今日は妖夢に剣術を教える日である。言われたときも思ったのだが、俺はそんなに上手ではない。偶々能力の中に輝剣の力があったから覚えただけで、人(妖夢は半人半霊だが)に教えるほど練習したわけでは無いのだ。
俺より断然ミキの方が剣術は上手いからな。特に二刀流剣術はミキの得意分野だから、俺に教わるよりあいつに教わったほうがいい気がする。そもそも俺の二刀剣術の師がミキなのだ。
まああいつは中々見つけることが出来るものではないし、いつも幻想郷にいる俺の方が都合がいいのだろうけど。
「よし、そろそろだな」
約束により練習開始時間は十時からで、一時間した後に昼食を食べて二時間ほど、計三時間のスケジュールだ。どれくらいが丁度いいのか分からなかったので軽めから始めて追加していこうというスタイルをとる。
事前に紫に話しているので、冥界まで自分で飛ばずとも紫がスキマで送ってくれる手筈となっている。やはり俺より断然能力的には強いと思うんだけど紫は俺の能力が強い言う。あれがあるからかなぁ…
「はーい、スキマ輸送サービスの時間よー」
家の中に紫の声が響く。それと同時にスキマが開く。準備は先にしていたので、迷うことなく俺はそのままスキマに入った。つかそんなサービス名初めて聞いたんだが。
スキマを通ること一秒。そこには大きな桜の木と屋敷が鎮座していた。生きた心地がしない、というとなんだか変な感じがするのだが冥界とはそういう場所である。
「どうもこんにちは。定晴さん!」
「妖夢、今日は宜しくな」
「はい!もうこちらも準備は出来ているので、いつでも始められますよ」
妖夢はやる気満々のようだ。まあ、ずっと妖夢は叔父から教えてもらった剣術を反復していたようだし、新しい剣術を習えるとなったら興奮するか。
俺も新しいことに挑戦するときは怖がるよりもワクワクするタイプの人間なので気持ちはとても分かる。
「じゃあ早速…、つっても一度剣を交えただけじゃ実力なんて分からないから、もう一度勝負といこうぜ。スペルカードルールではない、普通の剣勝負だ」
「分かりました!」
俺は立て掛けてあった木刀を手に取り、妖夢に二本渡す。再生の能力で大体の傷は治せるが痛いし面倒なので木刀での模擬戦だ。
妖夢は構えをとる。前々から言っているが、俺は構えなど知らない。もう既にこの点で妖夢には見た目で負けているのだ。とりあえずそれっぽいポーズをして妖夢と対峙する。
「では…魂魄妖夢、参ります!」
「堀内定晴…受けて立つ!」
…勝負は十分程で決着がついた。
「ま、負けました…」
「なんとなく妖夢の実力はわかったよ」
最初はある程度互角に戦えていたが、純粋な剣での勝負にはなれていないのか、経験の差というのが出ていた。ただそれ以外にも色々と問題点があったようにも思える。
俺は早速妖夢に俺が闘っていて感じたことを色々教えていく。
「まず妖夢の良いところだ。妖夢はとても素早い。短い距離なら瞬間移動のようにも見える。しかしそれに伴うデメリットもある。素早い動きなのは良いんだが、そのスピードのまま剣筋を止められると体勢が崩れてしまっている」
「成る程たしかに…しかしどうすれば?」
とはいえ俺は剣士でも師範でもないのでパッと答えが出せるものではない。
「それを今から考えるんだよ。そうだな…今よりもっと力強く刀を握れないのか?」
「すみません。私は見た目通り筋力があまり無いんですよ。だけどこれ以上筋力をつけてしまうと今できる技のバリエーションが減ると思うんです」
「なるほどな…」
それから俺達は色々方法を考えた。当たる直前にスピードを落とすという案があったのでやってみたら止まりきれずぶつかってしまった。その時妖夢が顔を真っ赤に染めていたのでこの案を没にした。
「妖夢ーご飯ー」
「あ、はーい。では一度ここで終わりですね。食事はここで食べていくんですよね?」
「ああ。一々戻るのも面倒だしな」
そもそも紫には行きと帰りにしか頼んでいないので、この時間にはスキマは開かない。まあ呼べば来るのだろうけども。
「では腕によりをかけて作りますね!」
「俺も手伝うよ」
「よーむー、早くー」
妖夢が作った食事は、外の世界の料理人が作ったように美味しかった。そのまま料理人として店を立ち上げてもいいぐらいの味だった。従者というのはみんな料理が上手いのか?
妖夢の主である幽々子が大食いなので、美味しく、しかも沢山を短時間に作るという中々の高等テクニックを披露していた。
で、重要な剣技の方だが…結局ご飯を食べたあともいい案が生まれずその日は解散となった。これからも妖夢の問題を一緒にきちんと考えていかないとな。
定晴が帰ったあとの白玉楼。その縁側にて…
「妖夢ーどうだったのー?」
「残念ですがいい技が…」
「違う違う。そんなことは聞いてないわよ。定晴さんとの男女関係はどうだったの、って聞いてるの。彼、ずっとつきっきりでやってくれたんでしょ?」
「へ!?いえ別に、私は定晴さんに対してそんな感情など…」
「いいじゃんいいじゃん。彼はとても良い物件だと思うわよ?」
「うー…」