さて、どうするかなこの二人。
なぜかいたルナチャイルドと倒したクラウンピースの二人をどうするか悩む。というのも二人までなら大妖精でもなんとかなるだろうけど、三人目ともなると流石に大妖精一人だと多分対処しきれなくなるからだ。
「チルノー、起きろー」
ついでに言うとチルノは眠ったままである。ルナに頭を叩かれたときにそのまま気絶してしまったらしい。ピチュらせることなく妖精を気絶させるなんてルナも中々に力加減が上手で…って感心している場合ではないな。
「ルーミア、二人まとめて縛って移動できるか?」
「えっと…封印状態だと無理かも。リボン外していいならできるわよ」
「あー…」
ルーミアの封印解除は言うなれば完全な奥の手だ。ルナたちが途中で起きる可能性も高いのであまり見せられるものではない。
となると俺が片方を背負って行くしかないな。大妖精にプラスしてルーミアにも監視をしてもらえば逃げられる心配はないだろう。
それにルナも撃破したことであとは未だ会えずのサニーミルクただ一人となった。これはもうほとんど勝ちと言ってもいいのではないだろうか。大妖精が懸念していた強力な妖精の助っ人は多分このクラウンピースのことだろうし、あとはサニーを捕まえて慧音か霊夢あたりに説教してもらおう。
「じゃあルーミアはピースを捕まえて運んでくれ。俺はルナを結界で縛りつつチルノは抱っこしていくよ」
ルナを結界で縛って背中に。俺の体にくっつけるようにして固定しているので落ちる心配はない。妖精に聞くような結界式を思いついたのでもし運搬途中で目覚めても弾の一つ撃つことはできないだろう。
チルノは所謂お姫様抱っこという形で運ぶ。チルノを背負うとなるとルナを固定する場所がないので体の前でチルノは運ぶことになるのだが、体勢的にこの運び方が一番楽だ。チルノもこれくらいを気にするような歳ではないだろう。
「むー…」
「ルーミア?」
「…別に」
後でルーミアもお姫様抱っこしてあげた方が良いだろうか。男性の俺からするとあまり魅力的には感じないのだが、やはり女性のルーミアからするとお姫様抱っこは何かしら憧れでもあるのかもしれない。とはいえ人前でやると絶対に恥ずかしがるからするとしたら家だな。
「よし、行くぞ」
「ええ」
捕獲した二人の妖精を連れて洞窟を出る。にしても結局何のために作られた洞窟か分からなかったな。罠らしい罠もなかったし、中に何か置いてあるというわけでもなかった。ピースがいた場所が最奥というわけではないのだけど、その先にはそもそも松明が置かれていなかったのでまもなく行き止まりになるのだろう。
謎は多いが、成果はあった洞窟だったな。
移動中に三人が起きることはなかった。妖精って行き過ぎたダメージだとすぐに消えちゃうから気絶する程度のダメージには一番弱いのかもしれないな。
「大妖精ー」
「あ、定晴さん。それにルーミアちゃんも。チルノちゃんは……勿体ないなぁ…」
「どうした?」
「何でもありません」
今も大妖精はスターを繋いだまま人里で遊んでいた。スターの方ももう諦めた様子であり、普通に大妖精と遊んでいた。しかし流石に俺がルナを背負っていることに気が付くと視線をそちらに向けた。
「ルナ!そんな…ルナもやられるなんて…」
「まあ、成り行きで…」
ルナに関しては本当にたまたまだ。なぜあそこにいたのかも分からないし、俺相手に一本道の洞窟で逃げ切れると思ったことも謎だ。自惚れとかではなく、俺の戦闘を見ていたなら身体強化と風のコンボで走れば妖精の身では逃げ切れないことなど分かるだろうと感じたからである。
「大妖精。ルーミアもつけておくからこの二人とチルノのことも見ててくれないか?」
「チルノちゃん……はい、わかりました!定晴さんはサニーちゃんのところへ?」
「その予定だ。まあその前にルナかスターにもう一度尋問をするがな…」
二人から情報が得られなければピースにも尋問することになるが…ピースはあくまで助っ人らしいからろくな情報は得られないと考えてもいいだろうな。
相手方の戦力はあとはもうたくさんの野良妖精とサニーだけだと考えてもいいだろう。全員捕まえたら霊夢か慧音のところに連れて行って叱ってもらう。多分それでいい感じに全部解決するはずだ。叱るだけでいいのかとも思うが…妖精だし復活するし子供だしということで完全に再発を防止することはできないだろうという判断だからだ。
