東方十能力   作:nite

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二百七十二話 氷妖精の疑問

定晴が次の目的地とやらに向かうのであたいはそれについていく。途中でなんか色々説明されたけどあたいにはよくわかんなかったからあまり覚えてない。でもどうやら残りの魔法陣を消しに行くらしいということは分かった。目的さえ分かっていればあたいはただ頑張るだけでいい。

前を飛ぶ定晴のことを見る。大ちゃんには色々言われたけど、どうやらあたいは定晴ともっと仲良くなるのがいいらしい。最初は霊夢たちと同じくただの人間なのかと思っていた…ううん、今もただの人間だと思ってる。でもなぜか定晴と話すと頭がぐちゃぐちゃになって、なのに目が離せない。

特に思い出すのは地底でのこと。あんな場所に行ったのは初めてで、檻の中で何日も過ごすことになった。あの檻があたいの力を無効化することができないというのは早めに気付いたけど、あたいは見張りの話している内容から定晴が関わってることを知った。定晴という名前は一度も出なかったけど、姿の特徴から定晴だとあたいは分かった。あたい一人じゃ檻を壊すまではできないことが分かった後はひたすら待った。隣にいた地底の妖怪はずっと騒いでいたけどあたいは騒がずに待った。多分今までで一番待ったと思う。

そして定晴が助けてくれた。檻を壊してあたいと地底の妖怪を助けていた。そして助けられたあと優しく撫でられた。今までも慧音先生とかに撫でられたことはあったけど…あのとき撫でられたのはなんか違った。撫でられた瞬間氷の妖精なのに体がポカポカした。心地よくて、心地よくて…

 

「チルノ、またここらへんを凍らせてくれ」

「え、ええ!」

 

定晴に言われた通りに地面一帯を凍らせる。いつも動き回っているカエルを凍らせているあたいからすれば地面を凍らせるなんて簡単だ。凍らせたら定晴に褒めてもらった。ついでに近寄って頭を近づける。そしたら定晴は察してくれて頭を撫でてくれた。

えへへ…やっぱり定晴のはポカポカする。あたいはサイキョーであることを他のやつらにも知らしめるためによく弾幕ごっこをするけど…いい子にしてたら定晴はもっと撫でてくれるのかな。それにもっとあたいが可愛くなれば定晴はもっとあたいのことを見てくれるのかな。

でも可愛くなるってどうすればいいのかな。〈あたい〉って呼び方はあまり可愛くないかもしれない…えっと、私…とか…?

 

「よし、チルノ、次だ」

「う、うん!」

 

あたいが考え事をしてたらいつの間にか定晴は魔法陣のなんちゃらを終わらせていた。あたいだと凍らせるしかない魔法陣でも定晴ならすぐに消してしまえるようだ。やっぱりあたいとは全然違う。

そういえば大ちゃんがあたいのこの悩みを解決するにはもっと定晴と仲良くなればいいって言ってような気がする。でも仲良くってどうすればいいんだろう。たしか抱き着く…なんて…ううっ…大ちゃんのばか!

でもでも確かに定晴と仲良くなりたいなっていう気持ちはある。定晴が幻想郷に来たばかりの頃は何度も弾幕ごっこを挑んで返り討ちにあっていたけど、最近はそういう戦いをすることもなく大ちゃんたちと一緒に遊ぶことが多い。なんだか定晴は慧音先生みたい。

 

「また頼む」

「任せて!」

 

カチコチー。うん、これくらい。

そういえば大ちゃんは定晴のことをどう思ってるんだろう。今日あたいのことを止めにきたのも大ちゃんが定晴に頼んだからって大ちゃんが言ってたし、信頼はしてるんだろうけど。大ちゃんって他の妖精よりも大人っぽいから何考えているのか分からないときがある。

逆に定晴はあたいや大ちゃんのことはどう思ってるんだろう。そういえばルーミアは定晴のところに一緒に住んでるらしいからそっちへの印象も気になる。実はあたいのこと嫌いだったり…んっ!すごい落ち込む!大丈夫大丈夫、あたいが嫌われる要素はないはず。

 

「ん?これ魔力タンクじゃなくて魔力増幅か…チルノ、少し時間かかる」

「分かったわ」

 

定晴が魔法陣をなんちゃらしている間はあたいが守ってあげる。多分定晴のことだから魔法陣をなんちゃらしていると同時に妖怪の一匹二匹は倒せるんだろうけど。でもあたいが頼ってもらえているっていうのがとても嬉しい。

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