東方十能力   作:nite

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三百三十四話 フルーツポンチアイス

アリスから貰った設計図をもとに、建築をするための準備をしていたら、来客があった。

アリスがお金を準備したのかと思って扉を開けると、そこにいたのは日傘を差したフランが立っていた。

 

「お兄様!」

「フラン、久しぶりだな」

「久しぶり!」

 

日差しは段々強くなっているが、それでも元気だな。

俺たちが魔界に行って、そして異変の解決をするにかけて梅雨を過ごしてしまって、もう少しで夏の時期だ。既に幻想郷の梅雨は明けてしまっている。

 

「入ってもいいかしら」

「ああ。ルーミアもユズも出かけていないが」

「むしろちょうどいいわ」

 

フランがワクワクしながら家に入ってきた。フラン一人っきりだろうか。

 

「フラン、一人か?」

「ちゃんとお姉さまには言ってるわ。お兄様のところに行ってくるよーって」

 

くるっと回ってそう言うフラン。最近のフランは無断で出歩いたりすることも少ないので、まあ安心できるか。

もし無断だったとしても、咲夜が探しに来るので大丈夫だろう。フラン探しをするとき、咲夜は序盤でここにやってくる。

 

「吸血鬼からするとやっぱり初夏にかけたこの時期って辛いか」

「んー、私たちって日差しに弱いってだけで暑さは皆と同じように感じるから夏だからっていうわけじゃないの」

 

日傘を置いてソファに座るフランに尋ねる。

日差しそのものに弱いので、日差しの強さは関係ないみたいだ。もしかしたら日差しが強い方がダメージが大きいとかはあるかもしれないけれど、どのみちダメージが入るのは変わらないのだから検証できないか。

 

「もう昼食は食べたか?」

「そうめんを食べたわよ」

 

おや、意外。

 

「紅魔館でもそういうのって出るんだな」

「咲夜はなんでも作れるのよ!」

 

咲夜は和洋折衷、中華なども含めて作ることができる。どうやら中華は美鈴の方が上手に作れるらしいが…俺よりも料理のレパートリーが多いのは確かだろう。

咲夜に料理を教えてもらうのもありかもしれないな…魔界の食材とかもっと美味しくできると思うんだよなぁ…

 

「なら…冷たいものでも食べるか?」

「食べる!」

 

やはり夏はアイスとかかき氷とかそういうのを食べたくなるものだ。

冷蔵庫と冷凍庫に材料は揃っているから基本的になんでも用意はできるが…

 

「何がいい?」

「お兄様にお任せするわ!」

 

ふむ…無難なアイスは紅魔館で食べることもあるだろうし、折角なら紅魔館じゃ食べられないようなものを食べさせてあげたいが…

 

「フルーツポンチかき氷とかどうだ?」

「いいわね、お願い!」

 

あまり咲夜はアレンジ料理をしないみたいだし、名前からどんなものかはわかるものの紅魔館じゃあまり食べないであろうものを用意する。

さくらんぼ、パイナップル、スイカ、ブドウ、ナシをカットし甘いシロップの中に漬ける。ちゃんと固まるように水分量を多めにしてから器に移して冷凍庫の中に入れる。

あとは固まるまで待つだけだ。

 

「ちょうどおやつの時間に固まると思うから、それまでは待ちだな」

 

待ち時間は、フランと適当に遊んでおくか。

 

「お兄様、隣に座って!」

「ああ」

 

ソファに座っているフランの隣に座る。すると、フランがこちらにスススと移動してきた。

エアコンがあるとはいえ近いと暑いので離れると、その距離を詰めるようにさらに近づいてきた。

 

「どうして逃げるのよ」

「むしろなんで近づいて来るんだ。暑いだろ?」

「お兄様が暑いなんてことないわよ」

 

ソファの端っこまで来たので逃げることができなくなり、フランは俺の体にギリギリ触れない距離で止まった。

なんでそんなに距離を詰めてくるのだろうか。その答えはすぐにフランが教えてくれた。

 

「お兄様、長らくどっかに行くなら一言欲しかったわ。梅雨の間寂しかったの」

「それは…悪かったな」

 

梅雨の間、俺はずっと魔界で鍛錬をしていた。結界に異常が出ていたので早急に対応する必要があり、俺はあまり連絡をせずに魔界へと赴いた。

何かあれば紫や霊夢が事情を知っているし大丈夫だろうと思っていたのだが、そうか、寂しい思いをさせてしまったか。

 

「お兄様が帰ってきたって聞いたから今日来たのよ」

「すまんな」

 

外の世界にいるとき、俺は何でも屋として色んなところに行っていた。わざわざ知り合いに連絡をするのが面倒だったので、俺はどこに行くときも特に連絡をしていなかったのだが、その癖が出てしまったか。

だが遠出するときに毎回何か言うのは面倒だと思ってしまうのが…

 