大妖精からスターを借りて、チルノだけを大妖精に任せて俺は三人の妖精の尋問を始めた。
定晴さんからチルノちゃんを預かった。ルーミアちゃんから聞いた話だと、ルナちゃんに不意打ちで気絶させられたあと一度も起きていないらしい。人里の中はチルノちゃんを寝かしてあげる場所があまりないので取り敢えず私の体で支えておく。妖精だから心配はいらないけど…せめて一度は起きてほしかったな。だってチルノちゃん、定晴さんにお姫様抱っこされていたのだから。
多分お姫様抱っこの形態は外の世界から流れてきたものだろうけど、外来人がたまに人里で外の世界の文化を伝えることがあるのでその中にもあったものだろう。私はしてもらったことはないけど、人里のお姉さんたち曰く相手との距離を意識してしまってドキドキするらしい。それなのにチルノちゃんったら寝てるし…
「んっ…んー…」
「あ、チルノちゃん。起きて起きて」
「ふえぇ…?大ちゃん?」
やっと起きたみたい。この寝坊助さんめ。
一応気絶していたあとだからあまり刺激を与えないようにしながらチルノちゃんを立ち上がらせる。お姫様抱っこされていた割には服にしわがないんだなぁ…もしかして定晴さんってあの抱き方慣れてるのかな。
「あたし…寝ちゃってた?」
「うん、気絶させられて…チルノちゃん、あたいって…」
「え、あー…あたい、ちょっと…大ちゃん、内緒にしてくれる…?」
え…チルノちゃんかわいい!何その表情!完全に乙女じゃん!何があったのかすごい気になる!
ふむふむ、定晴さんと一緒にいて、可愛いと思ってもらいたくなったから一人称をあたしに変えて、洞窟の中で手を繋がれてからずっと定晴さんのことしか考えられない…ってそれもう本格的に恋じゃん!というか定晴さん女の子の手をしれっと握るって相当だ!
チルノちゃんは今の自分自身のことをどう思ってるのかな。
「大ちゃん、あたい、変?」
「ううん!すっごい素敵なこと!」
一応いつもと違うことは分かってるみたい。まあ流石に一人の男性のことばかり考えちゃうのにいつも通りに振る舞うなんてできないよね。というかさっきからチルノちゃんの表情が乙女すぎる…チルノちゃん、こういう表情もできるんだぁ…
「っていうかさ、大ちゃん…」
「うん、なぁに?」
「………あたい、定晴のこと好き……多分だけど、好き…」
うひゃああ!
待って待ってそんな言い方だとこっちまで恥ずかしくなる!私にはまだ好きな人とかいないけど、私に好きな人ができたらチルノちゃんみたいになるのかな…
「大ちゃん…これって…恋…?」
うにゃあああ!可愛いなこの子!
チルノちゃん、恋知ってたんだ。あまり本とかを読むようなタイプじゃないけどどこで知ったんだろう。まあ人里で人間さんたちと話していれば知る機会もあるか…チルノちゃん、定晴さんと出会ってからどんどん大人になっていくなぁ…
「チルノちゃん、きっと恋だよ。私はまだ好きな人とかいないから分かんないけど…チルノちゃんにとっても悪いことじゃないから安心して?」
「うん…だよね…」
あれ、チルノちゃん…なんだか寂しそう。うーん、どうしたんだろう…こういう時は直接聞くしかない。
「チルノちゃん、どうしたの?何か寂しいことが…」
「だって…あたいの気持ち…絶対届かないもん…」
っ…
…うん、そうだと思う。私もチルノちゃんの恋は上手くいかないだろうなって思う。でもそれを本人に直接言うのはちょっと遠慮しちゃうというか…
「…でもね、大ちゃん」
「…うん」
「あたい、頑張る。せめて、定晴に見てほしい」
チルノちゃん、強いなぁ。恋する乙女は強いなんて言葉を人里の誰かが言ってたけど…本当に強いんだなぁ。
チルノちゃんが折れてないようで私は安心。あまりチルノちゃんは泣かないから気持ちの整理がつかなくて泣いちゃうなんてことはないだろうと思ってたからそのことはあまり心配してないけど…大丈夫そうだからチルノちゃんにとっても大切な情報を教えちゃおう。
「チルノちゃん、実はさっき…」
「うん?」
「定晴さんにお姫様抱っこされて運ばれてたんだよ」
さん…に…いち…
やっぱり爆発した。