上に早かったのかもしれない。不動は比較的最近幻想郷で生活を始めた口だからもしかしたら敵は不動のことを考慮していなかった可能性がある。こっち側には不動の異変の影響もなかったようだしな。

なんとも言えない気持ちになっていると霊夢も同じことを思ったらしい。

 

「拍子抜けね」

「私たちの力が相手を上回ったってことだぜ!」

「魔理沙は今回何の役にも経ってないでしょうが」

 

霊夢の言葉で魔理沙が怒り、二人が喧嘩を始めてしまった。魔理沙が今回したことは…あれ?出会った時の勝負にも負けてたしその後も大きなことはしていないような…霊夢を起こした?いや、あれは俺やルーミアでも可能なことではある。そうか、魔理沙今回何の役にも経ってないなぁ。

 

「定晴!その顔をやめるんだぜ!」

「いや?何も?」

「その慈しみを持った顔をやめろおお!」

 

可哀そうに、みたいなことを思いながら魔理沙を眺めていたら次の標的は俺になったようである。魔理沙からポカポカ殴られるが、魔理沙程度の女の子に叩かれたところで俺は痛くもなんともない。

しばらくしたら地上へと到着した。確かになんとなく動物霊の数が増えているような…増えていないような…ちょっと差があまり分からないな。

 

「さて、地上にも出たことだしそろそろ本命をたたくわよ!」

「そうは言うけど霊夢は場所分かってるの?」

「分からないけど勘で飛べば到着するでしょ。妖夢あんたも探すの手伝いなさいよ」

 

自由の身になった霊夢はまたもや行き当たりばったり戦法を取るようである。魔理沙も同じ方法を取るようで準備運動らしきことをしている。お前らは飛んでいくのだから特に体は動かさんだろう。

 

「俺はどうすればいい?別行動か?」

「そうねぇ、なんかもう既に私の言うこと聞かずに行動してるし好きにしなさい。報酬はほとんど払わないわよ。お茶一杯くらいね」

「へいへい…」

 

普通にタダ働きにまで降格されそうである。うーん、もっと霊夢の性格とか考え方を尊重した行動をすべきだっただろうか。

 

「私はここで仕事がありますので戻りますが、二人はきちんと償いをしなさい。いいですね?」

「分かっとる分かっとる」

「もちろん。分かってますよ」

 

映姫はこのまま仕事に戻るらしい。なんとも真面目…というか純粋に今は忙しいのだろう。動物霊がどういう扱い方をされているのかはわからないが霊である以上は何かしら処置をしてるだろうし。

俺たちが幻想郷側にすぐに帰れるように小町が岸で待機していた。小町の能力を使えば距離なんて関係なく三途の川を渡れるのだとか。

映姫と別れるとき、映姫から助言をもらった。

 

「強い力を持った存在が三途の川を渡り幻想郷へ向かったのを確認しています。その後どこへ行ったかは不明ですが、注意してください」

 

きっとそれが今回の犯人だな。既に幻想郷へ向かってしまっていたか。不動がいなければあの閉鎖空間で立ち往生することになっていたというわけだから、助かったと思うべきだろうか。

 

「そんじゃそろそろ、異変解決といこう」

「「「了解」」」

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