東方十能力   作:nite

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三百二十七話 妖力対霊力

出来る限り急いで飛んで妖怪の山に到着した。

 

「ひどいですね…」

「ああ」

 

俺たちが妖怪の山に来る途中でもお構いなしに爆発し、そのたびに山が崩れた。

妖怪の山はどこにでも妖怪がいるので、爆発に巻き込まれなかった種族なんていないだろう。犯人を追うのも大切だが、救助活動をした方がいいかもしれない。

俺の再生の能力があれば回復させるのも簡単だ。

 

「こりゃルーミアたちを探すよりも先に救助活動をした方がいいかもしれないな」

「定晴さんは再生が使えますもんね。私も一応回復の結界は張れますけど…」

 

俺は能力で、早苗は素質として他人を回復させることができる。そのため、救助活動に俺たちはうってつけの人材ではあるのだけど…

 

「とはいえ、犯人を見つけないと爆発が続いて被害者が減らないだろう」

「やっぱりそうですか…心苦しいですが、仕方ありませんね」

 

先ほどから爆発の規模が大きいのだ。俺たちが回復させる速度よりも、まとめて吹き飛ばされた数の方が増えるのは容易に予想ができる。

致命傷になっている妖怪を見つけたら助けるが、それ以外は無視して、まず爆発の犯人を見つけることが先決だろう。

 

「どうやって見つけますか?」

「妖怪の山が地中から爆発してるなら、地中に原因があるのは自明だろ。妖怪の山の地下には地底への入り口があるから、そこの横穴とかにいる可能性は高いな」

「では行きましょう!早く爆発を止めないと!」

 

俺たちがそう決めて移動を始めた瞬間、今までで一番大きな爆発が妖怪の山の頂上付近で発生した。

 

「うひゃあ!」

 

爆発の威力が大きくて、こちらまで衝撃が伝わってきた。

よく見ると、大爆発の上に誰かが浮いている。あれは…霊夢とアリスか。あれ、ルーミアはどこだ?

 

「あ、霊夢さん発見です!追いかけましょう!」

「あ、おい!」

 

早苗が飛び出してしまったので、俺もやむなく浮いている二人を追いかける。

霊夢とアリスもまた、何者かを追いかけているらしく、二人の前を知らない人が逃げている。それなりに強大な妖力であり、大妖怪であることが窺える。

 

「あ、定晴!」

「ルーミア?どこにいたんだ」

「救助活動してたのよ」

 

霊夢を追いかけていると、横からルーミアが飛んできた。

どうやらルーミアは妖怪たちを助けていたらしい。ルーミアらしくない行動ではあるけれど、最近のルーミアは優しくなっているみたいだし、そう考えれば普通かな。ルーミアが優しい行動をできるようになって嬉しいぞ俺は。

 

「霊夢さーん!」

 

早苗は霊夢たちを追いかけるが、どうやら早苗と霊夢たちの移動速度がほぼ同じなせいでこのままでは追いつくことができない。

 

「ご主人様、あれ誰かしら」

「地底関連だと思ったんだが、あれは知らないな」

 

移動したことで、霊夢とアリスが追いかけている人物の姿がはっきりと視認できるようになったが、見たことのない妖怪だ。

それに、霊夢のお札やアリスの弾を受けても平気な顔で逃げている。防御力が異様に高いのだろうか。

 

「あれじゃ逃げ切られるわよ」

「そうだな…」

 

霊夢たちは攻撃しながら追いかけているが、逃げてる側は応戦せず逃げてばかりだ。そのため、どこかで霊夢たちの方が先に疲れてしまい逃げ切られるだろう。

早苗は未だに追いつく気配がないし、霊夢たちは有効打を与えることができていない。あいつが出てきたときから爆発がなくなったので、あれが爆発の原因であるのは間違いないだろうが、このままでは取り逃がしてしまうな。

 

「…ルーミア、封印解除」

「あら。いいの?」

「あっちも大妖怪っぽいからな」

 

ルーミアがリボンを外してスカートのポケットに入れる。

すると、ルーミアの体が少し大きくなって妖力が跳ね上がった。これなら、大妖怪とも十分やりあえるだろう。

 

「まあ、その姿を知らないならいつものルーミアと結びつくことはほとんどないから」

「あ、でもさっき闇の力は使ったわよ。状況説明はご主人様に任せるわ」

「………ルーミアはあれを拘束してくれ。一応対妖怪ロープも渡しておく」

 

いつもの姿のルーミアで闇の力を使うのであれば、同一人物だと思われても不思議ではない。ルーミアは最近自分自身を曝け出すことが増えてきているような気がする。

天狗たちに後で新聞にされても知らないからな。

 

「ご主人様は?」

「あれの防御力を無効化できないか試してみる」

 

ただ、あの防御力が何由来のものなのかは不明だ。そのため、まずは分析して何を無効化するのかを考えなくてはいけない。

妖怪の特性か、能力か、服のものか、それとも肉体的な話か…

 

「でもまずは…無効化!」

 

対象はやつの飛行能力。

俺も動けなくなるが、その間にルーミアが拘束してくれるだろう。

 

「え?」

 

だが、あいつは少しだけ落ちただけであり、すぐに飛んで逃げ始めた。無効化は効いたはずなのだが、効果時間が短すぎる。

 

「流石にあれじゃ捕まえられないわよ」

「うーむ…」

 

俺が考えていると、あいつは俺の方を向いた。無効化は見えないし感じれないはずなのに、探知されたのか?

しかし、こっちに飛んでくるとかではなく、むしろ離れるように飛んでいく。あれでは捕まえられない。

 

「どうするのよ!」

 

ルーミアが横から急かしてくる。

どうにかしてあいつを止めなければいけないが、無効化が効かないときた。ミキめ、何が神にも効くだ。効かない相手もいるじゃないか。

 

「…仕方ない。ルーミア、俺のことは気にしないでいいからそのまま拘束してくれ」

「え?」

 

対象…やつの妖力。

一瞬しか効かないのであれば、その一瞬で浮けなくしてやる。ただ、大妖怪の妖力を無効化するなんてことをすると俺の霊力も尽きるので、俺も地に落ちてしまうだろう。

出来る限り地面に近いところで、ただあいつを目視できるようにしないと流石に使えない。

 

「無効化!」

 

俺の中の霊力がごっそり減って、風の能力が切れる。

だが、やつの妖力もなくなったはずだ。一瞬で妖力を消したので、飛ぶことはできないだろう。

 

「ぐはっ」

 

死にはしないものの、地面にぶつかる衝撃により肺の中の空気が押し出される。

痛みに慣れてるせいで気絶することもできない。ルーミアは一瞬そんな俺を見たが、犯人を捕まえに飛んで行った。

 

「まあ、捕まるだろ」

 

俺は安心して空を見た。

大結界の亀裂は、幻想郷の空全体に広がり、今にも壊れそうになっていた。

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