東方十能力   作:nite

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二百四十三話 地上に戻って

小町に送られて幻想郷側に戻ってきたら、俺はルーミアを連れて博麗神社へと向かった。水那に預けっぱなしとなっているユズを返してもらうからだ。動物霊が博麗の巫女を狙って閉じ込めていたのだとしたら博麗神社に動物霊が向かう可能性も高い。霊夢たちは黒幕探しに行ってしまったので俺は裏方に回るとしよう。

 

「ご主人様、私も一緒に行く必要ある?」

「このままルーミアはユズと一緒に待機だな。水那と一緒に待っていてくれると助かる」

 

なぜか知らないが水那は幻想郷に来てからやられっぱなしだ。水那は鍛錬不足であると嘆いているが、多分あれは相手が悪いだけである。何も役に立てていないと思っているようだが、結構助かっている場面も多い。霊夢がそれを言うことがあればいいのだけど、あまりそういうの言わない奴だしなぁ…

飛ぶこと十数分。流石に三途の川から博麗神社は距離があるなと思いながら境内に降り立った。

 

「あ、定晴さん。大丈夫でしたか?というか霊夢さんは…」

「まだ異変解決できていないんだ。霊夢は黒幕探し中だ」

 

水那はユズと弾幕ごっこをして遊んでいたようである。決闘方法ではあるものの子供でも楽しめるように設計されているのでまだまだ実戦不足な二人にはちょうどいいだろう。俺が知らない間にユズはそれなりに弾幕ごっこで遊べるようになっていたらしい。

 

「あら定晴ね!ここで会ったが九百年!あたいが成敗してくれるわ!」

「チルノちゃん!出会ってすぐに喧嘩をしようとするのやめてよー」

 

水那と話していたらなぜか博麗神社の中からチルノと大妖精が出てきた。いつも通りチルノは俺と戦おうとしている。今のところチルノは俺に一度も勝てたことはないのだが…まあ負けず嫌いな性格だしずっとこれかな。

 

「二人とはさっきまで遊んでたんです。やっぱり人によって弾幕が全然違うので勉強になりますよね」

 

水那はこの二人とも弾幕ごっこをしていたらしい。チルノの弾幕はチルノの能力によって突然動きが停止したりするので物珍しさがある。大妖精がどんな弾幕を放つのかは知らないけど普通の妖精よりは強いらしいからきっとそれなりに手ごたえのある戦いができることだろう。

 

「じゃあルーミア。俺の代わりにチルノと戦ってくれ。俺はまだ仕事があるからな」

「えぇ…まあ仕方ないのだー」

「頼んだぞー」

 

チルノと大妖精も決して弱くはない。動物霊たちが攻めてきても問題はないだろう。未だに博麗神社には動物霊が近づいている様子はないのだけど…もしかして神社という聖域のおかげで迂闊に近づけないのかもしれないな。それなら安心。俺も浄化の能力で結界を張っておこうかとも思ったが、萃香やら針妙丸やらなんやらかんやらの妖怪が集まる場所でもあるからやめておいた方がいいかな。

ルーミアたちと別れて俺も黒幕探しへ。といっても積極的に探すわけではなくどちらかと言えばパトロールである。一応動物霊でも数が多いと危険なことがあるので襲われている人がいれば救出する。もしかしたらどっかでお礼が貰えるかもしれないのでそれを今回の給料分としよう。打算的だが霊夢から貰える報酬が少なくなったので仕方ない。

 

「お、早速いるな」

 

誰かが襲われているわけではないが動物霊が集まって移動しているのを発見。近くに他の妖怪がいないことを確認した後に広範囲の浄化で動物霊を除霊する。霊というのは一定の場所に集まっているというだけで周囲に影響を及ぼすことがある。浄化したとて完全に消えるわけではなく地獄かどっかに行くと思われるのであまり心配する必要はない。

 

「これを繰り返しておけば霊夢たちの補助的な役割もできるし焦った黒幕が出てきてくれかもしれないな」

 

特に強大な敵というのに遭遇していないので敵の戦力の大部分は動物霊だと思われる。この動物霊の軍を壊滅状態にしてしまえば黒幕、そうでなくても幹部クラスのやつらが出て来てくれる可能性が高い。

ということで動物霊を見かけたら片っ端から浄化していく。今回の騒動に巻き込まれたと思われる霊もついでに浄化しておく。多分幻想郷内にいるよりも彼岸へと送り返してしまう方が映姫だちも動きやすいだろう。

そんな作業を続けること約三十分。そろそろ日も傾いてきて、時間は分からないが多分午後四時くらいになった頃。動物霊に襲われている少女を発見した。

 

「やめてください~!私は食べられませんよ~!」

 

動物霊が何を食べるということはないのでその点は心配しなくてもいいのだが…少女が動けなくなって動物霊がかたまっている間にまとめて除去してしまおう。動物霊が邪魔なせいで人間なのか妖怪なのか、はたまた別の存在なのか分からないので浄化の力は使わずに輝剣を使って調伏しようか。

 

「せいっ!」

 

俺が剣を横薙ぎに振るえば二、三体の動物霊をまとめて吹き飛ばした。それに気が付いて一部の動物霊が俺の方へと向かってくるものの、久侘歌と霊夢が戦っている間に沢山の動物霊を効率的に倒す方法を編み出した俺にとっては何の問題にもならない。ものの数分で少女に群がっていた動物霊を吹き飛ばすことに成功した。

 

「大丈夫か?」

「ううっ…はい、ありがとうございました…」

 

長めのおさげに笠を被り、灰色の服を着ている。なんだかお地蔵様みたいな見た目だな。感じる力は魔力…あれ、この子もしかして魔法使いか?

 

「私は矢田寺成美と言います…少ない相手ならよかったんですが、数が多くて逆に返り討ちになってしまって…」

「俺は堀内定晴だ。それは災難だったな。怪我はないか?」

「大丈夫です…」

 

見たところ外傷もなさそうだし問題なさそうだ。動物霊って数が多くて厄介なところはあるけど、攻撃力はそこまでだし攻撃手段も弾幕を撃ってくるくらいしかないので正直なところ脅威にならない。一時的に幻想郷に混乱を招くことはできるだろうが…

 

「なんか今日は霊が多くありませんか?」

「一応これでも異変中なんだ。霊夢たちが黒幕を探しに行ってるから俺はそのバックアップって感じかな」

 

俺の行動がどれくらい霊夢たちに影響するかはよく分からないものの…まあ無意味なものではないと信じたい。

 

「異変ですか…関係があるかは分からないんですけど、東の方から変な気配を感じました」

「東か…状況提供ありがとな」

 

成美に別れを告げて東へと進路を変更する。霊夢たちに連絡することができればいいのだがルーミア以外の人々とは連絡手段がないのでどうしようもない。スマホという最先端技術を駆使した機器は幻想郷内では使用できないのでどうしようもないな。連絡用のお札みたいなのを作っておくべきだろうか。

ざっくりと東と言われてもその正体が何なのかを見つけることができるかは別なので気楽に構えよう。

そう思っていたのだが、案外目的の人物はあっさりと見つかった。黒い髪と黒い翼。それに…カウボーイハット?一体どこで調達してきたのだろうか。

 

「ほうほう、一番最初にここに来たのは人間か…厄介だぞ…」

「見ない顔だな。異変の関係者とみていいのか?」

「驪駒早鬼…幻想郷を支配しにきた!」

 

どうやら大物…というか完全に黒幕を釣り上げたようである。

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