「結構沢山来るんだな」
「定晴が短い期間で色んなやつと交流したから、集めるのは結構簡単だったんだぜ」
夕方六時半ごろ、博麗神社で待っていたら続々と人妖が集まってきた。というか大半が妖怪で、ちらほらと人間と妖精がいるって感じだな。知り合いで最初に見つけたのは紅魔館組だった。向こうもこちらに気付いたのか、早速フランが突っ込んできた。
まるでミサイルのように。
「お兄様ー!」
明らかにフランが殺す気で追突してくる。俺はそれを受け身をとりつつ倒れこみながら抑え込む。
なんとか受け身をとり、フランも俺も怪我なく止まった。
「こんばんは、フラン」
軽く挨拶をしたかったのだが、正直めっちゃ痛い。もしもの時の為に身体強化をしたにも関わらず体が痛い。あの鬼の突進を受け止めたほどの力なのに。
「元気だったか?」
「うん!」
「狂気は?」
「大丈夫!」
フランは元気よく返事をする。あれから狂気は出て来てないようで、毎日レミリア達と仲良く楽しく過ごせているらしい。それなら俺もあんだけ頑張った甲斐があったってもんだ。
フランと話していたらレミリアたちが優雅に歩いてきていた。
「咲夜も久し振りだな」
「は、はい」
「大丈夫か?顔が赤いけど」
若干頬が赤くなっている…ような気がする。
俺がそれを指摘すると咲夜は慌てたように答えた。
「へ!?い、いえ大丈夫です!」
「無理するなよ?」
咲夜はたじろぎながら挨拶をする。あまり会話も無かったからか緊張しているのかもしれない。そもそも咲夜はメイドという立場なのだ。あまり話すのは気が引けるのかもしれない。
ということで俺はレミリアに話しかける。
「レミリアも久し振り」
「ええ。貴方のお陰でフランもとても安定しているの。お礼を言わせて頂戴」
レミリアのこの喋り方は本来のものなのか、それとも作ったものなのか。どのみち相手に威圧感を与えるのには丁度いいだろうな。俺は別になんとも思わないけど。慣れてるし。
「いや、あの時こうしてなかったら俺が殺されてたかもしれないからな」
「それでもよ。いつかは一人でも幻想郷を飛び回れるようになるかもしれないわ。まだ少し心配だから紅魔館の近くにしか行かせてないけどね」
レミリアは雰囲気を崩さないように優雅に挨拶をする。これはカリスマとか言われるやつだろうか。霊夢によると最初会った時はカリスマを感じていたけどいまじゃカリチュマらしい。やはり俺には効かない。慣れてるから。
「行こ!」
「おう」
フランに引っ張られて宴会の中心部に連れてかれる。そこにはこれまた沢山の料理が所狭しと並んでいる。この中には俺が作ったやつも少し混じっている。時間があったので料理の手伝いをさせてもらったのだ。
「そういえば美鈴は?」
「美鈴は門番だから滅多なことがない限り宴会には参加しないわ。年末とかのでかい宴会のときは荷物持ち代わりに参加させるんだけどね」
ドンマイ美鈴。その仕事に就いたときからこの運命は決まっていたのだろう。大人しくお留守番だな。まあ門番として一番仕事の必要性があるのはその家に誰もいなくなった時だろう。仕方のないことである。
「どうかしら、定晴さん?」
「霊夢か?賑やかで良いと思うぞ」
霊夢の声がする方向からして後ろにいるのだろうが、フランに引っ張られているため振り向くことが出来ない。
そのまま引っ張られ続けて会場の端の方で座らされた。
「はい!ここに座ってて!料理取ってくる!」
「ああ、行ってらっしゃい」
フランが料理があるところに突っ込んでいった。そして其処らへんで会話していた妖精をピチューン。可哀想に…
「ハロー定晴?」
「紫か。hello」
紫が英語で話しかけてきたので俺も英語で返答する。これでも四カ国後くらいなら喋れる。そうでなければいけない仕事でもあったしな。
「やっぱり貴方発音良いわね…まあいいわ。初めての宴会はどうかしら。楽しい?」
「ああ。賑やかだし楽しいぞ」
俺がそう答えると紫は途端に嬉しそうな顔になり声も幾分か嬉しそうになった。
「なら良かったわ!隣良いかしら?」
「ああどうぞ」
紫は隣に隙間を開いた後、元から座っていたかのように姿を現した。フランは反対側に座れば良いだろう。
そう考えていると早速帰ってきた。じゃあ紫の逆側に…
「ただいまー!」
「おかえりフラン。隣に…うわ!」
フランが俺の膝の上に座ってきた。それもさぞ当然のように。嫌じゃないけど動けなくなるし料理も取れない。できればどいて欲しいと言いたいのだが…
「隣じゃなくてここがいい!あれ…賢者さん、こんばんは」
「ええ、こんにちは」
「はい!お兄様、料理!」
見事な即答と高速拒絶。分かってたけどね。我慢するしかないか…
紫に挨拶した時の声色だけやたらと落ち着いたようになって淑女のようになったので驚いた。教育でもされているのだろうか。
フランは咲夜と一緒に料理を持ってきたらしく、目の前の机の上には色んな料理が広がった。
フランが欲しそうにしたものを取ったり俺も食べたり色々と忙しいが楽しいので問題はない。
しばらくしてから…
「遅れたー!でもまだ定晴の隣が空いてるよ!」
「ほら行ってらっしゃい早苗!」
「え、えっと…」
紅魔館組と紫、紫が呼んだ藍と共に料理を食べていたら遠くの方で守矢神社組が話し合っているのが見えた。なんて言っているのかは分からないが、二柱の神が早苗に何か言っているらしい。暫くすると三人とも近付いてきた。
「こ、こんにちは。あれ?こんばんは、かな」
「そんなの気にしちゃ駄目だよ」
「こ、こんばんは!」
「お、おう。こんばんは」
早苗が顔を赤くしながら挨拶する。咲夜といいなぜ皆顔が赤いのだろうか。もしかして俺、病原菌とか撒き散らしている?浄化は基本的に常時発動系の力なのに…狂気か?狂気のせいか?
