東方十能力   作:nite

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二十四話 妖怪の山にて

雛と別れて五分ほど。

とうとう天狗に霊力を嗅ぎ付けられたらしく、山全体の妖力が色んな所を動いているのを感じる。妖力の数が多すぎて正確な場所が逆にわからない。

 

「とりあえずこの先の神力を目印にして来た訳だが…」

 

妖力の動きが活発になったせいで神力が分かりにくくなった。僅かばかりの神力は感じることが出来るのだが、この程度だと集中を切らしたら直ぐに分からなくなってしまう。

 

『今日は戻った方が良いんじゃないか?』

『いや、ここまで来たら捕まるまで動く!』

 

狂気に止められるが、ここまできたら戻るのも面倒なのでそのまま進む。見つからなければ問題はないだろう。

俺は気を引き締めて歩みを進めるべく足を前にだす…

 

「おや?こんなところに霊力?」

 

…前に声に気付いて良かったと思う。

しかし声の主であろう妖怪は俺の方に近付いてきている。

 

「霊夢かなー。それとも…いや、魔理沙なら魔力を感じるか。誰だ!ぴえっ!」

 

突如草が開かれたと思うと、大きなリュックを背負った妖怪が現れたら。しかも俺を見るなり尻餅ついたし。

 

「し、知らない人だったぁ」

「だ、大丈夫か?」

「あ、うん…」

 

そして俺とこの妖怪との間に気まずい空気が流れる。なんとも言えない沈黙がとてもいたたまれない気分にさせる。

 

「えっと…名前は?」

「に、にとり。河童の河城にとり」

「堀内定晴だ。宜しくな」

 

ニトリか…なんか:お!値段以上♪:みたいなCMが脳内再生される。幻想郷に家具屋があると聞いたことはないので多分関係ないだろう。

 

「何でこんなとこにいるのかな?」

「散策でここに来たんだがどうも妖怪、特に天狗が慌ただしく動き回っているぽくてどうしようかなー、って考えてたとこだ。とはいえ捕まるまでは帰るつもりもないんだけど」

 

俺がそう説明したらにとりは笑い出した。

 

「あはは。天狗がいること分かってて山に入ったの。そりゃまた凄いことするねー」

「俺を追い返したりしないのか?」

「本当はすべきなんだろうけど、その勇気に免じて実力行使とかはしないよ。それに人間は盟友だからね。それに前に霊夢たちを相手にして痛い目を見てるんだ。どうも私はあんたには勝てそうにないみたいだし」

 

なるほど。人間が盟友とな。幻想郷の妖怪には意外と友好的な奴が多いから助かる。まあ敵対してきても返り討ちにするけど。

にとりが勝てそうにないと評価したのは俺の霊力を見たからだろうか。強さは霊力量よりも能力の相性のほうが関係するのであまり見た目だけで強さを判断することはできない。地力が弱くとも試行錯誤によってはジャイアントキリングだって可能となる。

 

「登るにしても降りるにしても定晴次第だけどね、登るなら気を付けてよ。丁度近くに天狗達の住処があるから」

「りょう…「見つけたぞ!」…かい」

「「あ」」

 

返事している途中で見つかる。どうやら俺たちが話していたこの場所は角度によっては頭上から丸見えだったようである。

まずいまずい。凄い勢いで妖力が近付いてきてる。

 

「とりあえず頑張って」

 

そう言うとニトリは茂みの中に入っていく。

 

「生きて戻ってね。死なれるのは気分が悪いから」

 

顔だけ出してニトリはそう言うと、そのまま隠れて見えなくなってしまった。

まさか捕まっただけで殺されたりはしないだろう。しない…よな?どうもにとりの口ぶりからするにそれも可能性の内に入っているような気がするのだが。

 

『どうする?吹き飛ばすか』

『やめてくれ。なお更反感を買う』

 

そんな会話をしていたらいつの間にか囲まれていた。いつでも俺を捕まえる準備ができていることの見せしめか?

隊長と思われる天狗が俺に問うてきた。

 

「さあここで戻るか、それとも捕まるか。選べ」

「それはそれは。答えは…」

 

体に風を纏わせて、身体能力も上げる。

知らない土地で敵は未知数。少なくとも百体以上は存在するだろう。

 

「にーげるんだよー!」

「待て!」

 

包囲網の隙間を見つけて駆け出す。急に加速した俺に反応することができなかった天狗たちは俺の逃走を止めることができなかった。俺の後ろを追いかけてきている。

こうして俺と妖怪の鬼ごっこが始まった。

 

にしてもこいつらが天狗なのか?絵巻物のように鼻が長くて下駄を履いているのかと思っていた。ちらりと後ろを見ると、なるほど、確かに下駄は履いている。天狗だ。

 

 

 

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