東方十能力   作:nite

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頻繁投稿期を終わらせてそろそろ前までの投稿頻度に戻しますね


二百七十三話 低温脆弱性

魔法陣があるであろう場所に目星をつけて探していたら既に起動している魔法陣を見つけた。細いがどこかに繋がっているらしく、魔法陣を止めた場合相手に気付かれる可能性があったので無効化で[魔法陣の繋がりを感じること]を消してから止めておいた。無効化はこういう曖昧なものでも無効化してしまうのでチートみたいなものとなっている。

 

「ここ…か…?」

 

魔力のラインが繋がっている先、何の変哲もない森の先には扉があった。鉄らしき金属で作られた扉は何かを守っているようにも、封じ込めているようにも見える。この扉の奥に魔力のラインが繋がっているのは間違いなさそうである。だが…開け方がない。鍵穴と思われるものはあるのだが、俺は鍵なんて持っていないのでどうしようもない。取っ手があるので引っ張るか押すかはできるだろうが、鬼がいるこの幻想郷の鉄扉は俺の身体強化を用いたとしても無理やり開けることは叶わないだろう。となればあとは壊すしかないのだが…

うーん…魔理沙のマスタースパークなら壊せるだろうか。中々使う機会はないが、俺は模写の力で魔理沙のマスタースパークをコピーしている。破壊力があり俺の数少ない広範囲技となっているが、マスタースパークはそもそも魔理沙の火力重視な技なので石を壊すことも可能なはずだ。ただそれは本人であれば、だが。

俺の力の模写というのはその名の通り見たものをそのままコピーする力である。そして俺が模写しているこれは弾幕ごっこで使われるマスタースパークだ。となれば魔理沙が本気を出してマスタースパークを撃つときの半分以上に威力は抑えられていると考えていいだろう。霖之助曰く、耐久性を気にしないのであれば森一つくらいは焼けるほどの威力が出るらしいからな、あの八卦炉。

まあ一度やってみるか。

 

恋符【マスタースパーク】!」

「ひゃっ!なによ!?」

 

弾幕ごっこじゃないので技を宣言する理由もないけど、なんとなく威力が出そうな感じだったので声に出した。実際そんなことは一切ないのだが。あと俺が急に声を出してマスパを撃ったものだからチルノが驚いてしまった。すまん。

さて、マスパを撃ったところを見てみるが…うーん、少しは抉れている…だろうか。正直この先に空間があったとしてもそれなりに奥だろうからこのペースで壊していても終わらないだろう。それにあまりここで騒いでいたら相手に気付かれる可能性が非常に高い。できることなら奇襲を仕掛けたいところだ。まあこの壁を壊した時点で大きな音があるのは確定しているので先手必勝の攻撃ができるというわけでもないが。

 

「この扉を開けたいのね?」

「ああ。もしかしたら三妖精の誰かが鍵を持っているかもしれないが、小物を隠すことに関して言えばあいつらはプロだろ?妖精らしい隠し方をされたら見つけることはできないだろうし、この扉を壊そうと思ったんだが…」

 

それに三妖精のうち捕まえているのはスターだけだ。スターが持っていないなら二度手間となるし、嘘をつかれたりしても俺たちに判断することはできない。それこそスターの衣服を無理やりすべて剥がして隅々まで探せば見つかるかもしれないが、流石にそんなことをすれば今度は慧音に全力の頭突きを食らうことになるだろう。となればやはり鍵を見つけるというのは現実的ではない。三妖精が持っていなかった場合は間違いなく見つけることなどできないだろうしな。

 

「あたい…あたしが冷やせば開くかも!」

「流石にそんなに簡単には…いや、待てよ…」

 

ここで少し化学の話をしよう。

金属というのは低温脆弱性という性質がある。これは基本的に金属は冷やすことによって脆くなり壊れやすくなるという性質で、ある程度の薄さであれば何の強化もせずとも素手で金属を壊すこともできるようになる。アルミニウムや銅のような一部の金属には起きにくい現象ではあるものの、金属の種類によっては本当に簡単に壊せるほど脆くなる。この扉は見た感じ鉄製だし、もしかしたら簡単に壊せるようになるかもしれない。

 

「チルノ、この扉全体を冷やしてくれ。急がなくてもいいから確実にな」

「あた…しに任せなさい!」

 

チルノが扉を冷やし始める。

ところで先ほど、ここに着いてからチルノが一人称を意識して〈あたし〉に変えようとしているように思えるのだが何かあったのだろうか。まあ一人称で印象は結構変わるものだし〈あたい〉よりは〈あたし〉の方がかわいいかもしれないが…まあチルノが自分で決めたことなら俺が何か言うこともなかろう。どうせ大妖精からまた何か言われているのだと思われる。一体大妖精はチルノに何を吹き込もうとしているのだろうか。

 

「はい、どう?」

「…うん、大丈夫そうだ」

 

チルノが扉を氷漬けにすることなく冷やしてくれたので邪魔になる氷はほとんどない。氷がついていない部分を触ってみると凍傷になりそうなほど冷えていたので十分に効果を発揮してくれるはずだ。

マスパの熱量によって折角冷やしてもらった分が戻ってしまわないように気を付けつつもう一度…

 

恋符【マスタースパーク】!」

 

着弾し砂埃が舞い轟音が響いた。明らかに先ほど撃った時とは反応が違う。数秒撃ち続けたあとに見てみると、見事に鉄の扉はなくなり道が開けていた。ただこの先に誰かいた場合扉を破壊したときの轟音により俺たちのことがばれてしまっただろう。

 

「チルノ、この先は何が出るか分からない。特に気を付けてくれ」

「ええ!何が出てもあたしが氷漬けにしてやるから安心なさい!」

 

チルノが胸を叩きながらそう宣言する。チルノは、妖精としては強いものの大妖怪などには到底太刀打ちすることなどできないだろう。しかしその根拠のない自信と自負は異変解決に急いている俺を少しリラックスさせてくれた。




お知らせ:ミキが主人公の小説を投稿し始めました。先日投稿したミキが読者に直接語り掛けてくるタイプの小説です。興味があればぜひ
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