東方十能力   作:nite

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二百七十九話 頭突き式説教

サニーを背負って人里まで戻ってきた。一応三妖精が使っていたであろう拠点についてはチルノに凍らせた。再利用して俺の家に悪戯をされても困るし、かといって子供が作ったものを勝手に壊すのも忍びないからだ。まあ三妖精以外にも色々と使われそうなのは分かるのであとで何か有効活用する方法を考えないといけないだろう…

 

「あ、サニー!」

「二人とも、既に捕まってたのね…」

 

これで三人とも確保。ついでにピースも一緒に慧音のところに連れて行く。俺も教師はしたことあるから説教くらいはできるが…日頃から子供たちに慕われ恐れられている慧音に任せる方が効果は高いだろう。説教は比較的何を言うかよりも誰が言うかの方が重視されがちだ。中身がないのは勿論だめだが、中身がまともでも急に知らない人から説教されるとイラっとするのは分かるだろう。

 

「ふむ、定晴に連絡を受けて待ってみたが…このまたこの三人か。新入りもいるみたいだがな」

 

既に何かを察したようで、慧音は非常に怖い顔をしていた。それに対して三妖精がビビりまくってる。ピースはまだ慧音に怒られたことがないのか、それとも怒られること自体慣れているのか、はたまた怒られても反省しないのかは分からないが平然としている。

一応慧音にこの四人が何をしようとしていたのか説明した。三妖精の拠点に作戦図らしきものがあり、俺にはよく分からなかったものの大妖精とチルノに解読してもらったおかげで大体この三妖精が具体的に何をしようとしていたのか分かっている。

 

「なるほど…妖精だけの異変と、やばいものの召喚か…」

 

慧音が言った二つが主な目的だったらしい。どうやら三妖精は妖精だけで異変を起こすことに期待をしていて、それを目的として妖精の戦力を集めていたらしい。だからこそ助っ人も異質ではあるものの妖精であるクラウンピースだったわけだな。

そしてもう一つ、やばいものの召喚というのは俺もよく分からなかった。そもそも作戦図にやばいものとしか書かれてなかったのである。三妖精に訊いてもやばいものとしか答えが出なかったのでもうそういうものなのだと結論付けた。幻想郷でやばいものとなると本当に邪神とか名のある悪魔とかを召喚できてしまいそうだったので事前に防げてよかった。解決行動中に俺が解除した魔法陣はピースへの援助及びその召喚への下準備だったらしい。

 

「というわけで慧音、幻想郷がやばかったかもしれないからこの四人をしっかり説教してくれ」

「任せてくれ。頭突きには自信があるんだ」

 

なぜ頭突き?なぜ説教で頭突き?いやまあここは体罰禁止の法律はないので頭突きをしても罰せられることはないのだろうけど…なぜ頭突き?

…取り敢えずこれで異変解決とみていいだろう。霊夢に何か行動を起こされて妖精が根絶やしにならなくてよかった。今回の頑張った報酬は大妖精から受け取ったなけなしの代金だけだろうけど、まあ更に面倒ごとが大きくなる前になんとかなったので良しとする。

それに今回は人知れずに終わらせたので宴会もないだろう。酒を飲むことも嫌いではないのだが、最近の宴会は毎回毎回俺の周囲に影響を及ぼす何かが起きるので警戒してしまうのだ。今日はまあ小さい宴会として家でルーミアたちと飲むか。そういえばユズは酒を飲めるのだろうか。前回の異変では宴会の時間に既に寝てしまっていたので宴会料理だけ持ち帰って食べさせたのだ。だから彼女はまだ酒を飲んでいない。

 

「じゃあルーミア、帰ろう」

「…そうね」

 

既に涙目になっている三妖精を尻目に俺たちは家に帰った。ピースが能力を使うとまた面倒なことになるので慧音には浄化の力を付与したお札を渡しておいた。

家に帰ると、家の前にユズがいた。

 

「ユズ?あ、ただいま」

「おかえりなさい…私は呼んでくれないんですか!?」

 

