東方十能力   作:nite

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三百五十一話 マスターで弾幕の封印

「せいっ!やっ!」

 

霊夢からの飛び道具が止まらない。どれだけ回避しても陰陽玉がついてくるせいで、中々攻めることができないのだ。

ただし、俺はそれらの飛び道具を完全に落としているので、被弾回数は数えられる程度だし、どれも文字通り掠り傷だ。このままでは、決着がつかない。

 

「仕方ない…」

 

俺の技には、霊夢の飛び道具をかき消すことができるほど高威力のものがないのだ。どれもテクニックじみた使い方をするものばかりで、力業でどうにかできるようなものではないのである。

というわけで、俺ではない人の力を借りるとしよう。

 

「マスタースパーク!」

「うわっ!」

 

魔理沙ならばミニ八卦炉を使わなければいけないところを、俺は素手で発動する。

この使い方のいいところは、奇襲に向いていること。そもそも、魔理沙のマスタースパークは、弾幕ごっこの中で使うときはスペルカードの宣言もあるので溜めが存在するが、実際にはノータイムで撃つことができるのだ。

 

「もういっちょ!」

「人の技を盗むなんて悪いことだと思わないわけ!?」

「それに関しては、思わないな」

 

例え敵の技であっても、それが有用であると感じれば自分でも出来ないのか試行錯誤をする。そうすることで、戦いのテクニックなどが身につくのだ。

技に込められた意味やプライドなどもあろうが…戦いの中では、そういったことは気にしていられないのである。

 

「それに、この技は幽香も使えるしな」

「貴方のものとは違うんじゃないの?」

 

別に俺はこの技の原理を理解してから使っているわけじゃないからな。俺の能力のうちの一つである『模倣』の中に記録されているマスタースパークを呼び出しているだけだからな。

言うなれば、ただのショートカットなのだ。だからこそ、『模倣』に記録できる上限数を超える分は設定できないし、記録している技を変えれば元々記録していた技は使えなくなる。

もしこの技を自力で出すことができるようになれば、模倣ではなく正真正銘自分の技として使えるんだけどな。

 

「まあ細かいことは気にするな」

 

そう言いながらマスタースパークを撃つ俺。この技、思いのほか魔力消費が少ないんだよなぁ。

 

「この!」

 

霊夢はお札をばら撒く。あれは…カウンターアミュレットか!

俺のマスタースパークをそのまま反射してきたカウンターアミュレットは、一撃を反射するごとに一枚ずつ焼け焦げて消えていく。

うーむ…俺のマスタースパークは現在の俺の魔力を消費しているが、霊夢のお札は現在の霊夢の霊力を使っているわけではない。あと何枚あれがあるのか分からないが、この状態が続くのであればじり貧になるのはこちらだ。

どうやらお札は霊力や魔力に反応して、それを反射しているらしい。ならば、霊力も魔力も乗せない攻撃であれば反射されないってわけだ。

 

「やっぱり最後はこれか」

 

俺は輝剣を取り出して構える。霊夢がどれだけ近接戦闘ができるのか分からないものの、身体強化と剣技で押し切る!

 

「舐めないで!」

 

俺がカウンターアミュレットを切り裂き、霊夢が投げた道具類を弾いて肉薄する。輝剣を振るが、霊夢はそれを回避し、さらに手に持っている大幣を振ってきた。

まさか霊夢が物理攻撃をしてくるとは思わなかったので、そのまま大幣は俺の体にヒットする。

 

「ぐっ…」

「うぅ、筋力が…」

 

だが、思ったよりも衝撃は大きくない。身体強化をしているのもあるが、霊夢自身の力が弱いのだ。どうやら近接戦闘をするための筋力というのは身に着けていなかったらしい。

俺はそのまま何度か剣を振る。だが、攻撃が霊夢に当たらない。

 

「離れなさい!」

 

上下から、霊夢を巻き込まない形で陰陽玉が攻撃をしてきた。

ここで距離を置かれると、攻めるのが面倒になる。ここで勝負をつけたい。

 

「どっちが先に落ちるか勝負だ」

「新参のくせに生意気言わないでよ!」

 

俺は陰陽玉の攻撃を遮るように結界を張る。この結界が壊れれば、陰陽玉の攻撃は俺に通ってしまうだろう。その前に、霊夢に俺の攻撃を当てなければいけない。

霊夢は大幣での攻撃をやめて、近距離での弾幕展開に切り替えた。だが、この距離であれば弾幕を張られないように剣を振り続けることくらいできる。

 

「くっ…うっ…」

 

ひたすら俺の攻撃を避け続けるだが、段々と動きに疲れが見えてきた。

だが、俺の結界もそろそろ破壊されそうだ。どっちが先か…

 

「私だってプライドがあるのよ!」

 

一瞬の隙をついて、霊夢が弾幕を展開。距離が近すぎて全弾俺にヒットしてしまう。

気絶しそうになるものの、なんとか耐えて、輝剣を一撃。その攻撃も霊夢に避けられてしまい、結界はもう破壊寸前。

 

