東方十能力   作:nite

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二百四十五話 詰問

「ぐっ…うっ……幻想郷で最強なので博麗の巫女じゃなかったのか…?」

「はぁ…お前には色々と幻想郷での常識を教える必要がありそうだな…」

 

ただ先に霊夢たちを呼ばなければいけない。結局黒幕を俺が倒してしまったが…また何か霊夢に色々と言われそうである。黒幕を先んじて倒すことは逸脱行為になるだろうか…既に霊夢の機嫌を損ねているわけだし今更考えたところで意味はないか。

動けないようにしているものの縛っているわけでもないので早鬼が逃げ出さないように見張りつつ札を一枚取り出した。幻空の中にロープでもいれておけばよかっただろうか。でも幻想郷の妖怪でも縛れるようなロープって何だろうか…

 

『ルーミア』

『はいはーい。もしかして解決しちゃった?』

『そうだ。霊夢を幻想郷の東によこしてくれ。具体的にどこって言えないからあれだけど霊夢なら勘ですぐにやってくるだろ』

 

俺はここを動けないのでルーミアに連絡。式神としか連絡できないとはいえこれは本当に便利だな。藍なんかは沢山の式神を使役していると言っていたし、幻想郷内で情報伝達をスムーズに行うなら必要なものだろう。

 

『霊夢たちより早く解決しちゃうなんて流石定晴ね。でも後で何か言われるんじゃないの?』

『それは俺も気にしていることだ。今から頭が痛いよ』

 

この式神通信は別に思念で連絡しているわけではない。あくまで電話のような使い方しかできない。なのでルーミアの傍にいるであろうチルノたちに注意するために俺への呼び方が名前呼びというわけだな。

 

『そんじゃ頼んだ』

『任せて』

 

とはいえ少し小声で話しているようだし口調はいつもの(俺にとってのいつもの)口調なので実際にチルノたちに聞かれているわけではないのだろう。じゃあ呼び方もいつも通りでいいのではないかと思うのだけど、それはルーミアが決めることなので何も言うまい。

お札を幻空の中に収納してから早鬼に向き直った。霊夢たちが来るまで時間がかかるだろうし、今のうちに幻想郷について話しておこう。また霊夢が不在の時を狙って幻想郷侵略なんてされても面倒なだけなので霊夢や俺よりも強いやつなんかいっぱいいるんだぞってことを教えておかなければ。

博麗の巫女についてや幻想郷について、スペルカードのことなどを早鬼に教えた。それにしても早鬼の部下たちはスペルカードルールについても知っていそうな感じだったし何故早鬼は知らなかったのだろうか。

説明の途中、俺たちが畜生界に行った経緯を話していたら早鬼がとある名前に反応した。

 

「ん?鬼傑組の組長に会ったのか」

「なんだそれ」

「お前が言う吉弔八千慧が組長をやっているところさ。あれは別に部下でもなんでもない。私は勁牙組の組長なのでな」

 

八千慧は部下でも何でもないのかよ。なんか俺が思っていたよりも面倒な構図になっている気がする。ただどちらの組も袿姫が倒されることを望んでいたようなのでその企みは阻止できた…のかな?

動物霊を使って幻想郷を支配しようとしてたのはどちらの組も同じらしい。早鬼曰くこの二つの組は敵対してるものの幻想郷を支配するという点、畜生界を支配するという点では協力していたらしい。なんだか裏の世界の怖い人たちみたいな関係だな。

そんなこんなで二十分ほど暇つぶしをしていたら霊夢と妖夢が到着した。

 

「はぁ、結局定晴さんに美味しいところを持っていかれるのね…」

「なんかすまん…あと魔理沙はどうした?」

「魔理沙はまだどっかを飛んでると思うわ。妖夢はたまたま会ったから連れてきただけだし」

 

可哀想な魔理沙。既に異変が終わっていることも知らずに犯人探しを…早鬼が動物霊たちに撤退命令を出してくれるというのでしばらくすれば気が付くだろう。

 

「流石定晴さんですね…」

「まったくよ。これじゃあ私は何も得るものがないじゃない」

 

報酬のない仕事というのは往々にしてブラックだと言われるが、博麗の巫女も案外ブラックなのだろうか。霊夢があまり積極的に仕事をしないから博麗神社は貧相なのかと思っていたけど、原因は他にもあるのかもしれない。勿論仕事をしないのも原因の一つだろうけど。

 

「ルーミアはどうした?」

「私に伝言を伝えて帰っていったわ」

 

ルーミアはこちらに来てないのか。まあユズの傍にいてくれればこちらも安心できるしいいか。まあでも異変が解決されたわけだしユズが危険に晒されることはないだろうけど。

 

「あーあ!最近は誰かのお節介のせいで住人が増えて出費が嵩むのになー!」

「そう大声で言わないでくれよ。分かった分かった、ご飯でも作りに行くよ」

「三日よ!三日間は来なさい!」

 

結局霊夢からの報酬はなしで、俺が出費することになりそうだ。あとで紫に色々と立て替えてもらうか。俺も仕事したのに結果として出費が増えるのは解せないからな。

 

「まあその話はいいわ。問題はあんたよ」

 

霊夢が早鬼に詰め寄っている。ここからは霊夢たちに任せても良さそうかな。なんだかんだ言って毎回異変をいい感じに終わらせているので俺よりも向いているだろう。

だから早鬼は霊夢の剣幕にビビってこちらを見てくるのをやめてほしい。異変を起こしたのはそちらなのだから甘んじて怒られなさい。あとで映姫からも説教されそうだが…うん、諦めろ。

 

「…依頼完了」

 

もう依頼がなんだったかもわからないが俺はそう締め括った。

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