『勝手に俺のせいにするんじゃねぇ』
『すまん冗談だ』
今のは完全に俺が悪かった。魂には俺が意識しない限り考えていることが筒抜けなのだ。まあ俺自身でもあるわけだし当然といえば当然だが。
「隣、良いですか?」
「ああ構わないが…大丈夫か?顔が赤いが」
「へ!?あ、う、はい。大丈夫です…」
早苗はそう言いながら隣に座る。さて、こうなると更に周囲が全員女子になってしまう。遠くにいる男性妖怪からの視線が痛い。不可抗力なので俺に罪はありませんよーっと。
「こんばんはー!」
突如空から声がしたかと思うと。空から一人の女の子が降ってきた。親方!空から女の子が!とか思ってみる…言わないけど。というか幻想郷では飛べるやつが多いので空から誰かが来るなんて日常茶飯事だ。わざわざ取り立てて言う事でもあるまい。
「どうも!清く正しい射命丸文です!この宴会の主役である定晴さんはどこにいますか?」
「ここにいるわよ」
紫が返事をする。俺からだと丁度藍がいるため清く正しいという文の姿が見えないのだ。
「ほー。貴方が…って、貴方は妖怪の山に侵入してきた人じゃないですか!」
「ん?あの場にいたのか?」
あの場には大量の天狗がいたのだ。あそこにいたところで不思議ではないだろう。あれってどれくらいの人数が追っていたのか、気になるところではある。
「私と速さが同じぐらいの超人さんじゃないですか」
「もしかして、あやややとか言ってたのはお前か?」
なんか一人だけずば抜けて速い天狗がいた。確かになんとなーく声が同じような気もする。なんとなくだがな。
「はい!まあ今はそんなことは置いといて…取材をさせてもらっても良いですか?」
「「「止めといた方が良い(わ)(です)」」」
ここにいる奴等が口を揃えて拒絶する。そして口々に文の取材について批判していく。外の世界のSNSもこんな感じだったなぁ…
「この烏天狗はありもしないことも書くから」
「本当のことも書きますよ」
どうやらこの天狗、誇大したりなんだりと少々癖のある新聞を書いているらしい。
「じゃあ嘘のことも書いているんだな?」
「そ、それはー…」
一言で論破された文。ここまで言われると可哀そうだしなぁ…それに誇大されたところで俺は構わないし…
「まあ良い。取材は受けよう」
「良いんですか?定晴様」
咲夜が心配そうにしているが問題ない。何かあれば直接文句を言いに行くだけだ。逃げられても多分追いつけるだろう。
「別に構わない」
「では!早速…」
素早くメモとペンを取り出した文の質問に俺が応えていく質疑応答スタイルで取材は進んだ。新聞記者としては中々に上手なようで、取材はスムーズに進んだ。幻想郷にも速記の技術はあるようである。俺が知っている書き方ではないので何を書いているのかは分からないが。
その後暫くの間取材をしたのち、満足したのか文は帰っていった。
「良かったんですか?」
「ああ全然構わない。変なことかいたら俺が焼き鳥にするだけだから」
「そうですか…」
射命丸の取材メモ
名前…堀内定晴
能力…十の力を操る程度の能力
詳細…輝剣・風・結界・魔術・身体強化・浄化・空間・再生、他のものは教えてくれなかった
年…数えてないが、十九歳から二十一歳らしい。雰囲気は二十をとうに超えている気もする
特徴…黒い髪に六尺位の背丈、顔は整っていて性格も優しい。ただし妖怪の山侵入の経歴あり
追記…この男性はとてもモテる、というか周囲の反応が分かりやすい。見た感じ十六夜咲夜、東風谷早苗などが疑わしい