「霊夢、悪い!」

「きゃあっ!」

 

俺は、一か八かで霊夢の腹を蹴り飛ばした。

少女の腹を蹴り飛ばすのは、流石の俺でも少しばかり心苦しいものだが、これは殺し合い。なんでもありだ。

身体強化で衝撃が強まっている俺の蹴りは、確実に霊夢の腹に刺さり、霊夢を眼下の森に吹き飛ばした。

 

「ぐわっ」

 

その瞬間、結界が破壊されてしまい、陰陽玉の攻撃が俺の体を襲う。

一撃当たるごとに血が出て、墜落しそうになるが、十発ほど攻撃を受けたところで、陰陽玉の攻撃が止まった。見ると、陰陽玉からみるみる光が失われ、そして、森の中へと落ちていった。

つまり、術者の霊夢に陰陽玉を維持することができなかったことを意味する。

 

「はぁ…はぁ…」

 

俺は体に再生をかけながら、霊夢に勝利したことを実感した。それと同時に、俺の視界はブラックアウトするのだった。

 


 

「スパークスパークスパーク!」

 

視界が悪い中、魔理沙のマスタースパークが至る所から飛んでくる。

最初は魔理沙から飛んできていたはずのレーザーは、いつの間にか色んな方向から飛んでくるようになったのだ。そういえば、魔理沙は間接的に攻撃することができる道具を持っていたような…

 

「きゃあっ」

「ユズ、防御に専念!」

 

既に何発か被弾してしまい、服が若干解れているユズ。ご主人様に作ってもらって、本気の戦いでもそう簡単に破れたりしない服になっているものの、やはり魔理沙の本気レーザーには耐えられないようだ。

かくいう私も若干被弾してしまって、所々血が出ている。

 

「どこに…」

 

魔理沙の姿が見えないものの、ユズに被弾しないように全方位に撃てば当たるはずだ。

私は殺傷性をマシマシにした弾幕を、ユズに被弾しないように展開する。ユズの向こう側にいると魔理沙に当たらないので、移動しながら全方位に。

だが、どれだけ撃ってもマスタースパークが止まらない。魔理沙の状態と魔道具の動作は別なのだろうか。魔力を予め込めておいて、中に魔力が残っている限りは動作し続けるとか…

 

「ぐっ…」

 

私の弾幕を搔き消しながら飛んできたマスタースパークに脇腹を撃ち抜かれる。私の初めての直撃であり、服が破れてしまった。これ大切なものなのよ!

 

「魔理沙!どこよ!」

 

魔理沙の声がいつの間にか消えていて、どこにいるのかがわからない。多分、私が弾幕を展開したことに気が付いて、声を抑えているのだろう。

弾幕勝負であればスペルカードは宣言する必要があるが、この殺し合いであれば態々技名を宣言する必要はないのだ。

 

「……」

 

ひたすら弾幕を展開し、レーザーが飛んできた方向にも展開するが、やはり攻撃が当たっている感じはしない。

 

「いったいどこに…」

 

そう呟いた瞬間、頭上から超巨大な魔力を感じる。これは…防御できない!

 

「ユズ!」

 

ユズに声をかけて横に急いで移動するが、いつまで経っても範囲から出られない。そして…

 

「ファイナルスパアアアアアアク!」

 


 

戦闘を終えた魔理沙とルーミアたちが帰ってきた。魔理沙の表情を見るに、どうやら戦いは魔理沙が勝利したようだ。

 

「二人とも、お疲れ」

「全然当たらなかった…」

 

二人の服はボロボロで、魔理沙の服はあまり乱れていない。どうやら、勝負は結構圧勝気味だったようだ。

 

「式神風情が私に勝とうなんて十年早いぜ。あれ、霊夢、負けたのか」

「近接戦闘は苦手なのよ…」

 

ルーミアたちにマウントを取っていた魔理沙は、霊夢が負けたことを知ると霊夢にターゲットを変更した。

魔理沙が霊夢を煽っているうちに、二人と会話する。

 

「どうだった、二人とも」

「小道具を色々使う相手に対して、警戒度が上がったわ」

 

どうやら、ただの霧だと思っていたものが、キノコの胞子を利用した混乱剤だったらしく、それのせいで攻撃を回避できなくて落ちたらしい。

 

「それに服も…」

「それはあとで修繕してやるよ」

「お願い」

 

なんか、勝負に負けたことよりも服が破れたことに落ち込んでいるように見える。別にいくらでも作ってやるのに…

 

「よしっ、定晴もいつかやろうぜ」

「ああ、今度な」

 

霊夢以上に魔理沙のほうが近接戦闘でなんとかなりそうだ。まあゼロ距離マスパを注意しないといけないが…

ルーミアとユズは対策を考えているし、どうやら実りのある経験になったようである。

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