「そうだ、式神で連絡するのはだめか?」

「ルーミアちゃんが来るの?」

「いや、紙の式神だ。何かあったら紅魔館に手紙として式神を飛ばすよ」

 

藍に教えてもらったおかげで、紙の式神を扱う術も上手になってきた。紅魔館まで連絡を飛ばすくらいはできるはずだ。

俺の言葉に少し悩んだあと、フランは言った。

 

「いいよ。でも、忘れないでね」

 

どこかにメモでもしておくか。

 

「それで、どこに行ってたの?」

「聞いてないのか?」

「霊夢が、私は知らない場所だからって教えてくれなかったの」

 

霊夢め、めんどくさがったな。

俺はフルーツポンチが固まるまでの間、フランに魔界での出来事を教えてあげた。

 


 

大体三時くらいになったので、冷凍庫からフルーツポンチを取り出した。

アイスとしてはいい感じだが、かき氷にできるほどは固まってないなぁ…俺の魔術じゃ凍らせるほどの威力は出ないしどうしたものか。

 

『私がいても凍らせられないのね』

『風と光以外はどうしても威力は出ないらしい』

 

魂の魔女から言われた通り、俺は元々適正のなかったものは適正が生まれたとしても威力が出ないらしい。

この様子だと、フルーツポンチが完全に固まるにはもう何時間が必要そうだ。それだとおやつとしてはあまりよくない時間になってしまうし、フランが帰る時間も考えるとあまり遅くはできない。

 

「お兄様、どうしたの?」

「いや、思ったよりも固まっていなくてな…」

 

さて、どうしたものかと考えていたら、インターホンが鳴った。誰だろうか。

 

「私が出る!」

 

フランがソファから飛び降りて、玄関に向かった。

 

「定晴!あたしが…あれ?」

「チルノちゃんじゃん。どうしたの?」

「あちゃー、誰かいたかぁ」

 

家に来たのはチルノ。そして、その後ろには大妖精。

あまりこの二人が俺の家に来ることはないのだけど、どうしたのだろう。

 

「すみません、普通に遊びに来ました」

「そうか。まあ入ってくれ」

 

大妖精の説明に、取り敢えず納得して俺は入室を促す。

少しチルノががっかりしているように見えるが、どうしたのだろう。

チルノ…あ、そうだ。

 

「チルノ、来てばかりですまないが、ちょっと手伝ってくれ」

「ん!やる!」

 

急に元気になったチルノがこっちに来た。

俺はチルノに、固まり切っていないフルーツポンチを凍らせるようにお願いする。駄賃は一緒にフルーツポンチを食べることができる権利だ。

 

「任せて!カチカチになりすぎないようにすればいいのね!」

 

チルノから冷気が放出されて、フルーツポンチが固まっていく。チルノ、冷気の扱いが上手になったような気がするな。前よりも繊細に凍らせることができているというか…

それに、前はやりすぎないように配慮するとかもなかったはずだ。チルノも成長してるんだな。

 

「どう?!」

「完璧だ。じゃあちょっと離れてくれ」

 

チルノがソファに移動したのを確認したのち、俺は輝剣を取り出した。

普通の氷ならばかき氷機でいいが、フルーツが入ってるこの氷ならこっちの方が早い。

 

「ふっ!」

 

剣術・滅多。弾幕ごっこ用ではない、真の剣技であり、正面を切り刻む技だ。

身体強化も併用すれば、一瞬で氷を細切れにすることだって可能である。俺はその剣術、ただのデザート作成に使っている。まあ、頑張れば妖夢とかも使えるだろう剣技なのでいいだろう。

 

「はい、完成だ。フルーツポンチアイス」

「「わーい!」」

「いただきますね」

 

三人の余りを俺も食べる。

思ったよりも蜜の甘さが残ったな。三人にはちょうどいいみたいだが、俺からすると少し甘すぎるな。大人相手に作るときはもう少し蜜を少なめにして作るか。

 

「冷たくて美味しいわ!」

「定晴、わかってるじゃない!」

「とても美味しいです、ありがとうございます」

 

やはり大妖精が大人びているな。チルノなんか口に氷がついてるし。

 

「二人は急に遊びに来たな」

「定晴さんが帰ってきたって言ったらチルノちゃんが…」

「大ちゃん!しっ!」

 

どうやらチルノの発案だったようだ。

そういえばチルノたちにも魔界に行くことを伝えていなかったので、二人も寂しかったのかもしれない。うーむ、外の世界にいたときと比べて関わる人が増えて弊害が出るようになってきた。

まあ、それも幻想郷での変化だし悪いものではない。こうやって子供たちと遊ぶのは楽しいしな。

 

「折角だからボードゲームでもしましょ」

「負けたら罰ゲーム!」

「定晴さんも付き合ってください」

「了解」

 

俺は三人と一緒に人生ゲームで遊ぶのだった。

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