東方十能力   作:nite

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二百六十話 夜の会議

ところ変わって私の部屋。定晴よりも先に風呂に入ってルーミアちゃんを呼んだ。地上に遊びに行って風呂に乱入したときはまだよかったけど、今日はとうとう乱入しようとしたら恥ずかしさが勝ったので乱入はなしだ。地底にいる間にも想いが募ったせいでもうあの時ほど少女らしい行動はできそうにない。

 

「じゃあ定晴の前で無邪気な感じで話すのやめたら?」

「急に変えたら変かなって…それに女性らしい話し方だって分かんないもん…」

 

ベッドに座ってルーミアちゃんと隣り合って駄弁る。内容は専ら定晴のことばかりだ。既に定晴に告白しているルーミアちゃんに恋愛相談なんておかしな話ではあるが、こんなことを相談できるのはルーミアちゃんしかいないししょうがない。お姉ちゃんに相談したらお姉ちゃん作の小説のネタにされかねないし。

 

「ルーミアちゃんのことも教えてよ。それにいつも通りご主人様って呼んであげていいんだよ?」

「呼び方は敢えて定晴の前でやってることだから本人がいないのに呼んだりしないわよ。私のことねぇ…」

 

既にある程度、特に告白の話は詳しく聞いている。私には分からないけど、話しているときのルーミアちゃんが珍しく顔を真っ赤にしていたので本当に精神的にやばいんだろうなと思う。

 

「私のことで話せることなんてもうないわよ?これ以上はただの日常だもの」

 

ルーミアちゃんは定晴との何気ない日常が一番大切だと言っていた。ただ日頃生活の中でおはようだとかおやすみだとかを言ってもらえることがとても嬉しいのだと言う。定晴の式神になるまではそこらへんの妖怪と同じように適当なところで寝て適当な食事をして一人で生きていたらしいから、定晴が一緒にいてくれることが本当に嬉しいのだろう。そのことを話しているルーミアちゃんの顔がすごく幸せそうでかわいらしいものだったから同性ながらドキッとしたものだ。

 

「まあでも私にとっては日常でも、こいしにとっては非日常かもね」

「うん…定晴と一緒の家…いいなぁ…」

 

ルーミアちゃんの話を聞いて同じ家で過ごすことを想像してみる。今思えば昔定晴の家に押し掛けたときの生活をもっと楽しめばよかった。そういえば私の気持ちをはっきりさせたのはあの日のルーミアちゃんだったな…

 

「まあ一緒に過ごすのは私だと逆に耐えられなさそうだからいいとして、告白はしないとなぁ…」

「そこはもう勇気ね。こういう言い方は嫌いだけど、既に何人か定晴に告白しているからそこまでハードルは高くないわよ」

 

確かに嫌な言い方だ。一番最初に告白したのは確かフラワーマスターこと幽香だったはず。あまり接点はないけどその姿は見たことがあり、気品溢れるというのはああいうことを言うのかと思ったことがある。あんな人が恋敵なんて勝てる気がしない…

 

「何勝手に気落ちしてんのよ」

「やっぱり無理だよぉ…他の人たちが強すぎて勝てる気がしないよ…」

 

今は私とそこまで身長が変わらないルーミアちゃんだけど、本来は霊夢くらいの身長になることができるのは一つのアドバンテージだ。私にはこの姿しかないからどれだけやっても子ども扱いされる未来しか見えない。

 

「そんなことないわよ」

「え?」

「定晴に隠れてこっそり手に入れた情報によるとチルノとフランにも変化があったみたいだし」

 

あの二人が?チルノちゃんは稀に遊ぶくらいだからよく知らないけど、フランちゃんは前にそういう感情はないって言われたはずだ。でもそういえばドキドキはしてるって聞いたような…兄への信愛が恋まで昇華したということなのだろうか。私と同じように子供らしい一面があるフランちゃんだけど、実際には淑女らしい振る舞いだってできるちゃんとした女性だ。フランちゃん相手でも勝てる気はしない。

 

「それどこからの情報?」

「私にも色々あるのよ」

 

ルーミアちゃんの交友関係についてはあまり知らないけど、あまり誰かと一緒にいるイメージはない。チルノちゃんたちと遊んでいるらしいけど、逆に言えばそれくらいだ。最近は基本的に定晴の傍にいると思うからどこから得た情報なのかは気になる。

 

「私、その二人にも勝てる気がしない…」

「はぁ…そんな弱気になるなら告白なんかしない方がいいわよ。絶対に辛いから」

 

そもそも私だけ地底住みというだけで土俵が違う。この違いをなくすためにはやはり閻魔様を説得して私だけでも地上に住むことができるようにしてもらわないといけないけど…でも私一人だけで生活できる気がしないし定晴の家に住まわせてもらうのも申し訳ないし…あれ、結構私終わってない?

 

「さとりに相談してみたら?あの黒猫とか」

「お姉ちゃんは恋愛に関しては初心だから何の参考にもならないよ。お燐も同じく…というか地底でまともに恋愛してる妖怪なんていないよ。鬼の恋愛なんて強ければいいみたいなのだし」

 

妖怪が人間に恋をするという事例が地底では初めてだ。なんせ地底には人間はいないから。まあ地上でもそんなに多くない事例ではないのは間違いないだろうけど。

恋かぁ…難しいなぁ…想いは溢れて、地底にいる間もことあるごとに定晴のことを思い浮かべてしまって一緒にいたいっていう気持ちは強くなっているけど、その願いを叶えるための障害が多すぎる。

 

「焦らなくてもいいのよ。恋愛なんて焦ってもいいことないし」

「知ったようなこと言ってるけどルーミアちゃんも初恋なんだよね?」

「それは言わなくていいのよ。焦ってもいいことないのは何事もでしょ」

 

顔を赤らめながら訂正するルーミアちゃん。今は少女の姿をしているけど恥ずかしそうにしている姿はどこか少女らしさを感じない、大人の女性といった雰囲気を醸し出している。あれ、もしかしてあまり見た目って関係ないのかな。

 

「段々夜も遅くなってきたし寝る準備をしましょ」

「うん…ルーミアちゃんここで寝る?あ、でも定晴と同じ部屋で寝てもいっか。ルーミアちゃんって定晴と同じ部屋で寝ることあるの?」

「ないわよ。恥ずかしいじゃない」

 

…私もドキドキするけど、こういうのってチャンスって言うんじゃないのかな。

私は布団を抱えて定晴の部屋に突撃した。強引にルーミアちゃんも連れてきた。定晴は驚いた顔をしていたけど、地霊殿の部屋は大きいので私とルーミアちゃんがいても気にならないはずだ。折角なのでユズちゃんも呼んで四人で寝ることにする。

 

「強引ね」

「えへへ、たまにはいいでしょ」

 

ちょっと邪魔だったのでベッドは動かして布団を横に四つ並べた。入口側から定晴、ユズちゃん、ルーミアちゃん、私だ。なんで定晴の隣に私もルーミアちゃんもいないのかと言うと、いざ横を向いて寝ると定晴がいるという状況になったときに全く寝られる気がしなかったのでこうなった。

我ながら初心だ。

 

「おやすみなさい」

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