東方十能力   作:nite

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三百話 魔界訓練

「魔界はどうかしら。いいところじゃない?」

 

俺の目を見てそう訊ねてくる神綺。

いいところ…なのかもしれないけど、地上の空気に慣れている俺には少し特殊に感じる。まあ訓練するにはちょうどいい場所だとは思うけど。

 

「いい場所だ」

「そう、喜んでもらえてよかったわ」

 

微笑む神綺。紫と似た雰囲気を感じるものの、紫と違って胡散臭くないのが高評価だな。

目線を横にずらして、今度は神綺がアリスを見た。

 

「なんで魔界に中々帰ってこないのよー」

「えぇ、だって…」

「だっても何も、私たちはいつでも待ってるのよー!」

 

…雰囲気がガラッと変わったな。

俺に対しては、ちょっと荘厳な感じもあったのだが、アリスに対しては、本当に母親みたいな雰囲気だ。アリスは頑なに母親だと認めないけど、魔界を作った神であるならば、魔界に住んでいる者すべての母とも言えるのかもしれないな。

 

「まあいいわ…夢子ちゃん、用意しておいた場所に案内してあげてちょうだい」

「かしこまりました」

 

夢子が手招きするので俺たちはそれについていく。

アリスも一緒に来ようとしたら、アリスは神綺に捕まった。魔法だかなんだか分からないけど、特殊な術でアリスの腕が捕らえられている。

 

「アリスちゃんはこっちよ」

「え、ちょっと!」

「話したいこともいっぱいあるのよー!」

 

アリスは神綺に引っ張られて奥の部屋へと消えていった。大丈夫だろうか…

まあ神綺はアリスに対して随分とお節介な感じなので、多分母親みたいな感じで接するのだろう。多分この魔界で神綺から逃げることはできないだろうから、アリスも渋々付き合うほかあるまい。

俺たちはそんなアリスと別れて、パンデモニウムの廊下を歩く。

 

「さて、私は夢子と申します。神綺様より、色々と便宜を図るようにと」

「そうなのか。俺は堀内定晴だ」

「私はルーミアなのだー」

「…ユズ、です…」

 

夢子の服はメイド服。ただし、紅魔館で咲夜が着ているやつに比べると、ちょっと明るいイメージだ。夢子の髪が明るい黄色っぽい色なので、赤を基調としたメイド服によく似合っている。

夢子も戦闘でナイフを使うのだろうか。咲夜のように、暗器を色々と服の内側に仕込んでいるのだろうか…

 

「定晴様は、しばらくここで寝泊まりすることになります。お部屋はこちらです。式神のお二人はその隣の部屋でございます」

 

二人が付いてくることは、紫を通して昨日伝えておいた。

パンデモニウムも紅魔館のような感じなので、それなりに慣れるな。数日でいつもと変わらない生活を送ることができるようになるだろう。

また、夢子から日頃の生活についてのあれこれも説明してもらった。基本的に食事や風呂などは自由らしい。ただし、食料は用意するけど料理は俺たちに任せるみたいだ。

俺自身はあまり現在の幻想郷に行かない方がいいので、地上に用事があるときは式神の二人を使いにすればいいだろう。

 

「そして、訓練などはここで行ってください」

 

続いて夢子に案内されたのは、広い平野。パンデモニウムの裏にある広い空間だ。

ここは自由に使っていいらしく、また、タイミングが合えば夢子などが模擬戦もしてくれるらしい。

戦闘力だけではなく、能力全てを上げるためにここには来ているが、戦闘は色々と力になるのでありがたい。いつも同じ相手ばかりだと訛ってしまうからな。

 

「それでは。ご用があればお呼びください」

 

そう言って夢子はパンデモニウムの中に戻っていった。

アリスがいつ解放されるのか分からないが、俺たちはこれから自由時間ということだな。俺の能力が幻想郷に影響を及ばすことがないように、力を鍛える必要がある。

 

「さ、やりましょ」

「おー…!」

 

ルーミアとユズもやる気みたいだ。

尚、妖夢との訓練は俺が魔界にいる間も継続される。俺が魔界にいる間は、紫のスキマを使って妖夢をこちらに連れてきて訓練することになった。

霊夢と魔理沙は魔界に来たことがあるらしいが、それ以外の幻想郷の住人はほとんど魔界に来たことがないらしいので、妖夢にとっても新鮮な訓練となるだろう。

 

「それにしても…ご主人様はどうやって能力を鍛えるの?取り敢えずは無効化の力でしょ?」

「そうなるな。まずは無効化のきちんと制御できるようになる必要がある」

 

現在の幻想郷に最も影響しているのは無効化の力だ。これをなんとかできなければ、他の力の制御が上手になったところで意味はないだろう。

 

「力の訓練ってどうするのよ」

「まあ…実直に考えれば、使いまくることだな」

 

あまり一つのことに対しての訓練をしたことがなかったので、どうすればいいのかはよく分かっていない。

とはいえ、使い続ければきっと上手になるだろう。ここでパワーアップすることは悪いことではないし。

 

「じゃあ…」

 

ルーミアが、付けているリボンを外した。

ルーミアの妖力が一気に上がり、体が少し成長する。

 

「私の影、徹底的に無効化してもらいましょうか」

 

触手のように影が生える。すべてルーミアが操っている、能力による生成物らしい。

 

「では、私も弾を撃ちます!」

 

ユズも飛び上がり、弾幕ごっこで使われる弾を生成した。

ルーミアの影と、ユズの弾…相手にとって不足はないな。

 

「さあ!出来るもんならやってみなさい!」

「えーい!」

 

二人が俺に攻撃を始めた。

触手は一本一本が独立しているらしく、無効化を使っても一本しか消えない。能力に対して無効化を使えば全部消えるだろうけど、それでは訓練の意味がないからな。

ユズの弾は無効化が間に合わなければ回避する。無効化を使ったあとに硬直時間があるので、飛んでくる攻撃をすべて無効化することはできないのだ。

俺が無効化を使いながら戦うときと同じように、動きながら無効化を使えば回避することができる。しかし、三秒の硬直時間でどれくらい移動するのかを計算してからじゃないと被弾してしまうので結構頭も使う。

俺は二人の猛攻をひたすら回避するのだった。

 

 

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