東方十能力   作:nite

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二十七話 旧友

「ちょっと神奈子様!何やっているんですか!」

「いやだって、早苗が襲われていたから」

「何をどう見ればそう見えるんですか!」

「え?もしかして勘違い?」

「あぁ。神奈子様の御柱にぶつかった定晴さん…こんなとこでお別れなんて」

 

なんか遠くで俺を哀れむ声が聞こえる気がする。死んでないし…勝手に哀れむのはのはやめてくれ。

 

「びっくりさせないでくれ。一瞬反応が遅れちまっただろ」

「あ!定晴さん!大丈夫なんですか?」

「一応な」

 

木がぶつかる直前、なんとか間に合った身体強化のおかげでなんとかなった。もし間に合わなければ首と胴体が分裂し、見るも無惨な状態となっていたことだろう。幻想郷に来てからこんなことばかりだ。

 

「私の柱を受けて無事だなんてなかなか強い力を持っているんじゃないか?」

「いやー…これはただの能力のお陰だ」

 

実際ぶつかる寸前に身体向上を掛けなきゃヤバかった。俺だからよかったものの、並の妖怪であれば即死だったのではないだろうか。これが幻想郷流だと言われたら俺は流れを変える運動をせざるを得なくなる。

さて本題の早苗の件についてだが…

 

「やっぱり早苗、多分俺はお前を知らないんだが…」

「いや、そんなはずはありません!私はあの時助けられた恩を覚えています!」

「助けた…?」

 

あの町は他の町に比べると確かに治安が悪かった。だからちょくちょくワルガキとかに絡まれてたり、ひったくりにあっていたりするのを見かけはした。しかし助けた奴に名前は教えてないはず…それにそんなことで助けられた程度で覚えているというのも変な話だ。

 

「あの町で異形の妖怪に襲われたときの!」

「うーむ…あ!もしかして…神社の近くにあった森で襲われてた少女か?」

「はい!あの時はありがとうございました!」

「でも俺の名前って教えたか?」

「いえ。でもポケットから名刺が落ちたのでもしかしたらと…」

 

あの神社の近くにはまあまあ大きい森があった。その森から妖力を感じていたので、危ないなと思っていたけども正体を見つけることができなかったので放置していたのだ。しかし、この神社で行われた御祭りの時に近くに妖力を感じていたので、森の中に入ったら一人の少女が襲われていたので助けたのだ。

俺の記憶ではあの神社には巫女がいなかったと思うのだが、もしかしたら一応存在はしていたのかもしれない。

 

「あの時は全然霊力とか感じなかったけど…」

 

今や霊力が増えている。量としては霊夢と同等、質で言うならば霊夢以上かもしれない。霊夢と違って鍛錬をしているのがわかる。

だが、それ以上に神力が感じられるのだ。これは面白い。

人間は基本的に霊力しか持たない。妖怪であれば妖力だけ…と決まっているのだが、神力とな。神力はその名の通り神様しか持たないはずだが…

 

「お前神にでもなったのか?」

「いえいえ私は現人神なんですよ。人間であり神に近しい存在なんですよ!珍しいですよね!」

「あ、ああ」

 

すまない早苗、残念だが俺の友達に人間なのに時空神とか言う頭おかしい奴がいるからあまり驚けない。

 

「さっきはすまなかった」

 

早苗の隣にいた神が頭を下げた。

こちらからは霊力はなく純粋な神力を感じる。本物の神様なのだろう。

 

「私は八坂神奈子といって、この守矢神社の神だ。まさか早苗を助けてくれた人だとは思わなかったから…謝罪といってはなんだが、お前ならいつでも神社にきていいぞ?」

「まあ気にしてないし大丈夫だ。神社の巫女が困ってたらそりゃ怪しむよな。にしても何の神なんだ?」

 

神には…日本の神は何かを象徴していることが多い。それに合わせて権能と呼ばれる凄い力を持っていたりする。

 

「私は簡単に言うと天気等を操れるんだ。疲れるから基本的にしないけどな」

「そして私が洩矢諏訪子っていって、大地を操れるんだ!」

「うおっ!」

 

いつの間にか後ろにも神様がいた。

目が付いている帽子を被った背の低い神様だ。しかしその神力は神奈子と比較しても謙遜なく、相当な格を持つ神様なのが人目でわかった。

そんな彼女は釣り竿と籠を持っていた。

 

「諏訪子様お疲れさまでした。どうでしたか?」

「あまり大きいのは釣れなかったね。残念」

 

先程萃香と早苗の会話で出ていた諏訪子というのが彼女のようである。

釣りと言っていたが、なるほど、確かに籠の中には魚が数匹見受けられた。

 

「いつの間に後ろをとったんだ?全然気付かなかったぞ」

「甘いねー。まだまだだよ定晴。話は聞いてたから身構えなくてもいいよ」

 

俺も外の世界ではそれなりに経験を積んでいるのだが…こっそり近付くという点に限って集中すれば神様ならば俺を欺けるのかもしれない。

 

「そういえば定晴さん!そろそろお昼なんですけど食べていってもいいんですよ?」

「いやいいよ。他にも予定あるからな」

「そうですか…」

 

早苗が肩を落とすが、厄介になるのも悪いからな。申し訳ないが辞退する。

 

「それじゃあな早苗、諏訪子、神奈子」

「それでは!」

「またきてよ?」

「バイバーイ」

 

俺は守矢神社を後にした。まあまあ距離があるので次に来るのはそこまで近くないと思われる。妖怪の山に入るのも少々面倒だしな。

 


 

「早苗は彼が好きかい?」

「はい!」

「それはライクかいラブかい?」

「え、あ、う…」

「ははは!それじゃあ私達は協力しないとね!」

「他の女の子に負けるな!」

「「おー!」」

「ま、待ってください!諏訪子様神奈子様!」

 

その日、妖怪の山の神社には恋い焦がれる巫女とそれを応援する二柱の神がいたという。

 

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