頬を膨らませて不満そうなユズ。かわいい。

どうやらユズは俺が式神として呼んだのがルーミアだけだったのが不満だったようだ。しかしながらユズに戦闘を任せるのはまだ分からないし、どうしてもユズとルーミアの二人だとルーミアの方が安心できるのだ。ユズのことを信頼していないわけではないが、ユズと契約したのも式神として使役する目的じゃないしな。まあルーミアも別に式神として使役する目的ではなかったけど。

 

「ユズはもう少し強くなりなさい」

「ルーミアさんが強すぎなんですよ!」

 

ユズは先日の式神契約以降非常に感情を表に出すようになった。それに喋り方も家の敷地内ではそれなりにちゃんと流暢に話せている。人里とかではまだ無理だが、家の中で生活する分には美鈴のマッサージも必要ないだろう。

 

「外で何してたんだ?」

「へ?休んでいただけです。定晴さんが呼んでくれないかなーって思いながら」

「少なくともどちらかと呼び出すという状況ならルーミアを呼び出すからなぁ…まあユズでもできそうなことがあれば呼ぶよ」

「はい!」

 

戦闘面だとまだユズは心許ない。不動のところで操られてたときは俺も正面から戦いたくなかった相手だが、あれは不動によって力を開放されていただけだし不動のバックアップもあった。ユズ一人で戦うのはまだまだ不慣れだろう。

 

「ほらほら、今日はご主人様がご馳走を作ってくれるらしいわよ」

「それは嬉しいです。定晴さんのご馳走、楽しみです」

 

そういえば不動に操られていたときと随分とユズは性格が違う。なんなら式神契約をしてからも性格が違う気がする。契約による繋がりからして今のユズに変な部分はないので多分今の性格が元々のユズの性格なのだろう。もしかしたら不動はユズに仮初の人格でも上書きしていたのかもしれない。

 

「私も手伝いますね!」

「もちろん、私も手伝うわよ」

 

ご馳走は何にしようかと考えながら俺は家に入った。

 


 

定晴が帰った。時間からすると多分これから夜のご飯の準備をするのだと思う。

あたいたちは慧音先生の説教に巻き込まれたくないのでさっさと人里から離れた。今日は別に悪いことをしたわけじゃないから慧音先生もあたいたちを説教するようなことはないとは思ってるけど、もしかしたら昨日までの色々で一緒に怒られるかもしれなかったので大ちゃんを連れて先に霧の湖まで帰ってきたのだ。

 

「お疲れ様チルノちゃん」

「うん、あたい頑張った」

 

今日は胸を張って自分を誇る。いつもあたいは完璧だけど、定晴のために頑張ったからいつもよりもっと完璧のはず。今日のあたいは誇らしい。

 

「それにチルノちゃん、自分の気持ちを自覚できたね」

「…大ちゃん、もしかして何か知ってた?」

「ホワイトデーの時に、チルノちゃんの反応でそうなのかなぁっていうのは思ってたよ」

 

…なんか恥ずかしい。

たしかにあの時のあたいはちょっと変だったかもしれない。あのクッキーは特に美味しいけど、それ以上に定晴から貰ったって言うのが特別に感じられて…多分あの時からあたいは定晴のことを意識してた。きっかけだったかもしれない。

 

「チルノちゃんは思いは届かないみたいなこと言ってたけど…私はそんなことないと思うよ!いやまあ私たち含めて子供相手は定晴さんも相手にはしないだろうけど、チルノちゃんが好きって気持ちは届けなくちゃ!」

 

なんだかいつもにもまして大ちゃんが積極的。そういえば妖精にはあまり恋だとかがないから人里で大人たちが恋愛してるのを大ちゃん眺めてた気がする。あたいには難しいから分からないけど大ちゃんは本だって読んでるはず。

 

「というわけでチルノちゃん!」

「は、はい!」

「もっと可愛くなろう!」

 

その日からあたいは妙に積極的な大ちゃんに毎日きれいにさせられるのだった。でも定晴、それを見てちゃんと可愛いって言ってくれるんだよね…




妖精大戦争、終

定晴も言ってますが、今回は勝手に終わったので宴会もありません。天狗たちに察知されることもなく終わったので
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