東方十能力   作:nite

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低評価がつきました…精進します…


二百五十九話 再戦

こいしが迎えに来てからはしばらくこいしと遊んでいた。最近地底で流行っているというカードゲームはとても盛り上がったので地底で買って帰ってもいいかもしれない。

そして地霊殿の中で遊んだあとは旧都へ出かける。こいしが俺たちと地底を歩きたいと言うのでルーミア、ユズも一緒に四人で旧都の散策だ。尚俺はお燐がこいしを監視するように尾行していることに気付いている。多分ルーミアも気が付いているが、まあこいしは誘拐歴があるので厳重になるのも仕方ないだろう。未だにあの時のことは反省している。

 

「定晴、行きたいところあるー?」

「特にないなぁ…こいしって日頃どこに行ってるんだ?」

 

こいしは何かと放浪していることが多い。さとり曰く今はもうそこまでふらふらすることもないが、いつの間にか出かけていていつの間にか帰ってきてるというのはあるらしい。能力で誰にも気づかれることなく外に出ているのだろうが、その行き先の一つは地上なので動物のみんなにはもっと頑張ってほしい次第である。

こいしはしばらく考えたあとに答えを口にした。

 

「どこって決めてないかなぁ。地上なら行く場所もあるけど地底だとねぇ…」

「それもそうか…」

 

地底にはシンボル的な建物はほとんどない。地霊殿くらいだろうが、こいしはそこの住人なので目的地になることはない。となればあとは具体的な名前が決まっている場所となると…旧都の入口の橋か?見るものはないが確かパルスィがいたはずだ。

それにその更に外側、郊外とも言えないくらいの辺境にヤマメたちがいたはずである。彼女たちとはそれこそ前に地底に来たとき以来繋がりもないので忘れられている可能性があるな。一回しか会っていない妖怪もいるわけだし。

 

「じゃあ旧都で買い物しよー!ルーミアちゃんたちもお土産ほしいでしょ」

「そうね。じゃあチルノたちにでも買っていってあげようかしら」

「私は…日頃の感謝を込めて美鈴さんに…」

 

ルーミアと話した結果地底ではもう何か隠し事する気はないようである。そもそも地上での一般的なルーミアのことを知っているのは地霊殿の中の少数と勇儀くらいだろうし、そこまで神経質になってまで隠すものでもないとのことだ。なら地上でもそれでいいのではと思ったけどそれはだめらしい。乙女心は分からん。

 

「じゃあ地底のお店に行こうかー。支払いは定晴お願いね」

「はいはい」

 

こいしはお小遣いとか貰っていないのだろうか。まあ貰っていたとしてもこんなところで貴重なお金を使わせるつもりもないのだけど。俺は一応先日の紫からの報酬としてある程度の金銭を貰ったのでお金には問題ない。例の紫が付き合ってあげる権みたいなやつの代わりである。

見た感じ地底で使われているお金は地上のものと同じのようなので支払うことも問題ないだろう。造幣局とか幻想郷にはないと思われるのだけどどこから流通しているのだろうか…いや、河童が造幣局を作っててもおかしくはないな。地底への入口は妖怪の山にもあるわけだし、河童がお金を作っているのなら辻褄も合いそうだ。

 

「前に来たときはあまり買い物をしなかったけど、地底の特産物ってあるのか?」

「えー?うーん…お酒?」

 

地底には地上と同じく様々な妖怪がいるが、その中でも多いのは鬼たちだ。そして鬼は戦いと酒が大好物。少し耳をすませばどこからか喧嘩をしている声が聞こえる旧都では、戦いと酒の需要が高い。供給を間に合わせるために酒が特産物のように流通しているのだろう。

 

「こいしはお酒を飲むのか?」

「宴会のときは飲むこともあるけどジュースの方が好きかなぁ。あ、でもフランちゃんのところで貰ったワインってやつは美味しかったよ」

 

流石にビールは口には合わないようである。まあ俺も浄化がある以上酔う必要があるときは酔うことを目的にして飲むしかないのでわざわざビールを選ばなくてもカクテルなんかで事足りるので気持ちはわかる。ただ幻想郷のビールって今までの宴会の経験があるからか作り方がいいのか妙に美味しいんだよなぁ…

 

「まあたまには家で酒を飲んでもいいか…ルーミアとユズは酒飲むか?」

「私はあまり飲まないわね」

「私も…普通にジュースがいいです…」

 

じゃあまあ少なめに買えばいいか。俺が果物を使って果実酒だとか普通のジュースを作った方が喜ばれそうである。

 

「お、定晴じゃないか!おーい!」

「誰だ?」

 

酒屋ばかりの道を物色しながら歩いていたら店の中から声をかけられた。誰だ、と問うたものの旧都で俺の名前を知っている妖怪なんてそう多くないし、酒飲み通りで俺に声をかけてくるなんて一人しかいない。

 

「勇儀、久しぶり」

「久しぶり!」

 

ここは飲み場ではなく酒屋のはずなのになぜか勇儀は酔っていた。確か勇儀には萃香同様どこでも酒を飲める手段があったはずなのでそれでここでも飲んでいたのだろう。もしくは試飲でもしていたのかもしれない。

 

「いやぁ、気が付いたら地上に帰ってて私はショックだった!」

「地上でも会っただろ」

 

萃香はよく博麗神社にいるが、そこに鬼仲間・酒飲み仲間として勇儀がいることがある。勇儀は地底の妖怪のはずだがお燐と同じように勝手に地上に来て酒を飲んでいるらしい。開けたところで酒を飲むのもまた美味いとは勇儀の言。

 

「いやでもね、私は思ったのさ。また戦わないかってね」

「あー…」

 

昔勇儀と地底で戦ったことを思い出す。萃香と違って生粋のパワー型である勇儀は鬼らしく力で俺をねじ伏せたのだった。そういえばあの戦いが幻想郷に来てから初めての敗北だったような気がするな。自分の力を過信していたわけではないのだが、身体強化をフルに使っても尚力が足りないこともあるのだと驚かされた記憶がある。

 

「どうだい!?再戦と行こうじゃないか!」

「いや、今日はこいしたちと出かけてるし時間もないのでまた今度ということで」

「えぇ!?」

 

地底は行くところが少ないとはいえこんなところで時間を潰す理由もないのである。ここの妖怪たちにとっては酒の肴となるのは間違いないだろうが、わざわざこいしを連れている今に私事で時間を使うのも忍びない。

 

「また地上で会ったらやってやるよ」

「ここで鬼に囲まれてやるのが楽しいのに!」

 

俺は勇儀に別れを告げて道を歩き出す。俺の後ろを三人が追いかけてきた。

 

「よかったの定晴?」

「いいよ。戦いはいつでもできるし、こいしに案内してもらう方が優先だ」

「えへへ…」

 

どうしてもここでしたいというのであれば喧嘩のために地底に来てもいいのだが…まあ機会があれば考えておこう。どうせ一度戦ってだけで満足するような質の妖怪でもないのだ。

一応途中で見つけた酒屋でよさそうな酒を買い、また露店で売っていた髪飾りを三人に買ってあげた。それにしても本当に観光名所がないなここ。

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