東方十能力   作:nite

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三百五話 霊天な弾幕

目のまえで、軽い準備運動をするルイズ。

それが終わると、すぐさま構えた。その間も、殺気は放たれたままだ。

 

「ルールとかはあるか?」

「そうねぇ…殺しはなしってことで。降参か気絶までよ〜」

 

うーん、前提条件。地上なら。

流石に魔界までは弾幕ごっこは浸透していないようだ。幼い霊夢が来たというが、こういう世界での戦闘を経たからこそ、弾幕ごっこも生まれたのだろうか。

 

「二人は見ててくれ」

「そうさせてもらうけど…大丈夫?」

「弾幕じゃない戦闘は慣れてるよ」

 

むしろ弾幕のほうがアウェイだ。

ここは幻想郷の中でも特異な場所だろうし、遠慮なくやらせてもらおうかな。というか、殺気の感じからすると真面目にやらないと普通に死ぬ。

 

「じゃ、始めましょうか」

「お手柔らかに」

 

ルーミアたちが離れたことを確認して、俺とルイズは向かい合った。俺は既に、手元に剣を取り出している。

ある意味、こういう対人戦は修行の成果を見る機会としてはちょうどいいと言えるだろう。まさかこんなところで、初めての相手とやるとは思わなかったが、魔界という場所から考えてあり得ないことでもなかった。

 

「それぇ!」

 

ルイズの攻撃が展開される。

回避不能の致死性攻撃だったらどうしようかと思ったけど、弾幕の濃さでいうと地上の人々とそんなに変わらなくて安心した。

しかし、攻撃力で言うと明らかに数倍はある。当たれば普通に怪我をするような威力だ。これは弾幕ごっこではない戦いなのだと、強く認識させられる。

 

「ふっ!」

 

取り敢えず、近くに飛んできた弾は剣で斬っておく。弾幕を斬ることに最近慣れてきた俺である。

流石に斬られるとは思ってなかったか、ルイズから感嘆の声が上がる。

 

「地上の人はすごいのね」

「そりゃどうも!」

 

勿論、その間も攻撃が止むことはない。

俺は結界の盾も召喚する。たまにする、盾剣タイプの騎士みたいなやつだ。受け流すことができれば、更に濃い弾幕でも捌くことができる。

 

「うふふ〜」

 

ルイズって、淑女のような立ち振る舞いのくせに、その攻撃はやたらと荒っぽくて攻撃的だ。

元々スケバンだったお嬢様みたいな…今の人には分からないか。

 

「魔術…」

 

攻撃が激しく、近づくこともままならない。なので、遠距離から攻撃することにする。魔術を使って少しでも隙ができれば、剣で斬ることもできるだろう。

輝剣という性質上、妖怪や魔界人にはダメージが上乗せされるだろうから、これで斬ることさえできればいいはずだ。

 

フレイム!」

 

弾幕ごっこではないので、普通の攻撃系の魔術を使う。炎の柱が立つ魔術で、弾の影響を受けることなくルイズに柱が近づいて行く。

 

「あら、そんなこともできるのね」

「まだだよウィンド!」

 

更に風を起こす。普通の魔術師であれば、ただの突風くらいにしかならない魔術だが、風への適正が極大である俺であれば、この簡単な魔術であっても暴風を発生させることができる。

目の前の火柱に加え、暴風によってバランスを崩したルイズが、回避を始めた。そのおかげで攻撃が緩くなったので、剣で弾を斬りながらルイズに近づく。

 

「おらっ!」

 

一閃…

 

「甘いわよ」

 

それを、ルイズは素手で止めた。

身体強化を使っていないとはいえ、それなりの筋力と勢いがあったはずだ。そもそも、回避行動中を狙ったので白羽取りもできないなかで、平然と素手で受け止めた。

 

「そんなのありか!?」

「魔界嘗めないでちょうだい」

 

剣を捕まれ、そして投げ飛ばされる。見た目に反して、ルイズの力がとても強い。

鬼たちほどではないが、ルーミアやユズよりも力がある。魔界人って結構特別製なのか…?ということはアリスも筋力があるということなのだろうか…

 

「…ティアドロップ!」

 

水の魔術。ルイズの真上に大きな水の塊を出現させて、頭の上に落とすという魔術だ。

発生する場所が俺の近くではないので、難易度的に言うと中くらいの魔術である。それでも、水を生み出すだけなので、まだ簡単に行使できる魔術の一つでもある。

ルイズは水の塊を見ると、すぐに回避した。そして、その先で俺が待ち構える。

 

「またかしら」

「今度は甘くねえぞ」

 

身体強化発動。そして、幻空から家宝の剣を取り出して、真上に投げた。

輝剣はそのまま、先程のようにルイズに打ち込む。身体強化をしているので、止められるということこそなかったが、それでも斬ることはできなかった。まじでどうなってるんだその体。

 

「さっきより強いわね」

「そうかいっ」

 

俺はルイズに押されるように徐々に後退する。

ルイズが離れようとしたら、追撃するように動くようにしているので、ルイズは俺から離れることができない。

そしてジリジリと後ろに下がったところで…

 

「ぎゃんっ!」

 

ルイズの頭の上に、先程投げた家宝の剣が降ってきた。身体強化付きで投げたので、降ってくるまでに相当な時間がかかったのだ。

俺が投げたときこそ、ルイズは真上を警戒していたようだが、素手と剣の鍔迫り合いをしている間に警戒を緩めてしまっていたようだ。

もしこれで家宝の剣が当たらなければ、ルイズの飛行能力を無効化して落とすつもりだった。家宝の剣が先に下に落ちているので、その上に落ちればそれなりに痛いだろうという策略だ。

 

「痛いわぁ」

「ていっ」

 

痛がっているところを、剣で叩いた。斬るのではなく、強めに面の方で叩いただけだ。

そして、ルイズは落ちた。気絶しているようなので、俺の勝ちである。

にしても、まさか剣を止められるとは…

 


 

「地上の人って強いのね」

「そうかも…しれないな…」

 

ルイズのことを回復させながら、そんなことを話す。

一応それなりに強いことを自負していたのだが、思ったよりも押されてしまった。剣の腕ももっと上げなければならない。

 

「それじゃ、満足したから私は行くわ」

「ああ。いい戦いだった」

「そうそう、折角だからこれをあげる」

 

ルイズがバックからパンを取り出した。青い、パンだ。

 

「良ければ食べて、私が焼いたの」

「ああ…そうか。ありがとう」

 

そしてルイズが飛び去った。残るは、三つの青いパン。

 

「えっと、課題は見つかったってことでいいのかしら?」

「そうだな」

 

そして俺たちは、ルイズから貰った青いパンを食べるのであった。

結構美味しかったのだけど、原材料は何なのだろうか。




旧作のキャラはスペカがありません
霊天というのは、ルイズのテーマ曲の題名です
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